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プロポーズ大作戦1(阿部/甘)
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どうしたの?今日なんか変だよ?


心配して聞いたっていうのに、むかいに座る私の恋人・阿部隆也は「なんでもねえよ」と眉間にしわを寄せて軽く怒鳴った。
高校から付き合ってるので隆也の機嫌が悪いわけじゃないことはわかる。じゃあなんで怒鳴るのさ。



さっきからテーブルをとんとんと指で叩いてるし。
落ち着きない。うん、これがしっくりくる。

なんか高そうな店に入るなーなんて思った。正直気後れしてる私。まさか隆也も?

いやいや、隆也が誘ったんじゃん。



にしても素晴らしい景色。「君の瞳に乾杯」…みたいな。寒い、隆也がやるとこ想像したら寒くなった。いやでもちょっと見てみたいかも?うん、かっこいいかも。



「なあ」



阿呆なことを考えていると隆也は私を呼んだ。真剣な表情だからなんとなく私は姿勢を正す。



「あの、さ…」



「う、うん…」



らしくないぞ。目は泳いでるし、言葉がはっきりしてないし、指は動きをとめないし。

ま…まさか別れ話!?
こんな高そうな店に連れて来て!?わざわざフォーマルな服着たのに…じゃなくて!
なんでこんな状況…!?


「俺とさ「やだから!」……は?まだなんも言ってねえだろ!」



「別れ話なんか聞きません!こんなとこで別れ話を聞くなんて…そんな女世界で私1人よ!」



「名前、お前何の話してんの」



「隆也…性格悪いほうだとは思ってたけど、こんなとこでふるだなんて、最低!」



「一回黙ろうか」



半泣きの私を宥めた隆也は肩を震わせていて、突然ぶふっとふきだした。そして店の空気も読まずに大笑い。
隆也さん、みんな見てるよおーい。



「…は、笑った笑った」



「笑いすぎ。何さ…」



「だってお前…これからプロポーズしようって女に別れ話すっかよ」



「…え?」



「ったく、もっと雰囲気つくろうと思ったのに」



壊したのは誰だよと思っていると隆也が懐から小さな箱を取り出した。

開かれたそれには、きらりと光る指輪。



「俺と結婚してくれ」




はい!


(これから阿部かあ。出席番号早いね)(悪いかよ)(ばか、嬉しいよ)









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