竹 寒い日に(準太夢*) 1月、雪が静かに降っていて、私は下校中にその中を歩いていた。 「さむ…、コート着てくればよかった」 今日はマフラーしかしてこなかったからセーターぐらいでしか暖める術がなくて、身体がどんどん冷たくなっているのがわかる。 家まであと20分ちょっと… つらいなぁ… 「あれ、池田…」 「あ!高瀬くん、部活帰り?」 後ろから声をかけてきたのは同じクラスの高瀬くんだった。 「あぁ、今日は筋トレだけ。池田も部活帰り?」 「ううん、教室で日誌書いてたら寝ちゃって…気づいたらこんな時間になっちゃった」 「ふーん…」 「……高瀬くん」 「ん?」 私は立ち止まって何故か高瀬くんを呼んでしまった。 ど、どうしよ… 「きょ…」 「きょ?」 「今日は初雪だね」 何言っちゃってるんだ私… 「…ははっ、そうだな」 高瀬くんは笑って返してくれた。その笑顔で何故か私は一瞬、安心してしまった…。 夏の大会から高瀬くんはあまり笑わなくなってしまったらしい。一時期は部活にも行かなくなってしまったという話も聞いた。 …でも、だから私がどーこーできるわけでもないけど… 「でも明日には止むみたいだけどな」 「じゃあ寒い思いするのも今だけか…」 「そうだな…明日には溶けて消えるな」 すぐ終わる… って高瀬くんは最後に聞こえるか聞こえないかの声で言った気がした。 「…そしたら春にならないかな」 「春はまだ全然先じゃね?」 「あ!いやっ…は、早く暖かくならないかなって」 「あははっ、なんか面白いな池田は」 ずっと笑い続ける彼の顔を見ていたら、もう寒さなんて忘れてしまっていた。 いつか彼の心に降ったあの夏の雪が溶けて消える日が、来るといいな… 春がくるまで + なんとなく書きたくなった少し影のある準太。本編でも早くみたい!← [次へ#] |