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「友達かルフィ?」

サンジの視線に気がついたゾロはルフィに訪ねた。

「おう。小学校からの幼なじみなんだ」

満面の笑みで答えるルフィにそうか、と答えサンジの方に視線を向けるゾロ。




「あ、あんたは?」

此方を向いたゾロに、益々顔が赤くなるのを感じたサンジは
それをごまかすように訪ねたのだが声が少しだけ上ずってしまった。




一方のゾロも自分の方が年上だというのに、敬っているのか怪しい言葉使いのサンジを
別段気にしたふうもなく、それどころかサンジに向かってニコッと微笑んだ。




「・・・・//////」

まさか微笑んでくれるとは思ってもおらず、サンジはその綺麗な笑みに見惚れてしまった。




そんな二人を面白くない顔で見ているのはルフィだ。




ブスッとした顔で、不機嫌丸出しの顔は、いつでも自分に素直なルフィらしいが、
生憎そんなルフィに気が付いていない二人は、お互い自己紹介を終えていた。



「ゾ〜ロ。早く帰ろうぜ!」


話が終わるのを見計らってゾロの背中に勢いよく飛びついたルフィ


そのおかげで、ゾロの視線からサンジは外された。
その事に双方分かりやすい位違う感情を浮かべているが、まぁやっぱりというか、ゾロは全く気がついてない。

さっきまでの不機嫌な顔を隠して、とびっきりの笑顔でゾロに帰る催促をするルフィ
さりげなくゾロの視線の先にいるサンジを遮るように、飛びついたのは勿論偶然ではなく態とだ。





(あ、あのやろ〜〜〜)


ゾロの視線から自分がいなくなってしまった事が、悲しかった。
同時に小さな子どものような笑みを浮かべてゾロに引っ付いているあいつが、羨ましくて嫉ましい・・・・・・


何でゾロが関わるだけで、そのような感情が産まれるのか、サンジにはもう分かっていた・・・・


(畜生!!負けねぇぞ!おれは)


外は雨で気温も低いのに、何故かサンジの周りだけは、半袖でも十分な位熱くなっていた。














ルフィの突飛な行動はもう慣れっこのゾロは、
特に突っ込む事もなく頷いたのだが、ふとルフィの後ろに隠れている友達の事が気になった。



「あんた傘は?」

「それが置いてあったけど・・・・・・・・」


何故か驚いた顔をした後すぐに困ったような表情を浮かべながら言うサンジ
その言葉の先を言わなくても簡単に想像がつく事に
、俺はどうするか迷った。

持ってきた傘は一本しかないのだ。
だが、ゾロは直ぐに閃いた。というか、自分の傘がある事を思い出した。






「じゃあ俺の傘に入ってけよ」

「えっ!」
「なっ!」

名案だとばかりに微笑みながら言ったのだが
帰って来たのは二人して、ありえないとでもいうような驚きの声とあんぐりと口を開けた間抜けな表情だった。


何か変な事言ったか?とゾロは自分の言った事をもう一度心の中で復唱した。
そこで、そういえば自分は目の前のルフィの友人とは今日初めて会ったのを思い出した。




( 初めて会った奴から行き成りそんな事言われたらそりゃ戸惑うわな )



「わり。そりゃ嫌だわな。じゃあルフィ、その傘そいつに渡して、お前が・・」
「大丈夫です!!」

俺の傘に入れ、と続けようとした言葉は
サンジのやけに威勢のいい声にかき消されてしまった。







真っ赤な顔をして俺を見るサンジ





「顔赤いぞ?風邪でも引いたか?」


そう言っておでこを触れば、もっと顔が赤くなってしまった。


本当に風邪かもしれない、と思ったら、実はまだ抱き着いていたルフィが
腰に回していた腕の力を強めてきたので、俺は思わずルフィの手を無理矢理剥した。


ルフィは剥した手を見て、何だか悔しそうな・・
そう、小さな子どもが好きな玩具を取られた時の拗ねて、癇癪を起こす顔をしていた・・・・・・・・



「ずりぃぞ!ゾロ!俺も顔赤いぞ!」

「嫌、お前は一つも赤くねぇよ・・・・」



ルフィがいきなり変な事を言うのは昔からだ。

それにしても・・・・
自分が関わると普段よりも更に幼さが増してしまう所は昔から何にも変わっていない・・・・・


何だかそれが残念でもあり、でも変わっていない友人が嬉しくもあり内心苦笑した。

昔からルフィと付き合いのあるゾロは、こんな時どうするかなんて、お手の物で
ゾロはある程度相手にしながら、本題に戻りサンジに本当にいいのか?と聞いた。


「むしろお願いします!!」

「ん?お、おう」

やけに威勢がいいな、ルフィの友人は


それにお願いしますって・・・・


(ククッ。変な奴)


