無自覚さん 〈OP〉
ワンピースのゾロ受けサイト
「M＆B」の茶々助様から700hitキリリクで頂いたL→Z←Sの素敵小説です
無自覚さん
・腐男子ゾロでL→Z←S。
・小咄の腐男子を先に読んで頂くと分かりやすいです。
ゾロには、他人にはとても暴露出来ない嗜好があった。
麦藁の一味のサニー号内のキッチンでは、戦争が繰り広げられている。そこかしこにゴムの手を伸ばして食料を奪い取る船長から、自分の分を守る為に船員達は必死だ。当事者のルフィは航海師に殴られ、狙撃手に罵られ、コックに怒られ、船医に泣きつかれているが特に気にせず本日の昼食を楽しんでいる。船大工は器用に自分の食料を皿に集め、音楽家は面白そうにヴァイオリンを鳴らしている、そんな何時もの光景。傍観者を決め込んで、それを微笑みながら眺めているのは考古学者のロビンだ。
大食漢ではないロビンは割と直ぐにご飯を食べ終わってしまうので、現在は食後にサンジから貰ったカフェモカを啜っている。毎日の騒々しい食卓がとても心地良い。少し前はこんなにも落ち着いた日々に対して怯えもあったが、今は無いと落ち着かないぐらいだ。
ふふ、と声には出さずに微笑むと、視界の隅には萌黄色の頭をした剣士が写る。自分が一味に加入する際に、一番警戒していた厳格な男だ。何だか気になって観察してみると、無表情なのは毎度の事だか、時折照れたり、悶えたり、仕舞いには軽くテーブルを叩いたりして、小さく興奮している。（何か悪い物でも食べたのかしら…？）と少し心配になるも、この船の食料は全てサンジが管理している為クルー全員同じ物を食べている筈だ。ゾロ一人に効果が出る食材など稀だろう。
ならば、どうしたのだろう。
好奇心はどんどん膨らんできて、食い入る様にゾロを見つめる。じーっとした視線に気づかない位、何かに夢中になっているのだろうか？珍しい。ゾロが夢中になっている目線の先を追ったら、其処にはルフィとサンジが居た。
２人共、見られている事には気づかずに口喧嘩をしている。
「食べ過ぎなんだよ！クソゴム！」
「だってしょうがねぇじゃんか〜美味いんだから！」
「だからってナミさん達の分まで食う奴があるか！ああ？！」
サンジがルフィの頬を抓って顔を近づけると、その瞬間、ゾロの方から「ぶふぉっ！」と言う鈍い音がした。
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（ヤバイヤバイヤバイっ！さっきのはヤベェだろ…！全く鼻血が出るかと思ったぜ…）
あまりの衝撃に耐えられず、急いで顔を押さえてキッチンから出てきてしまったが変ではなかっただろうか？。展望室兼、図書室に駆け上がってきたゾロはバクバクと脈打つ胸を片手で抑えて膝をついた。
（あ…でもあの後どうなったんだろうな…映像電伝虫でもあれば…！。クソッ！大事な所を見逃しちまったぁ！）
お気づきの方も居るだろうが、言えないゾロの嗜好は、男性同士の恋愛が好きだということ。最近のオカズは専ら船長のルフィとコックのサンジで、彼の脳内では桃色に染まった２人がキャッキャッウフフと恋愛に勤しんでいる。客観的に見ると、そんな描写はどこにも無いのだが、フィルターが掛かると何でもそう見えてしまうのは腐女子のそれと一緒だ。
（しかし…コックは誘い受かと思ってたんだが、今日ので攻に目覚めそうになったぜ俺ァ。ルフィの無邪気総攻めは変わらないけどよ…。なんておいしいキャラをしてんだアイツはよ）
妄想を開始した思考回路は止まらない。テンションで熱くなる身体を持て余しつつ、結局はその後の様子を見るチャンスを自分で棒に振ってしまった事を嘆いたゾロであった。
************
一方その頃。
ポカンとした顔をして、キッチンに残された妄想のオカズである２人は盛大な勘違いをしていた。喧嘩相手が、キスする様な距離まで近づいたら、意中の人が部屋を出て行った。しかも、只ならぬ雰囲気で。ならば考えつく答えは一つしかない。
もしかしたらゾロ（マリモ剣士）は、おれの事が好きで嫉妬したのではないか…？！。
実はこの２人、どちらもゾロの事を恋愛対象として好き合っている。しかし、サンジはルフィの気持ちは知らないし、逆にルフィはサンジの気持ちに気づいていない。お互いの感情に全く気づかないまま、同じ答えを導き出したのである。凄い偶然と言うか、恋は盲目と言うか。恋はいつでもハリケーンというのは、あながち間違いでは無いのかもしれない。
当のゾロは、思考に飽きてきて、寝る体制に入ってきている。今夜から、２人に猛烈なアピールを開始されるのだが、やれ、気づくのはいつの日か。
奇妙な三角関係を悟りつつあるロビンは、クスッと笑って、傍観者でいようと決意した。
終
yasu様キリリク有り難うございます。遅くなり申し訳ありません…＞＜。あんまりL→Z←Sという感じが出せなくて不完全燃焼ですが、大変楽しく書かせて頂きました！。腐男子ゾロ君はひっそりとルサンの行動にもやもやしてたら可愛いですねっ！。稚拙な文ですが、少しでも気に入ってもらえると幸いです^^。
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