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短編A
現実の恋(泉夢・後編/切甘)





『泉孝介と付き合う』




そんな不思議な夢を見てから一ヶ月がたとうとしていた。
勿論、その間孝介のことは忘れたことはない。



今日は友達とおお振りの新刊を買いにきていた。


「あぁ〜やっぱ阿部くんはカッコいいな♪」


「…私は、こう…泉が大好きだな〜」


そんなことを言いながら買ったばかりの新刊を読んでいた。



「そう言えば、あんた急に泉のこと大好きなったわね?」


「…!そう?
つか私はもともと泉が大好きだよ♪
カッコいいし、可愛いし何より優しいよ!」


「あぁそう〜
でも一番は阿部くんでしょ!」


どっちがカッコいいかで少し揉めながら帰って、その夜すぐに私は寝た。


その時、ある光が私の周りを包んだとも知らずに。





次の朝、私はいつもより少し遅めに起きた。


「そういうば今日で一ヶ月だな〜



もう…孝介に会うことは出来ないのかな…」



叶わないとわかっていても願ってる私はそうとう馬鹿だと思う。


「あぁ!!やめやめ!
こんな暗いの私の柄じゃない!

よし、こんな時は出掛けるのが一番!」


そう思った時が吉ってね♪あれ、なんか違う?
まぁいいや。





その後、私は近くのコンビニに雑誌買いにきていた。


「どうしよ…
こっちの雑誌欲しいけど向こうの雑誌も買ったらお金が…」



数分悩んでいたらコンビニ内が急に騒がしくなってきた。
それを気にせずどっちの雑誌を買うか悩み続けた。



「三橋ー!あっち行ってアイス選ぼうぜ!」


「う、うん!」


「お前ら騒ぐな!他の客に迷惑だ!」


「三橋、田島走って転ぶなよ」



会話を聞いてて引っ掛かる名前と声が出てきた。



「(んっ!
えっ、今田島って言った?三橋って呼んだ?
)」


名前と声に反応してそっちを見た。



そこにいたのは…



「にっ!(西浦ーぜ!!!



そ、それに)


孝、介…」



もう会えないと思ってた。もう声を聞けないと思ってた。



目の前にいる貴方は本物ですか?



「…!秦!」


孝介は私に気づいたみたいで皆がいる前でも大声で私の名前を呼んだ。


私は名前を呼ばれた瞬間、コンビニから走って逃げた。




出来るだけ速く遠くに

そう思いながら走り続けた。




もういいだろうと思って着いたところは夢の中で私と孝介が最後に会った公園だった。


「はぁ…はぁ…


ここ、夢の中の…


つか、逃げ…ちゃった…」

「…秦!」


「!…孝介」


孝介はいつの間にか私の後ろにいた。
孝介はそのまま私を後ろから抱き締めてきた。


「孝介…」


「秦…


会いたかった」



言われた瞬間今まで溜まっていた涙が溢れてきた。

抱き締められて感じる温もり、匂い、全てが私の知ってる孝介だった。


「わ、たしも会いたかった…

もう、会えないと思ってた。もう抱き締めて、もらえないと思ってた。もう声、聞けないと思ってた。



本物の、孝介だ…!」



私は孝介の腕を振り払い、孝介の方へ向いて抱きついた。

そのまま私達はキスをした。



最後に会って別れた公園で

最初で最後だと思っていたキスをした。


私達はゆっくり離れてお互いに笑い会った。











「なぁ、なんであんときお前逃げたんだ?」


私達はそのあと3日後あの公園で会う約束をした。


そして今、この一ヶ月のお互いのことを話していた。



「…あんときって?」


「コンビニで会ったとき」


「…だってまた会えるとは思ってなかったし、
何より会えてもまたさよならなんてやだったんだもん…」


せっかく会えたのに二度も同じ思いなんてしたくない。

そう言うと孝介は私の手を握って


「これはもう夢じゃねぇから大丈夫だ。

これは現実だ。」


「うん、そうだね。

ありがとう!」



もう怖いことはない。
これは夢じゃない。



これは



現実の恋





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あきゅろす。
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