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君×夏×僕(雲雀+10/甘裏)
汗が額から頬に、顎に流れ、僕の下にいる彼女に落ちた。彼女の汗ばむ額を露にするように前髪をかきあげそこに唇で触れる。そのまま生理的な涙を流す目元に、鼻先に、頬に、―首にわざと音をたてて触れる。
「、ねえ」
「なに」
「意地悪…わかってるくせに」
「…言わないとわからないな」
拗ねた彼女はふいっと顔を反らした。クツクツと笑みがもれる。彼女の頬は蒸気したように熱く、赤い。互いの汗ばむ体をくっつけるのは生温く少し気持ち悪い。僕と名前の乱れた着物も、汗でべっとりと肌に付着している。
かといってクーラーをつけるためにわざわざベッドから出る気にもなれず、僕らはそのまま行為を続けてきたというわけだ。
「…名前」
「ん、……っ」
名前を呼び、顎を掴んで無理やりこちらに顔を向けさせ彼女の唇に触れる。触れるだけで顔を離し、鼻先が触れる距離で見つめ合うと、彼女は不思議そうな、いや不満そうな顔をしていた。
「どうしたの?望みのものはこれかと思ったんだけど」
「…今のじゃ、いや」
「じゃあどうすればいいの?」
きっと恨めしそうに睨むものの、そこにはまったく迫力がない。話すと唇の先が触れて、それが彼女にはじれったいようだった。
「ちゃんと、…して、よ」
「…まあいいや」
先程とは違い貪るようにキスすると彼女は少し息苦しそうに、だけど満足そうに快感に身を委ねた。
僕はいつもキスをするときは目を開けている。対する彼女はいつも目をぎゅっと閉じている…のに、今日は薄目で僕を見つめた。僕が目を開けているとは思わなかったのかすぐに瞼を閉じる。そんな小さな行為すら愛しいと思う僕は彼女に溺れているのだろうか。
「濡れてる」
もう何回も快楽に溺れた体は簡単に僕の指を受け入れた。僕の言葉に恥ずかしそうにまた目をぎゅっと閉じる彼女。あ、締め付けた。
「ねえ、もう…っ」
「どうしたいのか、言ってよ」
「……っばか、もういい!」
「ワォ、いいの?」
指をぬくと彼女が一瞬切ない表情をする。…そんな物欲しそうな顔しないでよ、堪えられなくなるだろう。
僕の脚の下で彼女が脚をもじもじと擦り合わせる。何を言えばいいのかわかっていてもなかなか決心がつかないらしい。
「言わないと、あげないよ」
「…っ、…やだ…!」
「…はあ」
早く言ってよ、急かしながら彼女の胸で存在を主張するものを指で弄ったり口に加えたり。刺激はあげるけど快感に届くほどにはあげない。
「きょう、や…っ」吐息まじりに切なげに僕を呼ぶ名前の方を、見上げる形で見つめた。
「く、ださい…、恭弥の、」
羞恥のあまり涙をぼろぼろ零す名前。うん、君にしては頑張ったほうかな。
彼女の入口に僕のそれを擦り付け、挿れようと…
、の前に。
「んうっ…」
「…は」
舌を絡め唇を重ねた。これが僕らの合図。
名前が両手を僕へのばして僕の頬に伝う汗を拭った。ふわり、余裕なんかないくせに優しく笑う。その両手はそのまま僕の首に回され、僕は彼女の中へ中へと溶けていった。
君×夏×僕
終わったら2人で風呂に入って汗を流そうか。いや、このまま体を重ねてまどろむように寝てしまうのもいいかもしれないね
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