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短編A
あと一歩(泉/幼馴染み)



あともう一歩が踏み出せない





ウチと泉は幼馴染みだった。小学校の時はお互いに下の名前を呼んでいた。
けど、アイツが中学に上がるとき野球部に入って頑張ると言ったときウチの中の何かにヒビがはいった。

ウチはそれに気づかないフリをして応援しようと思った。
でも気づかないフリは出来なかった。
アイツは中学に入ってからウチの届かない所へ行ってしまった気がした。
だからウチは邪魔にならないように、そして自分が傷つかないようアイツ…泉と距離を置き始めた。

最初は自然に話さなくなったように、次は名前から名字で呼ぶようにした。
そして最後は泉からほぼ完全に距離を置いた。
勿論行く高校も言わずに…




まぁ結局は同じ高校に来たけどクラスは違うし泉のことだから平気だと余裕ぶっこいていた。なのに何故か泉はウチの目の前にいた…



「なんで!?なんでアンタがここにいるの!?つうか何故ウチがこの学校にいるの知ってんの!?」


「何故って水谷に教えてもらったから」


「(んだと〜!)」


ウチは水谷を全身全霊で睨み付けた!それを感じたのか此方を向いて困惑していた。
そりゃそうだ、今までロクに話したことのないクラスメートに睨まれているんだからな。


「お前なんで同じ学校だって言わなかったんだ?」


「別に、泉には関係ないじゃん」


ウチ等が話していると野球部の奴等が入ってきた


「お前ら知り合いだったのか?」


そう聞いてきたのは野球部の主将(通称、野球部のオカン)花井
それを聞いて頷いているのが同じく野球部の副主将(通称、野球部の鬼)阿部
だった

勿論ウチはもう距離を置くと決めたから違うと言おうとした


「知r「あぁ俺と秦は幼馴染みなんだよ」……


コイツ絶対わざと邪魔しやがった!!そしたら水谷は目を輝かせて阿部はどうでもよさそうで(だったらどっか行けよ!)花井は意外そうな顔をしていた


「泉に幼馴染みがいたんだな」


「やべっ!俺初めて幼馴染みってのみた!!」


花井と水谷がそんなこと言っている間にウチは何処で間違えたのか頭を抱えていた。
そんなこと考えていると阿部がいらぬことを聞いてきやがった。


「なぁ幼馴染みなのに、何で永良は泉のこと名字で呼んでんだ?泉は名前で呼んでんのに?」


ドーン!!


ウチの中で何かが落ちた


「(えっそこに触れる普通…つうかさっきまで興味無さそうだったじゃん!聞き逃せよ!知らぬフリしろよ!じゃないとウチがピンチになるだろうが!!どうしてくれんだよ阿部!)」


「あ〜そうなんだよ、いつの間にかコイツ俺のこと名字で呼び始めたんだよな。周りのヤツビックリしてて俺が何かしたって言われてたんたぜ?」


「別にいいじゃん!
それに幼馴染みだからって名前呼ばなきゃいけないなんてない、だから、ウチは呼ばなくなっただけ」


「けどよ」


「しつこい!ウチ用があるから」


苦しい言い訳かもしれないけどこれ以上此処にいたくなかった
だからウチは逃げた

(大丈夫だ!きっと逃げ切れる!だって昔はウチのほうが足速かったし!…うん、いつの話?とか思わないで!小学校の頃だけど何か!)

そんなこと思いながらウチは廊下を走った


「うわっ!永良、足速!すげぇ!」


「いいのか泉?追いかけなくて?」


「ん?追いかけるぜ?アイツには答えてもらわねぇと困るからな」


「…答えって?」


「何で急に名字呼びになったのか距離を置き始めたのかまぁ色々とな(笑)

答えは知ってっけど本人から聞きてぇし」


そう言って泉は秦より速く走っていった



それを見ていた人達の殆どが早くくっつけばいいのにと思っていた





泉が秦に追い付くまで後10b
泉と秦が付き合うまで後数分





(うわぁー―ん!!泉のバカ―!!!)(誰がバカだ!)




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