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IS<インフィニット・ストラトス> 〜蛇神が愛した男〜
0-3:人の終わり、蛇神の囁き

真に残念な事ながら、嫌な予感ばかり当たるというのは何も漫画の中だけの話では無いらしい。
現に、今の状況がそうだ。
いつも通りの被害妄想で済めば良かったのに、今日に限ってそれが現実になろうとしているのだから。

「!? ……あ、IS!!?」

……それも、最悪な形で。





「そう、IS……私達女だけに許された、絶対の力」

倒れ、痛みに悶える一夏の首を女はおもむろに掴んでみせ、そしてそのまま軽々と持ち上げる。
女と一夏のその様は正に現在の男女の力関係そのもので、男の方が強いという旧来の常識がいかに廃れた価値観であるかを証明するものでもあった。

「ふふっ、いい気味。……だけど、その顔で……千冬様そっくりのその顔で貴方がそんな情けない顔をするのは、甚だ不快だわ」
「ガッ……っあ…」
「千冬様は誰より強くて、そして凛々しく在られるというのに……なのに、同じ顔している貴方は何てザマなの?」
「ぎっ……」

ISまで持ち出されるのは初めてとはいえ、陶酔し切った顔でそんな勝手な事を宣う女に……身勝手な暴力に曝される理不尽に対する怒りはいつも通りの新鮮さで、やはり幾ら曝されてもこの理不尽に対する怒りは消えたりなどしなかった。
ただ、怒りを爆発させる事が出来なかっただけで、だからこそいつも燻っていて……しかしそれでも消える事など無くて。
なのに、結局自分に出来る事はただひたすら必死に酸素を求めて喘ぐ事だけで、本当に泣きたくなる。

「ほら、あがいてみなさいよ! 貴方は千冬様の弟なんでしょう? だったら他の男とは少しは違うハズでしょう? ねぇ!?」
「ぐぅっ……あ゙ぁぁぁああぁぁあぁっ!!!」

そこまで言われて闘志に火が着いた……なんて格好のいい事が出来たのなら、そもそもこんな苦労なんてしなかっただろう。
それがもっと上手く立ち回れたという意味では無く、もっと早くに死んでいたという意味にしかならない辺り、自身の格好の悪さは筋金入りだ。
だからこれも、ただ単に本能的にこれ以上は生命維持に関わるからと、身体が勝手に動いただけの事でしかない。

「くっ……やるじゃない」
「カハッ……ハァ…ハッハッ…ハッ」

それでも、咄嗟に突き上げる様に放った蹴りは女の顔面に向かって延び、結果的にシールドバリヤーに阻まれたとはいえ、顔面を守ろうとして思わず女が手を離すという奇跡を得た。
普段から暴力に曝され慣れてた為だろうか、一夏もその隙を逃す事無くもう片方の足を突き出し、相手のシールドバリヤーを足場にして一気に女から距離を取ってみせる。

(クソッ……どうする? どうすればいい?)

当然の事ながら、救援なんてものはこの町では期待なんてするだけ無駄である。
それどころか、寧ろ近隣住民が女の方に加勢する可能性の方がよほど現実的だった。
というか、加勢も何も亡国企業(ファントム・タスク)程の巨大な組織でもない限り違法にISを所持する事なんて出来ないハズなのだから、寧ろ正規軍の方が本腰を入れて一夏を亡きものにしにしようと刺客を差し向けてきたという可能性を考慮すべきかもしれない。

「ホラホラ、どうしたのよ? さっきみたいにあがいてみなさいよ!」
「くっ……」

挑発するかの様な女の言に、それが出来たら既にやっていると内心で毒づく一夏だったが、それを口に出す愚は犯さなかった。
女のこの態度は自分が絶対者であるからこその余裕からなる慢心であり、だからこうして相手の尊厳を踏みにじり、苦痛に歪む表情を見て愉しむだけで済まされているのだと、一夏も解っていたからだ。
だから、下手に相手を刺激する様なマネは控え、必死になって逃げる算段をしている様を見せつけて女を愉しませ、愉しむ為の加減を誘い、少しでも長く生きようとあがいてみせる。
死は決して免れぬのだと、自分自身で解っていても。

