短編
2
―――半年前―――
「花梨帰ろうぜ」
「お・・「「「「「「キャァァァァァァァアア!!!!!」」」」」」・・う」
夏休みに入る前の終業式の後、小さい頃からの幼馴染の太陽が久しぶりに一緒に帰ろうと誘ってくれた。
太陽は平凡な俺と違って超がつく程のイケメンだ。
そんな太陽は、俺が通っているこの全寮制の男子校にはとても人気がある。
男子校なのに?
そう思われた読者の方よ!
この学園は何も隠さなくとも、言わずと知れた王道学園なのだ。
もうその言葉だけで分かってくれたと信じて次にLet’s Go
・・・すいません
久しぶりに太陽と帰れるからテンションあがって調子に乗ってしまいました;;
まぁそんな訳で生徒会並みに人気がある太陽が俺の教室に来たもんだから、
チワワ君達の歓声が半端なくすごい・・・
(同じ男なのに何であんなに高い声が出るのだろう;;)
そのおかげで僕の声はほぼかき消されてしまった。
毎度毎度のこの光景にはどうしても慣れなくて、いつも少したじろいでしまうのだ。
そんな見た目とっても可愛いい癒し系のチワワ君達(でも男)の声を聞きながら、俺と太陽は扉に向かった。
余談だが、
花梨の返事は当然太陽に聞こえてない。
でもそんな事太陽には全く関係ないのだ。
だって、一緒に帰る事は、既に決定事項なのだから。
―トンッ
教室を後一歩の所で太陽の事を熱い眼差しで見ていたチワワ君と肩が軽くぶつかってしまった。
僕も少し前を歩いていた太陽が死角になってしまって気がつかなかった。
僕はこけると思ったけど、太陽が支えてくれたから大丈夫。
どうやらチワワ君も大丈夫だったみたいで、
内心少し安心しながらも、慌てて謝ろうと思ってチワワ君を見たら僕より身長が大きかった。
(・・・僕の方が小っさい・・・・・・・チワワ君より小さい場合何て言うんだろう・・・
僕は顔普通だからやっぱり只のチビでしかないや・・・;;)
今考える事ではない事を考えてる自分を内心叱咤して相手の目を見た。
すると相手は少しビクッてなった。
チワワ君の方が身長が高いから視線を合わせる為には自然と上目使いになってしまう訳だけど・・・
こんな平凡の上目使いなんて気持ち悪いだけだよね;;
それでもきちんと目を見て謝りたくて・・・
自然と目じりが下がり頬が少し上がるのを感じながら謝った。
「ごめんね。痛くなかった?」
「・・ッ!・・///」
・・・・・・あれ?
何故か真っ赤になったチワワ君がこれまた慌てながら
近くの椅子や机を倒しながら勢いよく教室から出て行ってしまった。
(・・・僕の顔ってそんなに気持ち悪いのかなぁ・・・)
それって結構ショックだな・・・
チワワ君が出ていくのをショックを受けながら呆然と見ている僕の頭を
痛くない程度で小突いた太陽が、何故かため息をつきながら僕に催促してきた。
「はぁ・・・ほおっとけよ花梨。水あげに行くんだろ?速く行こうぜ。」
「ぅ・・・うん。じゃぁ皆また明日」
そうだった!今から愛する娘達に会いにいかなくちゃ♪
現金にも気分が上昇した僕は今度こそ満面の笑顔で皆に挨拶をして教室を太陽と一緒に出て行った。
僕たちが去った後、教室の皆が顔を赤くしたり、青くしたりして忙しかったのを、
既にいない僕達は全然知らなかった。
【花梨がクラスで人気があります。知らぬのは本人だけ笑”
因みに青くなったのは太陽が威圧感たっぷりに睨んだからです。】
[2012・1・21]
[2012・6・29加筆・修正]
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