C
プロポーズ対策戦(準太/予備戦と一緒に!)
※社会人設定
夢主登場しない←
それは名字が泣きついて来たのより前のこと。
「あいつ、見ていて飽きないんすよね」
「へえ」
「ぼうっとしてるけど実はすっげー周りのこと考えてるし」
「…」
「俺が嬉しいとあいつも嬉しいとか不意打ちみたいなこと言うし」
「おかしいな、今日は相談会じゃなくて惚気会か」
「なっ違いますよ!」
「じゃあなんだよ、俺だって忙しいんだからな。ったくお前らは俺を頼りやがって…」
「え?お前ら?」
「…っ気にすんな」
頭の上にはてなを浮かべた準太。間を置くように俺は準太にビールをつぐ。
ここは俺達行きつけの店で、いつもここで相談を受けていたせいか店員が案内する席はいつも同じ、すみっこのカウンター席だ。
「…結婚、しようかと」
「へえ、随分思い切ったな」
「そうっすね…。結婚するなら名前としたいって前から思ってはいたんすけど」
「いんじゃねえの?なんだ、相談ってそれか?」
「いや…実は、その…なかなかタイミングがうまくいかなくて」
「言えないのか」
ぐいっとジョッキを飲み干した準太ははぁ、と息をついた。少し酔いが回ったのか頬に赤みがさしている。
「馬鹿だな、そこはあれだろ、夜景が一望できるところでワインを飲み、」
「…君の瞳に乾杯とかくさいこと頼むから言わないでくださいよ」
「てめ…可愛くない後輩め」
「やっぱあれっすかね…普通に家とかかな。飯作りに来てくれた時とか…って何にやにやしてるんすか慎吾さん?」
「いや、別に?そーかそーか、お前一人暮らしだもんな。名字が飯作りに来てもおかしくないよな。泊まったことはあんのか?」
「し、慎吾さんどういう意味っすかそれ」
「どういう意味ってそりゃーな?顔赤いぞ準太」
「酒のせいっす」
「うっそつけ」
「マジです」
「…」
「…」
参考になったかどうかはともかく(ま、なったよな!)店を出た俺達は少しおぼつかない足どりで暗い道を歩いてく。
「じゃあここで。今日はどうも」
「さっさとプロポーズしろよ?そして結婚したら二度と俺に相談すんな」
「あ〜随分迷惑かけたっすね。式にはよびますから。和さんも野球部のみんなも」
「俺は仲人だからな」
「ぷっ…はいはい、わかりました」
「…なあ準太」
「なんすか」
真剣に準太を見つめ、こんなこと聞くのは酔ってるせいだと後で言い訳しようと思った。
「名字のことちゃんと幸せにできんのか」
俺の言葉に準太は口をきゅっと結び、一言、
「できます、いや…します」
照れもせず言うものだから、俺は茶化すように「若いっていいなー」と言った。
慎吾さん、と準太に背をむけ帰ろうとすると声がかかった。振り向けば頭をさげる準太。
ありがとうございましたっ
野球部の掛け声のようなそれは暗闇にとけていった。
高校の時からお前ら両方の相談受けてんだ。幸せにならなかったら承知しねえからな。
2人のキューピッドは
(誰よりお前らの幸せを願ってる)
その二ヶ月後、
あいつらは晴れやかな式をあげた。仲人?もちろん俺…ってなんで本ヤンと山ちゃんなんだよ!
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