まぁ超を超える破天荒なルフィと付き合える奴は、何かしら変わっる奴位じゃないっと、無理だろう。






そんな失礼な事を考えながらゾロは自分の傘にルフィの友人、サンジを招き入れた。



ルフィがサンジばかりずりぃずりぃ!と喚いているのを、無視して
俺達は未だ強い勢力で降り注ぐ雨の中を帰る事にした。






















高鳴る胸

早まる鼓動


身体の熱



初めての症状に戸惑いながらサンジはゾロが気になって仕様がなかった。



そんな人とこんな密着し状態で歩いて、意識しない訳がなかった。



「えっ!!じゃあ今までずっと外国でいたんですか?」

「おう。親の仕事の都合でな。それまでは今のお前の家で住んでたんだぜ」


サンジが知らないのも無理はない。
ゾロが海外に引っ越したのは今からもう十年も前だ。

そういえば、小さい頃自分家は
友人から借りたと親父とジジィが教えてくれた事があった。


話を都合よくとれば、つまりゾロは俺の家族と付き合いがあるって事になる。




家族が自分より先にゾロの事を知っている事が
面白くないし、それも致し方ない事だと分かっているが悔しい気持ちは変わらない。

サンジはほぼ無理矢理、自分が持つと言って半ば奪い取った傘のとってをギュッと握った。



「おいおい、そんな強く握ると壊れるぞι」

呆れたような顔を向けるゾロに、益々胸が高まるのを感じた。
感じすぎて、ついゾロが話しかけてくれたのに、返す事が出来なかったが、
ゾロは別段気にした様子もなく、隣を歩いているルフィとまた話し出した。




ゾロとルフィとは昔から、家族ぐるみでの付き合いをしていたらしい


それが羨ましくて堪らない。
どうしたら、さっきみたいに話かけてくれるか分からず、途方にくれる。

今までの経験値なんて、何の役にも経っていない事を痛感させられた。




(畜生・・・・俺はいつからこんなキャラになったんだ・・・・・)


前の自分では考えられない







そんなこんなで、あんまりゾロと話も出来ないまま
三人は自宅に着いてしまった。



「サンジ!腹減った〜〜〜」

「分かってるよ・・・その前にシャワー浴びてこい」



想像通りの展開―――


サンジはさっきまでの自分を叱咤し、
ゾロにも自分の手料理をごちそうすべく、声をかけようと意気込んだ。




「あの・・・・」


「ゾロも食べてけよ。サンジの飯はうめぇんだ!」
「へぇ〜」

(こ・・・・・・このクソ麦わら〜〜〜〜〜〜!!!!)


先を越されてしまった事もそうだが、どうも今日は調子が出ていない自分への腹正しいさに
ルフィに八つ当たりのように心の中で罵声を繰り広げる。




帰宅中に何度も頭の中で練習していたのに、ルフィのおかげで、パァになってしまった。








(ちくしょう・・・)


「ゾロも一緒にシャワー浴びようぜ!」

「あ?」
「なっ!!」
(何て羨ましい事言ってやがる!!!)


サンジは顔を一気に真っ赤にして、ルフィの頭目掛けて
学生鞄を思いっきり振り下ろした。


少し濡れるなんてなんでもない事だ。
そんな事よりも、ゾロの服を引っ張って家の中に入れようとするルフィを阻止する事の方が大事だ、


「あのな、ルフィ。何が悲しくて、大の男が二人でシャワー浴びないけねぇんだ」

「だって、風邪引いちまうぞ」


至極まともな事を言ってるようだが、サンジからしたら、聞きづてならない一大事だ。





何としても阻止せねば・・・・




「自分の家が目の前にあるのに、何でお前ん家でシャワーせないけねぇんだよι」









「え・・・」
「そういや、ゾロは何処に住むんだ?」

「?前と同じに決まってるじゃねぇか」


何を言ってるんだ?こいつ、とばかりに言うゾロに、俺はもしかしたら・・・・と淡い希望が舞い降りたのを感じた。







「って訳で、今日から宜しくな。サンジ」ニカッ


サンジだけに(此処重要)、サンジだけに向けられた雨の中でも色あせない、輝いてる美しい笑み


悪戯が成功した時に浮かべる子どもらしさを出した、眩しい笑みが




恋するフィルターで本来の何倍の威力に増幅されサンジの心を、貫いた。
























[2013/2/21]



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何だかルフィが思ったよりも可哀そうな扱いになっていしまいました。


ルフィも勿論ゾロに惚れてます。

しかし、ゾロからしたら、
引っ越し前の幼いルフィの印象が強くて、大事な幼馴染、そして大切な弟位としか思ってません。




因みにサンジの事もなんとも思ってません。

しいて言うなら・・・・
ルフィと付き合える位なのだから、サンジもマイペースかつ何処かしらが破天荒なのだろう・・・位です





でも、これからは一緒の家で生活するし、弟とも何とも思っていないので
ルフィよりかは一歩リードしていると言った所でしょうか〜


弟の壁はきついですよ(^O^)


頑張れ〜〜ルフィ〜









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あきゅろす。
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