視線の先( ALL→Z、N視点 )


気候が安定し、そろそろ島が大きく見えるようになった頃には
皆がルフィの特等席でもある船首部分に集まっていた。








島にまだ到着していないのに、活気づいてる町並みが海の上からでも強く伝わってきた。


「賑やかそうな街ねぇ」

「えぇ。楽しみだわ」


ナミとロビンが嬉しそうに話している。

久しぶりに大きな島に来れた事を素直に喜んでいる二人を、隣にいるサンジがデレデレした顔で見ていた。



鼻の下を伸ばし、目がハートになっているサンジを、いつもならゾロが心底馬鹿にしたような顔を浮かべて、
よけいな一言を呟いては恒例の、喧嘩という名の戯れ合いが開催されるのだ。

しかし今日は残念ながら、ゾロは少し離れた場所でチョッパーを肩に乗せて何か話していた。



それに気がついたサンジは、まだ目をハートにしながらナミ達にリップサービスをしていたが、
やはりかゾロが構ってくれない事に、小さなショックを受けたようで

少し寂しそうな顔を浮かべていたのを、この船きっての女性陣は当然気が付いていた。



もちろんサンジ自身はそんな自分の感情に気が付いていない。
だからこそ、無意識にチラチラっとゾロの視線をゾロの方へ向けるのを、聡い女性二人には可笑しく映った。

リップサービスを口にしながら気配はしっかりゾロに向けているサンジが可笑しくて
ついつい目を会わせて笑ってしまった。


「えっ、何?何か面白い事でもありました?」

「別に。ただ損してるなぁ〜って思って」

「フフッ」

「???」

私達の言葉の意味が分からず頭を傾げている。

もう目はハートにしていないが、そのおかげで
さっきよりもゾロの方を気にしているのが良く分かる。


実はこういった事は良くあるのだ。
だからか、こういう時サンジはトコトン損する性格をしているといつも思ってしまう。









本当は、ゾロの方に行きたいだろうに、けど女好きを自負するコックは、
そんな自分の気持ちと行動を認めはしないだろう・・・・・・


チラッとゾロの方に視線を向ければ、後ろからルフィに抱きつかれており、
チョッパーが落ちないように、必死にゾロの頭に抱きついている。




「チョッパーばかりズリィぞ!」


波の音に消されながら聞こえてきたルフィの声は、
怒っているというよりも、子どもの癇癪みたいに構って欲しくて拗ねているそれだ。

だからゾロは呆れながらも、放ったままにさせているのだ。





だがその姿はゾロ限定の仮の姿である事をゾロを除いたクルー全員が知っているのだが・・・・・

何より、後が怖いから教えてあげるつもりは微塵もない・・・・・





視線をゾロから外し、またサンジの方へ向けると、
サンジは私の視線には気が付いておらず、先程まで私が見ていた方へ向けられていた。

その横顔は先程まで私達に笑顔でリップサービスを口にしていた男と同一人物とは思えない程、
顔を嫉妬に歪めた一人の男の顔があった。






「フフ。コックさんも本当に損な性格だわ」

「ほっんと。行きたいなら、行けばいいのにね」


別に声を潜めもせず、いつも通りにロビンと話す。

勿論普段なら隣の男も気づくだろうが、如何せん今はゾロ達の方へ意識が飛んでしまっている。



未だ嫉妬を浮かべ、歯を食いしばりながら睨むように一点を見つめる、恋する男の横顔をもう一度盗み見る。


次いで視線を、男と一緒の方へ向けた。










こちらから見ればルフィの視線は明らかに、
ゾロにいまだ頑張って貼りついているチョッパーに向いており、
子どもの様に拗ねた顔にはなっているが、その眼には妬みの色が大いに含まれていた。




ああ見えてゾロはこの船で一番チョッパーに甘い。見かけによらず可愛いものに弱いのだ。


一度構えばついつい構いっぱなしになって、
自分に構ってくれなくなるゾロに、焦れたルフィが強行手段に出るのは今や珍しくない光景。


そんなルフィはゾロがいいようにさせてくれてるのをいい事に、抱きついて触りたい放題している。
でもちゃっかり視線だけはチョッパーに向けており、その眼からは「早くゾロから離れろ」という邪念が含まれているのを


もちろんチョッパーだけでなく、ゾロ以外の皆が知っていた。










一番の当事者であり、中心人物であるゾロ






ゾロの腹巻で隠れている細腰に遠慮なく両手を回して抱きついている姿が、
本当は獲物をじりじりと狙っている狼だと言う事にはいつ気がつくのだろうか











・・・また
そんなルフィを早くゾロから引き剥がしたくてしょうがないだろう
けれど、私達がいる手前でそんな失態を犯すなんて絶対に出来ないであろうこの船のコックを横目で見て、



本当にこの男は損する性格だな、とナミ達はもう一度深く思うのだった。


















で・も




自分達もゾロに構ってほしいのは事実。







本当は、ゾロに引っ付くルフィを離したいのは私やロビンも一緒なのだ。
まぁ因に私達はチョッパーがいても別に構わない。



だが、あの二面性男だけはダメ。







でもきっと大丈夫。
ゾロは女性にも弱いのだ。




島に降りて私達が付いてきて、とお願いすれば文句を言いながらも結局は折れてくれるのだ。



(ゾロから言わせれば、あれはお願いではなく、借金を形にとった脅迫だと渋面になる事は間違いないだろう)










だ・か・ら











今は男どもにゾロを貸してあげる。










その代わり、島に付いたら私達のものなんだからvvv








近付いて来るんじゃないわよvvv













END.



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最後は女性陣で締めました。

うちのゾロゎ皆に愛されてます!


その事に気がついてない鈍感なゾロもまたよし!


ALLとかいたのに、今考えるとウソップがいません
でもウソップもゾロと話したくてウズウズしてます。
けれどもルフィが恐くて近寄れないのです(笑)











[2012・9・28]

[2013/2/23加筆修正]


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あきゅろす。
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