「んで?なんだ、話ってのは」








仕込みの終わったサンジはゾロの前にドカッと勢いよく座った。

直ぐに用件を言ってくるのかと思いきや、一向に話す気配も見せず俯いたまま。
このままじゃ、何時までもたっても終わらないと思ったゾロは、直球で聞く事にした。




ゾロの言葉に少し身体を揺らすサンジ。


( こいつ、何緊張してんだ?)



緊迫したサンジの気配に、ゾロが不思議そうにサンジを見ていると・・・







ガタッ!!



「!!」





勢い良く突然サンジが立ち上がった。




大きい音から勢いのよさが伺えるが、椅子は備え付けなので倒れることはなかった。
もし備え付けでなかったら、確実に倒れていた事は間違いなかった。




「ど・・・どうしたんだお前。少し前から可笑しいぞ。
 何か言いてぇ事があるなら、ウダウダしてねぇでさっさと言いやがれ!!」

ゾロはサンジの急な行動に些か驚きながら、
これまでの変な行動の理由を、折角だからこの機会に聞く事にした。




「可笑しい・・・?」

ゾロに変だと言われて、漸くサンジは顔を上げた。


その顔は何処か切羽詰ったような・・・泣きそうな顔だった・・・・・・







思いもよらなかった
必死で、どこか切なさを含んだ表情に固まっていると、いきなり胸倉をサンジに掴まれた。




こいつやる気か?と、こちらも身構えようとしたら、どんどんサンジの顔が近づいて来た。





「な・・っ・・何しやがる!!」


バギッ!!!



ガタン!!







どんどん顔を近づけてくるサンジに
一体何がしたいんだこいつは?と、のん気にもそんな事を思っていたが、
悲しくも今日までこいつにされた散々たる迷惑行為のおかげで、
今自分の顎にそっと添えられた手で、こいつが何をする気か気づいた瞬間

思いっきりサンジを殴り飛ばしていた。







不意な攻撃で、床にしりもちを突くようにして倒れてしまったサンジ

直ぐに立ち上がると思ったが、サンジは床に座り込んだまま、
まるで責めているかのような鋭い眼光で、俺を睨んできた。




「何しやがるって・・・・・俺様の愛情表現だろうがっ!!!」

「はぁあああ!?頭沸いてんのかてめぇ。」

「沸いてなんかいねぇ!!!」

 
ゼイゼイと息を切らすほどの大声を出し、
胸を張りながら言い切った男の事がゾロは益々分からなくなった・・・・・・





「俺は前に言ったよな。お前が好きだって。仲間としてでなく、一人の人間としてお前に惚れてるって!
 今回残ってもらった理由はこれだ!何でお前は俺の毎日の愛情表現を拒むんだ!!」

「・・・・・・・」

―― 前に・・・っと言われて、ゾロは少し記憶を巻き戻した。











(・・・確かに・・・そんな事言ってた気がする・・・・・・)
 



確かあの時も今と同じように真剣な目をしていた。
だから自然と嘘だとは思わなかった。


だが、こいつは元々大の女好きだから、
今は何か勘違いをしていて、直ぐに眼が覚めると思っていた・・・・・・



(そういやその後からだっけ・・・俺に対する態度が180度変わったのも・・・・・)




「・・・あぁ。確かに聞いた。」

「だったら!!何で俺を拒むんだよ!!
 今までだってそうだ!いつも俺が優しくキスしようとしても、お前は避けるばっかりだ!!」

さっきだって誰も居なかったんだから、キス位してもいいじゃねぇか!!




いったい何時息継ぎをしているんだ、と思う位一気に勢いよく捲くし立て、
怒りに顔を赤く染めて、立ち上がり俺に詰め寄ってきたサンジ

だが・・・だ


そもそもそういう問題ではないだろう!と思うが、此処で俺まで熱くなってしまったら、
事態はややこしくなるだけだと自分を宥め、イラッとしながらも俺は出来るだけ冷静に答えた。




「確かに聞いた。
 だが、俺もそうだとは言ってねぇだろうが、寧ろ断った筈だ!!」

「あれは只の照れ隠しだろ!俺には分かってんだ」

「アホかぁぁあああ!!」



一体あれの何処が照れ隠しだっ!!!!


こっちも真剣に断ったのに、自分の良いように変換しやがって!!