(どうする? どうすればいい……)

背を向けてみっともなく逃げ惑うか?
それはそれで女の嗜虐心を満たせるだろうし、そうしていれられる内は生きていられるかもしれない。
相手に生殺与奪の権利を握らせたままという事実が覆らないのは癪ではあったが、現状思いつく限りではこれが最も長く生きていられる手段であろう。

或は、勇気を振り絞って立ち向かうか?
敵わぬと解っているのに、すぐに殺されてしまうと解っているのに?
……まさか、そんな事が出来るハズが無い。
漫画の主人公じゃあるまいし、こちらは親族や縁者が特殊過ぎるだけの一般人なのだ、どうしようもない悪が目の前にいるからといって立ち向かわねばならない道理も無いし、悪の打倒よりもく生き残る努力こそすべきである。

「クソッ……」
「いいわ、鬼ごっこに付き合ってあげる。せいぜいみっともなく逃げなさいな」

結局、背を向けて逃げた。
命が惜しいから。
自分のプライドなんかの為に命を捨てるだなんて出来ないから。
だから、逃げる。
必死に、みっともなく。
脇目も振らずに。
ただひたすらに。
走って走って、走って走って走って走って走って走って走って、心臓や肺が張り裂けそうなほど痛むのを無視して走り続けて、酸素の供給が足りず、窒息しそうになりながらも必死になって走り続けて。
何度もこけて、その度に立ち上がって、背後から飛翔しながら迫る女の陰に怯えながら、必死に。

「ハァ…ハァ……ハァ…ハァ……ッ」
「ほらほら、ちゃんと逃げないと捕まっちゃうわよ〜」

そんな、必死にあがき、生きようとする一夏を女は嘲笑い、追い回す。
追い回して、遂には拡張領域(バスロット)から近接ブレードを召喚し、振り回して更に恐怖を煽る様になった。

「そぉ〜れっ」
「!? うぉぉぉぉっ!!?」

足も肺も心臓も、身体中のどこもかしこもが限界を向かえて悲鳴をあげている。
もう無理だと、これ以上は動けないと、脳に制止を訴え掛ける。
しかし、それでも止まるワケにはいかなかった。
止まれば、終わってしまうから。
何もかも、終わってしまうから。
だから、止まれない。
止まるワケにはいかないのだと、そうやって身体が訴える悲鳴を無視し、走り続けた。

「ほらほら、だんだんペースが落ちて来てるわよ?」
「っあ……!?」
「死にたくなかったらもっと必死にあがきなさいな! さぁ! さぁ!」

走り続けて、自分では早く早く、今よりも早くと、必死になって走り続けているというのに、だんだんと身体が言う事を聞かなくなって、徐々にペースが落ちていく。
落ちて、ISを纏って飛行し続ける女との距離が縮まったせいで、近接ブレードの刀身が触れるまでに距離が縮まって、遂に背中から斬り付けられてしまった。
幸い、傷は浅かった為に致命傷にはならなかったものの、じんわりと広がる痛みが焼ける様に広がり、衣服は己の血で汚れていく。

「さぁ! さぁ! さぁ! もっと必死に逃げないと、私に殺されてしまうわよ!」
「っ……うぐ……ぁああっ!!?」

痛みに耐えながら必死に走り続ける一夏の様子がよほど愉快だったのか、女は何度も斬り付けなが一夏を追い回し、その度に痛みに悲鳴を上げる一夏を見て嗤い続けた。
それはもう、男だとか女だとか、狩人と獲物だとか、そんな次元の話では無い。
神や悪魔といった理不尽の権化による一方的な嗜虐行為に外ならなかった。
ただ纏っただけなのに、ただ纏えただけなのに……なのに、人をそんな理不尽の権化へと変えてしまう機械仕掛けの鎧こそが、全ての元凶だったのだろうか。
或は、それは人が隠し続けてきた己の醜さを浮き彫りにしただけだったのか、それは誰にも解らない。
今こうして逃げ惑う一夏にはそんな事を考える余裕なんて全く無いし、追い回している女の方に至っては他の大勢の女と同じく力に酔うだけで、そもそも考える事もしなかった。

