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Let's ぷりくら!(雲雀/ギャグ)
▽説得しましょう
「やだよ」
「そこをなんとか!」
「なんで僕が」
「恭弥と撮りたいんだよう!」
「…」
久々に2人で出掛けてます。つまり、デート!
どきどきわくわくしてやって来た今日、今私達はゲームセンターの前で争ってます。
「プリクラ一回ちゃちゃっと撮るだけだよ、ね撮ろうよ」
「…」
憧れだった、付き合った人とプリクラを撮るっていうの。恭弥的には「わけわからない」らしい。確かに恭弥がプリクラを好きだとは思えない、思えないけど。
私今回は折れないから!
「恭弥、お願いっ!」
「撮ってどうするわけ」
「お、思い出、とか」
「それだけ?なら写真でいいじゃない」
「…」
そりゃそうだけど…
うう、やっぱり無理か…
「わかった、あきらめる…気にしないでね」
くるっと踵を返した私の腕を掴んだのは紛れも無く恭弥。内心ちょっと期待してたのは内緒にしとこう。
「そんな顔されて気にするなってほうが無理でしょ」
「だって…一緒に撮りたいんだもん…他の人じゃなくて、恭弥と」
「…」
「…」
「はあ…そこまで言うなら、いいよ」
「え?」
「ぷりくら、だっけ。撮ろうかって言ってるんだよ」
「本当!?やったあ!うわ嬉しい…っありがと恭弥!」
「ただし」
浮かれた私を戒めるように、恭弥はその言葉を強調した。
―ただし、僕の言うことも聞いてもらうからね。
「…私にできる範囲?」
「もちろん」
「一つだけ?」
「それでいいよ」
「じゃあ、その条件のんだ!」
「後悔しないでね」
不敵に笑った恭弥にどきり。いやかっこいいからとかじゃなくて(かっこいいんだけどさ)なんか嫌な予感がするというか…
だ、大丈夫だろうか…
「さあ行こうか。さっさと撮るよ」
「う、うん!」
恭弥が一気に乗り気に!?条件ってなんだろう、恐ろしい…!
▽プリクラ機を選びましょう
ずかずかと私の前を歩いていた恭弥の歩みがプリクラコーナーに入った瞬間止まる。くるっと振り返った恭弥は一言どれにするの、と言った。
何台もあるプリクラ機、恭弥にはその違いがよくわからないらしい。
私は適当に空いていたのを選び近寄る。
「えと、お金は四百円だよ」
「ワォぼったくりだね」
「分け合えば安いよ?」
「その必要はないよ」
「え」
恭弥はカウンターの方に歩いていき店員さんと何か話し始めた。こちらから見える店員さんの顔は真っ青で、戻ってきた恭弥は「無料でいいって」と言ってプリクラ機の中に入っていった。
恭弥の権力恐るべし。
▽撮影設定を決めましょう
「恭弥、どれにしよっか!ぼんやり・普通・くっきり…」
「なんでもいいよ」
「…」
い…一緒に悩んでほしかった…でもまあいっか。だって一緒に撮れるだけで嬉しいもん。
恭弥は後ろの壁に目を閉じ腕を組んで寄り掛かって立っていて、そんな恭弥を余所に私は真剣に悩んでいた。
肌色設定はどうしようか…いつも友達と撮るときは美白にするんだけど。
ただ美白にしたら私はある程度白くなるかもしれないけどもともと白い恭弥はどうなっちゃうのかな。光るのかな。まさか消えるかな。…
ええい!ここはオススメだ!
…あとは、コース?
オススメコース、友達コース、…恋人コース!?な、ななな何それ…!?なんか興味あるけど押せないっむりむりここはやっぱりオススメコース!
はあ、はあ。
あとは背景デザイン選んで…
よし、できた!
《撮影するよ。後ろのカーテンが下りるから気をつけてね》
「あ、恭弥危な…」
どん!!
手遅れでした。
「…っ」
「き、恭弥…」
当たったところを片手で抑える恭弥。頭…痛かったんだね、わかるよ。わかるから…
「…咬み殺す!!」
「恭弥ちょっと待ったーー!!機械壊しちゃだめーー!!!」
彼とのプリクラは大変です。
つづく
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