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被らない帽子と抜かない刀
8 +後書き

 アイツが海に飛び込んだ理由が、ちっとも分からないのだ。

"アレ"は俺の刀だ。
何故、お前がそこまでして取りに行くんだ?
遠回しにおれを馬鹿にしたかったのか?

分からない、
判(ワカ)らない。
苛々(イライラ)する。

(それに、)

ゾロは付け加えて思った。

アイツが飛び込んで来たとき、一瞬だけ視線が合った。

その時のアイツは、










 笑っていたのだ。

何で笑っていたのか、分からない。

落ちいくテメェが笑う程、俺は阿呆面をしてたのかよ。
滑稽だったってのかよ。

(ムカツク。)

そう考えると、ゾロは非常にイラついてきた。

むかつく、
ムカツク、
むかつく。

何遍も、頭の中で一つの単語を繰り返す。

(だが、)

ゾロは思い返した。

その時、アイツが見せた顔が、あの笑った顔が何処(ドコ)かで見たような気がするのだ。

けれども、それが何処で見たのかが思い出せない。

(何処だったか、)

瞼(マブタ)を閉じながら、ゾロは考えた。

 そう考えていると、ブーツの足音が近付いて来た。
それが誰の足音だか分かっていたので、ゾロは瞼(マブタ)を開けずに無視する事にした。

 何かが自分の近くで咲く音がした。



‥…‥3



…‥2



…1



「ぶはぁっ! テメェッ、おれを殺す気か!?」

ゾロは慌てて上半身を起こした。
ロビンがハナハナの実の能力を使って、ゾロの鼻をつまんでいたのだ。

「あら、ごめんなさい。いつも、蹴りで起こされているから、これぐらいでなきゃ起きないと思ったの。」

謝っている内容なのに、ちっとも謝りの感情が入っていない口調でロビンが言った。

「ンで、何なんだよ?」

やっぱり、この女は苦手だと思いながら、尋ねる剣士に、

「コックさんが流れ着いているかもしれない島が見えてきたから、知らせに来たのよ。」

と、考古学者は淡々と答えた。

「クソコックが?」

気になる固有名詞に、剣士の眉がひくりと動く。

「ええ。」

短く返答すると、ロビンは後方甲板の手摺を掴み、視線の先をゾロから海に移動させた。











「自ら、嵐の海に飛び込むっていうのは、どんな気分がするのかしら?」


波は緩やかな単調な動きを繰り返し、数羽のかもめが愚痴っぽく鳴きながら、船の回りを旋回している。

「さぁな。」

興味が無い、関心が無い、とでも言いたげに、ゾロは答えてやった。

 どんな気分だなんて、きっと本人にしか分からない事なんだろう。
この船に今は居ない、コックにしか…‥。

 G・M号は、ゆっくりと『フォリー・ベルジェール』島へと近付いていった。






≪ To be continued ≫



■□後書き□■

 ♪突然の風に吹かれて…‥
("突然" song by "Fierd of view")
ってな、感じですね(この曲を知っている方、いるかな?)。

 急に真面目なタイトル名になりました。

 長かった!
ってか、一章で@の二章分以上だよ!?
そりゃあ、長い訳だι

 今回は戦闘の記述が大変でした。
今までは一対一がリアルタイムに一グループだけ描かれてきたのですが、今回は、あっちではナミ達が、こっちではサンジが、向こうではゾロが、あちらではルフィが、とバラバラにほぼ同時進行で戦闘をしたり、動いてたりしてたので大変でした。
それに付け加えて、一人一人が特殊な闘い方があり(ロビンはハナハナの実の能力者だし、ルフィはゴムゴムの実の能力者だし…‥)、今までの感覚では書けなくて、何度も、頭の中でシミュレーションしました。
(闘い方や技名を知る為に『ワンピース・レッド』を購入したのは、ここだけの話。)

 出て来る敵は完全なオリジナルです。
参考にしたのは映画『デッドエンドの冒険』に出て来る『ガスパーデ』ですね。
白と黒の明快なコントラストしたのは、単に作者が好きなだけです。

 気付かれた方もいると思いますが、後半のゾロに対するロビンの態度は密かに怒っています。
ロビンは他の船員よりも大人なので、動かしやすい面もありました。
逆に動かしにくかったのは、ルフィ。
彼の行動は読めない上に、想像しにくかった。
人数も多いので、他のキャラの影を薄くしないようにするのも、一苦労でした。

 今回の話に出てくる島の名前、
『フォリー・ベルジェール』、
『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』、
というのは、見覚えのある方もいると思います。
二つとも、美術の教科書に出てくる作品名です。
作者が美術好きなので、有名な画家(ルノワール・マネ・モネ等)が集まるバーの名前を拝借致しました。

 実は、パソコンから見ている人限定ですが、ドラッグすると、隠れ文字が出てくる箇所があります。
敵の技名、ですね。
知らない方(ホウ)が面白いと思ったので、あえて消しました。
気になる方は、パソコンから確認してみて下さい。
別に知っても知らなくても、話に問題ありません。

 それでは、次回をお楽しみに♪





2006/04/29/土
訂正:2008/01/23/水

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