「おいコック。何か飲み物くれ」


キッチンにいる3人の耳に扉の開く音が聞こえ、その次に聞こえた声は・・・・・


未来の大剣豪″という野望を追い続ける剣豪 ロロノア・ゾロだった。






そのゾロの姿というと
鍛錬終わりでシャワーを浴びたのだろう、上半身裸で首にタオルをかけた姿だった。



暑いのか、はたまた風呂上がりの為か



綺麗に筋肉がついている身体は、今うっすらと赤みを帯びている

しかもさっぱり汗を流して気分がいいのか、
珍しく爽快ともいえる爽やかな笑顔を浮かべていた。




ドアが開いたままの為、風がキッチンに入ってくる・・・・・

その風に乗って香ってくる、仄かなシャンプーと石鹸の良い匂い





まぁ一言で言えば色っぽいのだ。


普段でさえ無意識にさらけだすその色っぽさに、
故郷に彼女がいるウソップでさえドキドキしてしまう事があるのだ。




何より極めつけが上半身裸だ。
しかもあまり拭きとれていない髪からは、ポタポタと滴が落ちて床にシミを作っている。









(( これは・・・))





(( や・・・やばい!!!!))





ウソップとチョッパーの心は今、一つになった。







先程飲んだミルクティーのおかげで暖まった筈の身体も、
これから来るダメージを想像して一気に冷めてしまった。



身体が冷めたと同時に襲う強烈なる焦燥感。

ウソップとチョッパーの中で浮かぶ言葉は只一つ



(( すぐにでもこの部屋からでないと、自分達は危ない!!))








一方ゾロはというと
何も反応をかえしてくれない3人を、首をかしげて見ていた。


特にこちらを凝視して固まっているサンジを不思議に思ったゾロは、再び名前を呼んでみた。



ついつい名前で・・・・・




「サンジ?」

「・・・・・・ぶはぁあ!!」



無意識に名前を言った事に気が付いていないゾロは、
サンジの反応を待ったのだが次の瞬間

サンジは勢いのいい音と、飛び散る赤いモノと共にぶっ倒れてしまった。





倒れたサンジからは未だ鼻から流れる赤いモノ・・・鼻血を出し続けている。




それだけならまだしも・・・




サンジの顔は、放送禁止になる位気持ち悪く不気味な笑みを浮かべていた。







まぁ・・・・・
普段あまりお目にかかる事のない爽やかな笑みに加えて、
禁欲をそそるような艶めかしい姿、しかも仄かに香る良い匂い



トドメは首をかしげながら滅多に口にする事はない自分の名前を呼んだ事だ。





此処まできたら、皆さんお分かりだろうが
実はゾロに片思い中のラブコック様には、今のゾロは些か刺激が強すぎたみたいだ。




この何とも言い難い光景に焦ったのは、やはりこの場にいるサンジを除いた3人である。





「お・・・おいコック大丈夫か;;」


見た目厳つい冷めた感じに見えるゾロだが、実は気を許した相手には優しいのだ。


そのゾロは純粋にサンジの心配をしている。





・・・だがしかしウソップとチョッパーは・・・



今から頭に流れてくるだろうサンジの心の声″による
自分達が被るであろう精神敵被害に大いに焦っていた。



「お・・おい、チョッパー見てやれよ;;」

「・・・大丈夫だよゾロ。サンジは只興奮しただけだから・・・」

「興奮?一体何に興奮する事があったんだ?」

「「・・・・・・さぁ・・・」」

原因はお前だと大きい声でツッコミたいのをグッと堪えた。

今はとにかく、
気持ち悪い顔を浮かべて倒れているサン等放っておいて、速くゾロにきちんと服を着てもらいたかった。




意を決し、ウソップが口を開こうとしたら、床から声が聞こえて来た。

「ぅ・・・」



どうやらサンジの意識が戻ったみたいだ。



(( く・・・くる;;!!))








( 俺は一体・・・



 はっ!!そうだ!!ゾロ!!


 俺のゾロが・・・俺のゾロが・・・俺のゾロが!!!・・・



 裸で誘いにやってきた・・・




 くぅぅっぅううう〜〜〜〜なのに・・・

 
 なのに俺は・・・惜しい事をした〜〜〜。



 せめてそのむき出しの綺麗な肌に触れてから倒れたかったぁぁぁあああ〜〜〜〜〜〜)








頭の中に重々と流れて来る、サンジのピンク色の妄想に近い言葉に、


ウソップとチョッパーは誰の目から見ても分かりやすくドン引きしている。
あからさまに冷めきった目で何所か遠くを見つめていた。





しかし根っからのボケ・ツッコミ体質の優しい2人は、
これだけ被害を受けても、キチンと心の中でツッコミをする事は忘れていなかった。




(いつの間にゾロがお前のになったんだ! ビシッ)

(サンジは想像力豊かだな・・・うん)








パチ


妄想と後悔が終わり意識がはっきりしたサンジは目を開けた。


そしてせっかくだからと、

もう一度ゾロの身体を堪能しようと、顔をゾロの立っていた場所に向けたら・・・






何とゾロの顔が目の前に・・・・・




「おい・・大丈夫か?」

気がついたサンジを気遣う様に、出来るだけ優しく声をかけるゾロ





サンジビジョンでは、ゾロの周りだけが キラ キラ キラ と光っているように見えた。







「・・・・・・・・・・ぶはぁ!!!」




「っ!?お・・おいサンジ!!・・・サンジ?・・・・
 また気絶しやがったぜ・・・本当に大丈夫なのか??」




「「・・・はぁ――――::」」



「・・・ゾロ。サンジの事は俺達が見るから・・・・とにかく服着てきなよ。」

「え・・ぉ・・・おぅ。そうだな」


再び盛大に鼻血をだし気絶したサンジに流石のゾロも焦ったが、
チョッパーの申し出に少し戸惑いはあったが優秀な医者に任せたら大丈夫だと思い、キッチンを後にした。




その何も分かっていないだろう、ある意味幸せなゾロの後姿を見て
もう一度大きいため息をつく残った2人。





(なんでゾロは気がつかないんだろう・・・サンジがサトラレじゃなくたって、分かりやすいのに・・・)

(あいかわらず鈍感な奴だなぁ、ゾロは・・・)



きっと似たような事を思っていると確信しているウソップとチョッパーは、
無意識にお互い顔を合わせてまた、大きいため息をついた。










[2012・3・26修正][2013/2/24加筆修正]


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あきゅろす。
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