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青春謳歌(山本/甘)
いつも通りの道。同じ道なのに、今日はなんだかいつもと違って見えるんだ。
「どうした?」
前で自転車をこぐ山本の腰にまわした腕の力をぎゅっと強くすると彼が聞いてきた。
「私達もいよいよ卒業だなーって思って」
「はは、そうだなー。卒業できてよかった」
「テストいつもギリギリだもんね。でもいざとなったら野球があるでしょ、山本は!」
「んーそういうところで野球に頼りたくないんだよな」
「偉い偉い」
山本のそういうとこ好き。いつも笑ってるけど、本当はとても悩む人。そして友達のこと、友達じゃなくて会ったばかりの人のことも考えることができる人。
野球やってる姿だけでもかっこいいっていうのに…性格もいいとは。ずるいぞ山本。
…というかよく私そんな人の彼女やってるなあ。
「卒業しても野球やるんでしょー?」
「もちろん!甲子園目指すぜ」
「山本ならいけるよ!」
「名前を甲子園に連れてってやるのな!」
「なっ…」
不覚にもきゅんときたよ!今タ〇チの南ちゃんの気持ちわかったかも!
言葉を詰まらせた私に山本は笑う。笑うなばか!
「じゃあまた朝早いんだね」
「そうだなー。名前、一緒に行けるか?」
「んー早いからなー…」
「大丈夫だって!中学3年間朝早く一緒に行ってたんだから」
「わ、わかったよう…」
「うし!名前が朝強くなってくれると嬉しいのな」
「なんで?」
「だって将来朝早くても見送りしてもらえるだろ?」
そ、それって……
今山本普通に言ったけど、
それって、…。
私の顔はきっと赤くて、私はまた腕の力を強めた。
いってらっしゃいって言うのは私
(けろっとしてる君が)
(なんだか憎い!)
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