「がぁぁぁぁぁぁっ!!?」
「あら、手が滑ったから? ……全く、貴方がそんな風にノロノロと走ってるからいけないのよ」

そして、悪魔の剣は遂に一夏の足に突き刺さり、痛みのあまり悶絶しながら倒れ、のたうちまわる。
後ろから何度も何度も斬り付けられたせいで背中は傷だらけで服も真っ赤、更には突き刺さり、強引に引き抜かれた足の傷口から溢れる血がズボンの裾を真紅に染めていく。
気力も体力ももう限界で、立ち上がるどころか起き上がる事すら儘ならない状態で、それでも、這い刷り回って必死に逃げようとする。

「ざぁんねん、もうおしまい。ゲームオーバーよ」
「あ゙ぁぁああぁああぁっ!!?」

地を這う一夏の腕に近接ブレードの刀身が突き刺さる。
新たに生まれた刺し傷からは噴水の様に血が噴き出し、血を失い過ぎたが為に遂には意識すらも遠退いていく。

「ほらっ、寝てる暇なんて無いわよ!」
「がっ…」
「死ぬまで私を愉しませなさい!」
「ぐうっ……く…ぁ」

しかし、一夏には気絶する事すら許されなかった。
それどころか、倒れ伏したまま動かなくなっていく身体を何度蹴られ、その度にまた傷が増えていく。

「貴方さえ……貴方さえいなければ、千冬様は完璧なままでいられたのに! 貴方さえいなければ! 二回目のモンド・グロッソでも千冬様は優勝出来たのに! 貴方がいたせいで! 千冬様の経歴に傷が着いた! 男ってだけでも度し難いのに! その上千冬様の経歴に傷を着けるだなんて、許されない事よ!」

喚き、何度も蹴りを放つ女の声はもう、一夏の耳には届いてはいなかった。
傷だらけで、血も殆ど残っていなくて、虫の息の一夏には届かなかった。

「はぁ……はぁ…っ、死ぃねねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

散々喚いて、なのに相手の耳にその声が届いていない事が癪に触ったのか、遂に女はトドメを刺そうと剣を振り下ろした。





『そこまでだ、人間』





「!?」

不意に第三者の声が脳裏に響いた。
幻聴、では無い。
だが、秘匿回線のソレでも無い、そんな不可思議な声だった。
そして、その不可思議な声を聞いた途端に、女の身体はまるで金縛りにでもなったかの様に動かなくなってしまったのである。

「!? !? 何が、どうなって……!?」

突然の不可思議な出来事に混乱しつつも、恐らくは自身の身を金縛りにした張本人であろうその声の主を探そうと辺りを見回す女の目に、こちらに向かって来る何者かの姿が映る。

それは、まさしく美の化身であった。

膝まで延ばした白く輝く髪。
まるで爬虫類を思わせる血の様に紅い瞳。
そして、傾国の……と、そんな言葉では足らぬ程の美貌を持つ、女。
到底人のものとは思えない、まさしく女神と言っても過言では無い存在が、こちらに向かって歩いて来る。

「………」

そのあまりの美貌に女が魅入ってしまっている内に、女神は倒れ伏した一夏の元にまで辿り着き、そっと抱き上げてそのまま唇を奪った。

「!?」

そして、突然見せ付けられた接吻に……では無く、女は別の理由で驚愕する事になる。

瀕死の重傷を負っていたハズの一夏の傷が、まるでビデオに逆再生を掛けたかの様にみるみる内に塞がっていったのである。
しかも、ただ傷を塞ぐだけでは無く、失った血液すら補充させたのか、徐々に顔色すらも良くなってきているではないか。

