眩しい・・・








冷たい・・・








何で目が開かないんだろう・・・







っていうか今何時だ?







夕飯の準備しないと・・・






あれっ?






そういや、俺さっきまで何してた?








確か俺はキッチンにいた筈だ








其処にウソップとチョッパーが来て・・・








ミルクティーを出して・・・








それで・・・










それで?










「っ〜〜〜〜〜〜!!」


 ガバッ!!




バシャッ!!



「・・・・サンジ君目が覚めたのね。もう大丈夫?」






夢うつつの心地だったが、
さっきまで自分が何をしていたか思いだしたサンジは、勢いよく上半身を起こした。


その勢いで目の上に乗っていた濡れタオル(多分チョッパーがしてくれたのであろう)が、
たまたま傍にいたナミの顔面にクリーンヒットしてしまった。


本来なら自分がした非礼を、信念である騎士道精神を持ってして全力土下座で誤るのだが、
サンジは起き上がって最初に目に入った顔がナミだった事にテンションが上がり、
自分がしでかした事に気づいてない。


ある意味幸せモノだ・・・・・・









ナミは珍しく怒りもせず笑顔でサンジに労いの言葉をかけている。


(目・・・目の前に・・・神が与えた可愛い天女が!!)

「ナミっさっぁぁぁぁぁあん!!!
 その可愛いお顔がこんなにも近くに・・・あぁ僕はなんて罪作りなんだぁ〜〜〜〜!!!」



「・・・大丈夫みたいね」

( サンジ君お小遣い半分カットにするとして・・・そうだ良い事思いついた♪)


表面上はニコニコしているが、実は先程のタオルの事を根に持っていたナミ。

このお詫びに何をしてもらうか決めた後、まるでフッと思いついたように
ナミは直ぐにニコニコしていた表情から小悪魔のような裏のある笑顔に変わった。


此処で他のクルーがいたなら、
ナミの後ろに見える黒い三角をした有名な尻尾が見えて恐怖に震えていた事だろう。


それに全く気付く事のないサンジは、本当の本当に幸せ者なのかもしれない・・・・・








「ねぇサンジ君。私の事可愛いと思う?」

「もっ・・・もっっちろんですとも!!
 ナミさん!!貴方以上に可愛い女性なんて僕は見た事がありましぇぇん!!」



鼻息荒く、目は良く見るハートマークになり
上半身だけを器用にクネクネさせているサンジ




(ぁあ〜あ何て可愛いんだろうvvv
 まさにこの世が与えた最高の女神vvv

 神様ありがとうvvv)



勿論ナミの頭にはビシビシとサンジの心の声が鮮明に伝わっていた。


サンジの事は何とも思っていないナミだが、
異性から此処まで言われると、悪い気はしない。
むしろ気分は上がる。


例えそれが、それを一番言ってほしい人からの言葉でなくても・・・だ。



ナミは気分が良くなるのを感じながら、先程閃いた事を実施する為ににっこりと笑顔を作った。







「・・・ねぇサンジ君?






 私ならいいのよ?























 

 キス・・・してみる?」














「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」


「あら。いいわね。私も是非お願いしたいわコックさん」


実は後の椅子に座って本を見ながらも、
こちらを面白っ・・心配そうに見ていたロビンがナミの案にのってきた。

・・・実に面白そうという表情全開で(サンジは気が付いていないが)







「ぇ・・・・えぇっと・・・・・そんなお2人を選ぶなんて事・・・;;」


先程までの勢いは何処に行ったのか・・・・・
サンジは行き成りシドロモドロになり、誰から見ても分かるほど焦っていた。




それをジッと見つめるナミとロビン

特にナミはサンジのあまりに情けない反応に、内心大爆笑していた。







サンジはあまりに焦るあまり、心の中でどうすれば―!!何て叫んでいる。
悲痛な心の声が鮮明に聞こえてくるが、
ナミもロビンも、これぐらいで終わらすつもりなんて良心は欠片も持ち合わせていなかった。




「あら別に私達構わないわよ?」

「そうよ。両方としてみる?」

「えぇ〜〜〜〜〜;;」

(こ、困った!!麗しいお二人からこんな魅力的なお誘い!!!
 だが、俺には・・・・・ぁあああああああ、どうすればいいんだ!!!)