(これ以上こいつと話しているとマジでキレそうだ・・・・・・)


内心あと少しでもサンジが何か言ったら、ブチギレる確信を抱きながら、
此処でもう一度はっきりさせておかないと絶対これ以上ややこしくなる!!と思いいたり、
ゾロは真剣な顔でサンジの目を見た。



もしかしたらあの時・・・

気がつかない内に、サンジに変な誤解を招く事を言ったのかもしれない。



何たって相手は年中頭の中に花が咲いてるやつだからな・・・・・・



ゾロが真剣になったのを感じとったのか、サンジも口を閉ざし真剣な表情をした。










「サンジ。もう一回言う。
 俺はてめぇと付き合う気なんてこれっぽっちもねぇ」

「っ!!!何でだ!!?こんなにもゾロが好きで堪らないのに・・・・・
 女の子大好きのこの俺が・・・ナミさんやロビンちゃんに嫉妬して落ち込んでっ・・・
 どんな女の子よりお前に目がいっちまうのに・・・・・・
 今までだってさりげなく散々アピールしてたのに、
 俺の気持ちに全く気がついてないこの超鈍感な唐変木が・・・・・」

いっそ嫌いになれたら・・・・・






ゾロにはっきりと拒絶され、ショックでどんどん顔が俯いていくサンジ。

最後には完全に俯いてしまい、今どんな表情をしているのか分からない。
言ってる事は、静寂な夜だからこそ最後まで聞くことが出来たようなものだ。

まぁ支離滅裂なのは、この際置いておく



顔は見えなくても、
サンジを包む空気が、悲しみに染まっているのが嫌でも分かった。






こんな弱々しいサンジの姿は初めてだ―――・・・











―― 男嫌いのくせに何だかんだいっても優しくて





―― 怒る事はあっても決して弱った姿を仲間に見せる事はなかった・・・








それなのに・・・・・・









目の前にいるコイツは誰だ?







余りのサンジの痛々しい姿に何て声をかけていいか分からない。
でも今声をかけないとコイツがどこか遠くにいってしまいそうな気がする。




「ぉ・・いコッ・・」
「俺だって・・・いっそ嫌いになれたらどんなに楽かって何度も思ったさ」


俯いたまま掠れて消えてしまいそうな声なのに、俺にははっきり届いた。





「でも好きで好きで堪らないんだよ・・・・・・」


初めて見ると言っていい、弱々しいサンジの姿に、
俺は今度こそかける言葉を失ってしまった。









―― 俺は今最強になることしか考えられない





―― 男なんて有り得ない



そうはっきり言えばいいのにどうしてもその言葉が出てこない・・・・・・・












どうしていいか分からず呆然と立ち尽くしていると、サンジが顔を上げた。




その顔は涙は流していないがどこか悲しそうで



でも強い思いが込もった目をしていた。





その目を見ていると何だか吸い込まれそうで・・・





「何が不満だって言うんだっ!!!!」


「・・・・ぁあ゛!?」




「長年海で生活しているにも関わらず、潮風にさらされたとは思えない綺麗な金髪」
「・・・」


「白い肌に碧い眼、誰もが振り返る美貌に均整の取れた抜群のスタイル」
「・・・・」


「何処をとっても完璧な・の・にっだ!!!!」
「・・・・・」


「っ何でお前はちっとも俺になびいてくれねぇんだ!?
 俺の何処がいけねぇって言うんだ!?」








先ほどまでのシリアスな雰囲気は何処にいったのか・・・・・



ゾロはため息よりなにより、
こんな奴を今さっきまで可哀想と思ってしまった自分に腹が立ってしょうがなかった。




―― その怒りを後の筋トレに使わしてもらう前に、少し報復してやらなければ気がおさまらない








俺は心底呆れた目でサンジの問いに答えた。




















「その勘違いに近い自信と普通に変態な所・・・・
 あと何かうっとうしいのがヤダ」

買Kァァアン!!
























―― 翌日


倉庫前にて













「腹減ったぁあ!!サンジぃ―メシ作ってくれよ!!!」
「出てきてくれよサンジ!!」
「サンジィー!」

「・・・・・・・・」





「どうしたっていうのよサンジ君」
「コックさん・・・剣士さんの腹巻を顔に当てながら泣いてるわ・・・・・・」
「・・・原因はゾロか・・・・・・・」






シクシクシク


「うぅ〜〜ゾォロ〜〜〜〜〜」







愛するゾロの言葉に大いに傷ついたサンジは、3日倉庫に引きこもったそうだ。














END

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何が書きたかったのやら・・・

兎に角少し電波気味のサンジを書きたかったんです(+_+)


サンジはゾロが大大大好きです。

ゾロも薄々サンジの好意には気が付いているのですが、
いつも最後には変態臭い事をいうサンジに怒って進展すら見込めない、という・・・・


哀れサンジ・・・


けど、サンジは最終的にゾロとこうしていられるだけで幸せvvとか思っちゃってると思います










[2012・4・14]
[2013/2/22加筆修正]


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