陰と日向 3 ついに帰りのホームルームが終わったあとも私を呼び出した人は現れなかった 私はゆっくり帰路についていた 「そういえば、帰ったらおじいちゃんが話あるって言ってたな…」 どうして私の両親は死んでしまったのか… 今までずっと隠してきたってことは、きっと事故とか病気とかじゃないんだ… 「自殺…とかなのかな……」 「だとしたら最低な親だな」 「!」 突然目の前に金髪の外国人男性が現れて、驚いた私は少し後ろに下がった 「だ、誰ですか?」 「会うのは初めてだな。俺はキャバッローネファミリーのボスのディーノだ」 男の人は笑顔でそう返してきた、 私は不安になり、鞄を両腕で抱き締めて後ろに下がった。 「そんなに怯えなくても、何もしねぇよ」 「……」 「むしろ俺は君に頼みたいことがあって来たんだ」 「……私、に…?」 「あぁ、これをツナに渡してほしいんだ」 男性が差し出したのは黒く、金の装飾がされた箱だった。 「これは…」 「大事なものだからな、…言うまでもないが、中は見るなよ?他の誰かに渡すのもダメだからな」 「は、はい…」 「じゃあ頼んだ。よろしくな」 そう言ってディーノさんが背を向けて歩こうとしたら、彼は自分の足を絡めて思いっきり前のめりに…というか派手に転んでいた 「いってぇ〜…」 「だ、大丈夫ですか…?」 「おぉ、大丈夫だ」 ディーノさんはゆっくり立ち上がってふらふらしながらまた「じゃあな」と私に笑顔で手を振って、 今度は電柱にぶつかっていた。 本当に大丈夫なのだろうか… 最初はいきなり現れて怖い人かと思っていたけど、どうやらいい人だったみたい。 でも…なんで私にこの箱を預けて、沢田君に渡してなんて頼んだのだろう…?同じクラスだからかな…? とりあえず、この箱は明日沢田君に渡すことにして、今日は帰ろうと思った。 [*前へ] |