「なっ……なっ……」

考えるまでもなく、有り得ない事だった。
有り得ないハズなのに……なのに現実として目の前で起こっている、そんな超常現象。
……そう、超常現象としか言い様の無い悪夢だった。
だが、これは夢でもなんでも無い現実で、だからこそ悪夢だった。

そんな悪夢の様な光景見せ付けられた女は、気が狂ったかの様な悲鳴を上げた。
否、上げたつもりの声は何処にも響きはしなかった。
それが、恐怖のあまり声すら出なかったのか、それとも今もなお自身を苛むこの金縛りと同じく超常の影響を受けたからなのかは、女には解らない。
そもそも、どの道まともに思考する余裕など残ってすらいなかったのだから、どちらにせよ"結果は同じだった"だろう。
そして、そんな風に恐慌常態に陥った女とは対照的に、女神の方は時折挑発的な笑みで女の方を見ながら、まるで貪るかの様に抱きしめた男の舌を絡めるばかりだった。

女はついぞ気付きはしなかったが、いつの間にか辺りは夜のソレどころでは無い程の……上下も前後も左右も、何もかもが解らなくなる程に真っ暗で、しかしそれでいてこの場にいる者達だけははっきりと見える、そんな異界へと成り果てていた。
勿論、錯覚だ。
上下、前後、左右……と、ありとあらゆる方向が解らなくなる程に真っ暗である事が、では無い。
真っ暗であるハズなのに女神に唇を啄まれる一夏の姿が見えている事が、である。

何故なら、既に女の目は見えてはいなかったのだから。

だから、見えている様に感じたのは女の錯覚で、見ていた光景も最後に見たものを幻覚として見続けているだけの事だった。
更に……否、それ以前に、まず始めに女神の声を聴いたその時から既に女は聴覚を失っていた。
だからこそ、自身の悲鳴すら女の耳には届かなかった。
それだけでは無い。
効かなくなっていたのは何も視覚や聴覚だけでは無く、嗅覚や味覚だって既に機能していないかった。
そして、最後に残った触覚ですら、もう殆ど意味を成していない。
両の手足の先は勿論、そこから肘や膝に掛けてまでは完全に何も感じる事が出来なくて、更にそこから先の肩や股間に掛けてまでの通りも無きに等しい有様で、まともに機能しているのはもう頭部だけだった。
だが、それは既に狂っていた女にはもう関係の無い事だ。

……何故ならもう、女は蛇に飲まれてしまっているのだから。
女神が創りし異界は正しく胃界そのもので、だからもう、ただ消化されるのを待つ事以外、何も出来る事など無かった。

……なのに、まるで視力を失った人間が、その失った視力の代わりに聴覚を発達させる様に、女は確かに女神の存在を知覚する事が出来ていた。
勿論、第六感に目覚めたから……などという理由ではない。
否、確かに考え様によっては第六感と称してもおかしくは無いのだろうが、その知覚能力は女のものでは無く、女が纏っていた鎧の……ISのハイパーセンサーによる知覚だった。

つまり、視える事が、聴こえる事が、嗅ぐ事が、触れる事が、味を感じる事が……五感がまだ機能している事が錯覚であるというのは本人自身による知覚ではなくISのハイパーセンサーによる知覚であるからに外ならず、更には上下も左右も、前後すらも判らなくなる程に辺りが闇に包まれているのにも関わらず女神と一夏の姿だけははっきりと視えていたのもその辛うじて残ったISによる知覚の代替すらもハッキングされて正常に機能していない何よりの証拠であった。

そして、その侵された視覚の中で女神はその身を光る粒子に変えて弾けさせ、宙を舞う。
その白く輝く粒子は空間が暗闇に支配されている事もあり、まるで夜空に輝く星々の様であり、その星々はやがて一夏の元に集まり、新たな姿で顕現した。
女は勿論、現代に生きる誰もが知る、白亜の鎧に。