サトラレのおかげで思っている事も全部筒抜けなサンジの心中。



ナミとロビンは(心の)声が聞こえてくる度に笑いを堪えるのに必死だった。

あのロビンでさえも頬がピクピクしている。





本当に・・・知らぬが仏とはこの事だろう・・・・・












ナミとロビンがじりじりと迫ってくるのを、
猛烈に焦るあまりに思考回路がショート寸前のサンジは何所か遠い目で見ていた。





そんな所に、まるでタイミングを見計らったように
珍しく昼寝をしていないゾロがキッチンに入って来た。

これは、流石のナミやロビンも想像していなかった・・・・・



益々面白くなったとばかりに、
ナミやそれはもう輝く笑顔をゾロに向けた。





「あらゾロ」

「・・・?何やってんだ?」

ナミの笑顔に内心何を考えてやがる、と思いながら素直に思った事を聞く事にしたゾロ。
返答によっては即座に引き返す気満々であった。

何せ、まぁ不可抗力とはいえ
サンジが倒れた場に居合わせたのだ。

あれだけ派手に(鼻)血を流していたら、流石のゾロも心配したらしい。



だがその心配する気持ちより、
面倒事はごめんだという気持ちの方が圧倒落差で勝っている当たりが、何ともゾロらしい・・・・・・




「何ってサンジ君とキス♪」ニコッ

「へぇ〜そりゃ高そうだな」

「あら。じゃあ剣士さんは私としてみる?」ニコッ

「何いっ・・」




「ッダメです!!」



 



 シ〜〜〜〜〜〜ン








(や・・・・・・やっちまったぁ〜〜〜;;)



「んだよ。そんなにしたかったんならお前に譲るぜ?」


サンジの焦りを余所に、ゾロは言うだけ言って部屋を出て行った。


最後のセリフは、ゾロは少しの親切心と厄介事はゴメンだと思っての発言だった。
しかしこのゾロの言葉はサンジを大いに凹ませるには十分だった。






(ゾロは俺が誰とキスしても興味なんて・・・・・・)









(・・・あらら。コックさんも可哀想に)

(サトラレは、唯一想い人にだけ気持ちが伝わらないって所が一番不憫よね・・・・・)






自分が誰とキスをしても何とも思わないどころか、積極的に譲られてしまった。

まぁゾロがロビンちゃんとキスしなかったし、
結局自分もゾロへの気持ちを裏切るような事はしなくて済んだのだが

心中複雑なサンジは、ゾロのあまりの素っ気ない反応に思っていたよりもショックを受けた。



そのあまりの落胆ぶりに
ナミは思わず、「大丈夫?」と聞いたが、サンジの耳にはどうやら入っていないらしい。



この世の不幸が一度に訪れた様な空気を出しながら
フラフラと立ち上がり、夕食を作る為にシルク台に向かった。

哀愁漂うあまりにサンジの肩や頭からキノコが見えるのは絶対に気のせいではないだろう・・・・・・









これに焦ったのはこの状況を作り出した張本人達だ。

実はナミとロビン
サンジのあまりの奥手加減をもどかしく思いながらも、この状況をとっても楽しんでいた。


しかしこのサンジの只事ではない様子に
今回はちょっとやりすぎたかな・・・と反省した。






( サンジ君もいい加減に告っちゃえばいいのに )

( コックさんは思ったよりも奥手なのね )


( だけど今回はやりすぎちゃったかしら・・・)

( 相手が此処まで鈍いと大変ね・・・)










[2012・3・27][2013/2/25加筆修正]


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