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創作小説

≪好きな人との身長差≫

―‐それは、大概の人が自分より背の低いか・高いか、どちらかの方が良いと望んでいると思う。
男なら自分より低めの女を、
女なら自分より高めの男を、
という具合に。
…‥で、どう思う?

 何を思い付いたのか、急にこんな事を尋ねてきやがった。

テメェさ、俺が理屈やらを捏(コ)ねるのを苦手な事を承知で、尋ねてきてねぇ?

その顔は確信犯だな?

わーったよ、答えりゃ良いんだろっ!?

 …‥俺は、同じぐらいの身長が良いな。

 自分より低かったり・高かったりすると、困るじゃねぇか?

何が…‥って

キスだよ、『キス』!

 相手の身長に合わせて、ちまちま、屈(カガ)んだり・背伸びしたりするのはメンドくさくねぇ?

 テメェッ!
今、ズボラとか思わなかったか!?
第一、テメェが答えろっつぅから……‥‥ったく、続きを言うから、テメェは最後まで黙って聞いてろっ!
途中で口を挟むんじゃねぇっ!

 身長が同じぐらいだったら、何時(イツ)でもキスが出来っからな。
額(ヒタイ)もあるけどよ、どうせするなら、唇が良いだろ?

 こら、目を放すな。

他にもあるんだぜ。

 テメェと同じ視点で世界を見れるんだ。

身長が違うだけでも、テメェが見る世界と俺の見る世界は異なっちまう。

俺はな、好きな奴と同じ世界を見たいんだよ。

(おーおー、茹蛸[ユデダコ]みたいに顔を染めちまって、かわ…‥)

‥…って、蹴んな!

 あ″あ″!?
素で恥ずかしい事を言うなって?

別に、あったりめぇの事を言っただけだろ?

 それにな…‥

【俺は、にやんと笑ってから、相手を抱き締めた。】

 身長が同じテメェを抱き締めっと、テメェの真っ赤になった顔が真横にあって、最高だろ?

だーかーらー、暴れんなって。

こんな風に、テメェの肩に俺の顎(アゴ)を乗せることも出来るし…‥、






ほら、キスも出来る。






(赤がテメェの顔から、引かねぇなぁ。照れてんのか? 恥ずかしいのか?)

 今更だろ?
キスだなんて。

ほんとっ、テメェは"可愛い"な。

狽ョえっ、俺の足を踏むな!
その上に憎まれ口を叩くな!
抜けだそうとすんな!
まだ、俺の腕ん中にいろ。

【おでこを合わせ、至近距離で相手を見る。そして、出来るだけ低い声で相手に囁いた。】

 なぁ、知ってたか?

『可愛(カワイ)い』って漢字は、『愛』する事が『可』能だ、って書くんだぜ。

俺が言いてぇ事、分かるか?

 『可愛い』って言葉を、俺が使うのはテメェにだけだし、他の奴等に言う気は、さらさらねぇ。






 テメェが一番『可愛い』。

【やっとおとなしくなった身体を抱き締めてやる。】

 テメェは憎まれ口を叩くわ、素直じゃねぇ上に暴力的だが、悪くねぇ。

むしろ、テメェらしい。

『恋愛』に程遠かった俺でも、飽きそうにも、退屈しそうにもねぇし、それよか、もっとテメェと『恋愛』したくなる。

テメェといると『愛(イト)しさ』が溢れ出ちまう。

 やっぱ、身長は同じくらいが良いな。
好きな奴と世界を共用出来るし、何よりも同じ世界を見ている事が嬉しい。

(思ってたより、コイツとの『恋愛』にハマっちまってんなぁ、俺。)



 なぁ、好きだぜ。



【そう言って、わしゃわしゃと相手の髪を撫で上げると、それに答えるかのように"ぎゅっ"としがみついてきた。】

(蹴られたくねぇから、声には出さんが、無茶苦茶『可愛い』。)





【触れるだけの口付けを…‥恋人である相手と交(カ)わした。】




―‐好き…‥だ。




(素直ってのは、思ってたよりも良いもんだな。)

【相手の蚊みてぇなに本音に、俺は心密かにそう思った。】











END


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あきゅろす。
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