「う、そ……」

鎧が形成されていくと同時に一夏の身体もひとりでに浮き上がり、人一人分の高さで静止する。
その間にも宙を舞う粒子はみるみる内に白亜の鎧を形成していき、両脚、両腕、胸部、腰部、頭部と形を成して、最後に身の丈よりも大きな翼を生やしたとこれで、完成した。

「しっ……、《白騎士》!?」

悲鳴の様に叫んだ名こそが、今もなお伝説として語り継がれる鎧の名であり、かつて単機でミサイルの雨から日本を救い、その後現れた各国の連合軍を敗北に追いやった、伝説の……IS操縦者にとっては神の如き存在であり、そんな存在が女の目の前に在る。
世界が女尊男卑にかわった原因が、よりにもゆって男の……織斑一夏の鎧として目の前に在る。
織斑千冬の経歴に傷を着けた、害悪でしかない存在の鎧として、目の前に在るのだ。

「なんで……なんでなのよ! なんでそんなヤツなんかに!」

こんな事があっていいハズが無いと、喚く。
こんな理不尽があっていいハズが無いと、喚く。
先に理不尽を強いたのは自分達だというのに、それを棚に上げて、喚く。

『……因果応報、ただそれだけの事でしょう?』
「なんですって?」

先程の女神の声で《白騎士》が答える。
答えて、納得がいかないといった風な女に、諭す様に語り掛けた。

『貴女達が強いた理不尽を、これからもっと強大な理不尽で返す……と言った方が解り安かったかしら?』
「なんで……なんでなのよ! 私は、私はただ……!」
『……ハァ、他人の尊厳を無視しておいてどの口がほざきますか』
「なっ…なっ……」

問答無用と、未だに抗議の声を上げている女を無視して、《白騎士》は右腕を天に翳す。
翳した右腕の上に七枝の刀が顕れ、顕れた刀を握った《白騎士》はその銘を呼び、刀に封じた自らの眷属を呼び覚ました。

『《草薙》、最大出力形態《八岐大蛇》、起動』
「あ……あぁっ」

銘を呼ばれ、目覚めた眷属はその無数の鎌首を擡げ、女を睨み着ける。
刀身から顕れた、蛇を思わせるそのエネルギー体は自由自在に宙をうねりながら、主の命を待っていた。

『フフッ……』
「ヒィッ……!?」

今か今かと、あの女を食い殺したくて堪らないと、そう言わんばかりにうねるエネルギー体を見て、一夏の口を満足そうに歪めて《白騎士》は嗤う。
嗤って、その残忍な表情を女に向けて存分に視姦した後に、女神の声で女に告げた。
死刑の、宣告を。

『食い散らかせ』
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

必死に、まるで先程までの一夏の様に逃げ惑う女を、無数の蛇の群れが付け狙う。
右から左から上から下から前から後から、ありとあらゆる方向から、容赦無く、弄ぶかの様に、削る様に、何度も何度も、ワザと致命傷を避けて食らい付き、必死に逃げ惑う女の不様さを嗤うのだ。

「ひぐっ……あぁっ……くっ……ぎっ」

それはまるで、女が一夏に対して行った非道の焼き直しで。
何度も何度も、逃げ惑う女を嗤いながら、繰り返しいたぶり続けて、その鳴咽に愉悦する。
もう嫌だと、助けてくれと、そう惨めに訴える女の声を無視して嬲り続ける。

蹂躙が終わったのは《白騎士》が《八岐大蛇》を放った一時間後の事で、女が息絶えてから50分以上経過した後の事だった。
身も心も、断末魔の悲鳴すらも食い散らかされ、肉片と機械の塊と化した女の骸を踏みにじり、《白騎士》は飛び立った。

高く高く、天まで届くほど、高く。





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