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君攻略マニュアル(白蘭/切甘?)





「やっ名前チャン」



「…白蘭…また仕事サボって来たの?」



呆れたように溜息をついたのに当の本人は気にとめてないようで、にこにこと貼付けたような笑顔を浮かべて私の隣に座った。この公園のベンチで本を読むのは私の大好きな時間。

いつの間にか隣に白蘭がいるようになっているけど…



「今日は何の本ー?わ、難しい本読んでるんだね」



「別に。白蘭は本を読まないの?」



「うーん…ちょっとしか」



「そう」



ぺら…と本のページをめくる音が私達の間に響く。白蘭は背もたれに頬杖をつき足を組んで私を見ている。最初はなんなんだと思ったけど最近はたいして気にならない。



「名前チャン、僕ひま」



「そう」



「相手してよ?」



「私今本読んでるの」



「知ってる」



ねえねえと言いながら白蘭が私の肩に頭をのせた。一瞬びくりと体が反応したけど私は素知らぬふりをする。

いつもこうして時間を過ごすけど、時々白蘭は夢物語をする。

この世界以外にも世界があって、白蘭には他の世界のことがわかると。

他の世界でも私達は出会っていて、私達は恋人同士であったと。


へえ、そう、
と適当に相槌をうつけどその話はとても興味深い。あるとき白蘭にそれって面白いね、と言ったら白蘭は珍しく目を見開いて「名前チャンこそ面白いね」と言った。



私はこの時間が好きだ。
ゆっくりと本を読んでいると白蘭がやって来て私の隣で話をする。いつからかその話にひきこまれて最後は本を読むふりしながら白蘭の話に耳を傾ける。

言ってしまえば、
私は白蘭が好きなんだ。

でもこの気持ちは絶対に伝えたりしない。ずっと、ずうっと。



「ねえ聞いてる?名前チャンはつれないねー。他の世界の名前チャンはみーんな僕を好きになったのに」



「そう簡単に私はつれないんだから。甘く見ないで」



「ふふっさすが名前チャン。攻略しがいがあるよ」



あなたの夢物語の中の私に私が従ってしまったら、
あなたは私の元から消えてしまうでしょう?私に飽きてしまうでしょう?


だから…そう簡単に私は攻略されたりしないの。



攻略方法なんてない

(本当はこの白い悪魔に)(とっくに堕ちている)







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