C
君に恋するまであと少し(榛名/甘)
「へ?」
「なんだよそのあほ面。聞こえなかったのかよ、だから」
「いや聞こえたけど…気のせいかな、榛名くんが私のこと好きとか聞こえた」
「気のせいじゃねえよ」
嘘ぉぉぉ!!っと心の中で叫びながら私は窓の外に視線を泳がせた。
信じられない。
その一言に尽きる。
だって野球部期待のエースで目立つ榛名くんだよ?ただの学級委員でクラスメイトの私に、なんで榛名くんが?それに話したことなんか数回で…
「で、どうなの」
「なにが?」
「お前はどうなのって言ってんの。俺は付き合いたいんだけど」
ツキアイタイ、月会いたい、
付き合いたい?
「えええ!!いや、その、えええ!!」
「ちっ。なんだよその反応。イエスかノーかはっきりしろ」
「だって私榛名くんのことよく知らないし…」
それに正直、榛名くん苦手だ。女子にキャーキャー騒がれる榛名くん。廊下で秋丸くんに怒鳴ってる榛名くん。
確かに私だって榛名くんに対して軽くキャーキャー言ってる一人だよ?
榛名くんかっこいいよね、って友達と話したりだってするよ?
でも好きって言われたら…。
かっこいいから付き合う、みたいな中学生のようなことできないよ。
「えと、ご…ごめんなさい」
「…。なんで?」
「私あんまり榛名くんと話したことないから榛名くんのこと知らないでしょ?だから…」
「付き合っていって知ればいいじゃん」
「それもそうだけど…私にはできません。ごめんなさい」
ぺこりと頭を下げる。怒るかな、榛名くん。ふざけんな!と怒鳴る榛名くんを想像すると怖い。
「…わかった」
「ごめんなさ…え?」
「名字のそういう真面目なとこが気に入ってんだよ。確かに俺のこと今まで恋愛対象として見てなかったんじゃ仕方ないよな」
「そ、そうですよね」
「それじゃあ」
これから俺のこと好きにならせてやる
不敵に笑った榛名くんを、ちょっとかっこいいと思っただなんて内緒の話。
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