好き、だから言えない( N(→)Z )


気になりだしたのが何時からだったなんて、もう覚えてない
でも、熱くて温かい、大きい手の感触だけは、意識するよりも先に身体が覚えていた・・・・・











〜 好き、だから言えない 〜











同じ船に乗っているのだから、嫌でも顔を合わす毎日



あいつを視界に入れてしまう度に思い知らされる。

自分の気持ちが、想いが、
昇華する所か日に日に、時間ごとに大きくなっていく事を・・・・








大好きで愛しいあいつ



だけどそんな私の気持ちなんて、
あいつにはきっと邪魔でしかない事位ちゃんと分かってるの



あいつの目指すものがどれ程、大変で過酷な道なのか・・・・



『これは俺の誓いだ』


そう言って胸に痛々しく残っている袈娑懸けの傷を指さしながら、豪快な笑みを浮かべるあいつ

でも私は、一緒に笑い返す事は出来なかった
表面は呆れた顔を何とか保てたけれど、内心は違う


ゾロだからこそ、生き残れたといっても過言ではないその傷
生きている方が不思議なその傷と、あなたの生き様をいつも傍で見せ付けられて

きっと私より確実に早死にするであろうあなたと、その証拠のように永遠に残るその傷に、
身体中が、本能が、あなたを失う恐怖に駆られて、とてもじゃないけど、笑う事なんて出来なかった・・・・









『好き』


『愛してる』










何時だって私が本当に危ない時には、まるで絵本に出てくる王子様のように助けてくれるあいつ



怖い夢を見た時や眠れない時に、何も言わず何も聞かずにそっと傍でいてくれるあいつ



普段のあいつからは想像出来ない程、優しい手つきで私の頭を撫でてくれるあいつ

私は子ども扱いしないで、と怒るけど、
本当は嬉しくて堪らない事に、あなたは気が付いてるだろうか?





肩が触れたり、手が触れたり

そんな他愛のない、けど私にとっては歓喜とも悲痛とも呼べるあいつとの接触


クルーとしてならそんなにも気に留める事なんて、ない
けど、私にはそれが出来ない


あいつと少しでも目があったり、あいつに触れてしまった日の夜は
いつも考えてしまう・・・・






明るい笑顔と、絶対的な力で私を助けてくれたルフィでも
人一番気配りが上手で、時にビックリする程男を見せるウソップでも

いつも甘い言葉を囁いて、
全力で愛情を注がれ、尽くしてくれるサンジ君でもダメなのは何でだろうかを・・・・






そして最後には決まって自分に問いただすのだ




唐変木で甲斐性ナシ



野望が一番で絶対早死にするに決まってる



しかも親父ルックで、いつも不貞腐れた顔しているし、
そりゃ整ってはいるけれど、けして人相が良いなんていえる筈がない



そりゃ女子供には優しいけど、厳しさも兼ね備えてる



私を女としてじゃなく、個人として接してくれる






そうよ・・・・・







あんな強面顔の癖に眠っている時の表情は一転して幼くなる事や


不器用の癖に触れる時の手つきがものすごく優しい事


笑った顔はそれこそ破壊力抜群で


低く渋みのあるあの声を間近で聞くだけで鼓動は何時も跳ね上がる事に



あいつは気がついてないだろう・・・・・





普段は個人として接してくれるのに、ふとした瞬間、さりげなく施される女扱いが
一体どれほど嬉しくて、気恥しいか・・・・


それでいて、あの笑顔をみる度に
鼓動は収まる事を知らずに頬が知らず赤くなってしまう事を・・・・



きっとあいつは気づいてない




結局はいつも同じなのだ。
幾ら自分に問いただしてみても、最後は何時もゾロへの惚気になってしまう



そして夜が明け、また同じ一日

あいつの気持ちを押し殺して隠れて想い、見ている日々が続くのだ






この船にはトラブルメーカーがいるし、
何より何時天候が変わっても可笑しくないグランドラインにいるのだから


何かある日にはあいつへの想いを押し込める事が出来る程、成長する事が出来た。


グランドラインに入ったばかりの時なんて、
それこそ自覚したばかりで、どうしたらいいのかも分からず
沸き起こるどうしようもないイライラをあいつに向けてしまう事も多かった・・・・


それに比べて今は、
何かあった日は、あいつがロビンと仲良く話してても、微笑ましく見れる程に成長したのだ。


本当、成長したわ。わたし




だけどそれは、何か起こった日限定で、
平和な航海になると時に一日が長く感じてしまう。

そんな時は、押し込める事が何より難しくて
ついつい、抑え込んでいた感情が爆発してしまうのだ・・・



少しでもあいつの傍にいたい
話をする機会が欲しい


あなたに・・触れたい・・・・




だから平和な今日
感情をまたもや爆発させてしまった私は、



遠慮してか、それとも私と同じ理由なのか



渋りに渋るサンジ君を笑顔で黙らせて





平然を装いながら
錘を使って鍛錬中のゾロの元へ、冷たいタオルとドリンクを持って近寄っていく










「はいゾロ。タオル持ってきたから少し休憩したら?」

「・・・・・・」

「ちょっと!お礼位言ったらどうなのよ!」


せっかくタダで持ってきたのに、と頬を膨らませて少しだけ強い瞳で睨むナミ


そりゃ、思いっきり不信顔をされたのには傷ついたけど、
それよりもこうして、ゾロに近づける事が嬉しくて堪らない。

そんな気持ちがばれないよう必死な私の表情は、もしかしたら歪なのかもしれない・・・・

もう此処まできたら、不自然な態度を取らないようにしないと・・・




はい、とタオルを渡すために手を伸ばす


本当は、その滴る汗を私が拭ってあげたいけど、我慢我慢


でも、出来れば、少し位手が触れたらな、と邪な事も考えてしまうのは
恋する乙女だから仕方ない








そしてその微かな期待のおかげか、ちょっと所か大いに触れる事が出来た。



だがそれだけでは終わらなかった・・・・


ゾロががしっと、でも優しく私の手を握ったと思ったら、グイッと引っ張ったのだ





「キャ!」



チュッ



「ッ!!?///」




え?


今何が起こったの?



夢?幻?白昼夢?







だって、ありえないでしょ!




今、ゾロと・・・・///











「バ〜カ・・・・俺が何も知らないとでも思ったか」


私が口を押えて真っ赤な顔を隠す余裕なんてないまま、ゾロを信じられない目で見ると



ゾロは悪戯が成功した、とでもいうように

ベッと舌を出して子どものように可愛らしい笑みを浮かべ、
私が渡したタオルで汗を拭きながら、錘をしまいにか、倉庫へと向かってしまった・・・・・









未だ急な事態についていけず
口を押えながら真っ赤な顔をした航海士は


錘を仕舞終えたゾロが戻ってくるまで、そのまま立ち尽くしていたのだった。











END.


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急に思いたのを殴り書き


いや〜ナミが思ったよりも初々しいですが、当サイトのナミはこんな感じになるのかな?


ナミゾロは私の大好物の一つで
基本ゾロ総愛されのナミゾロが大っ好きですww









[2013/5/29]


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あきゅろす。
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