短編



何なんだ、この光景は…






俺、こと東條 柳は扉の間から見える光景に呆然と呟くしか出来なかった





今の自分の心境を語るには少し時間を遡らなければならない・・・






―――――――−−−−‐‐‐‐



長い長い夏休みが終わり、やっと学校に戻ってこれた。



(ちくしょうあのくそ親父!!始業式まで帰りを延長しやがって!!!)


でもそれも今日で終わった!!

これでやっと本物の俊に会える!!!


今までは写真(盗撮)や

ビデオ(これまた盗撮)

で色々我慢してきたが・・


え?色々?

バカヤローそんなの公共の場ではいえない事だよ///


・・と・・とにかくもうすぐ部屋に着く


俊に会える・・・



「よう!!!今帰った・・ぜ・・しゅ・・・ん・・・・・・・?」




シ〜ン




 
「・・・俊?」





何回か愛しいあいつの名前を呼んでも返事はない。



部屋をノックしたけど全然返事もなければ気配もない。





「何処にいったんだ?あいつ・・・」


 俊が帰宅していない事は知っている。それにもうすぐ式が始まるのだ。



 いつもならこの時間、歯磨きをして部屋を出る準備をしている筈なのに・・・





 一体何処に行ったんだ俊?





会いたくて会いたくて溜まらない俊がいない事に落胆を抑えられない柳


一体何処にいるのだろうか、

顎に指を当てて身体は子ども、頭脳は大人の某有名アニメの真似をしながら考えていると

行き成りポケットに入れていた携帯が震えだした。




 もしかしてっと慌ててディスプレイを見てみると

其処には愛しい君の名前が!!!




内心慌てながらも、好きな子の前ではやはりカッコつけたいもので・・・

必至に冷静を装いながら通話ボタンを押した。

「はい」

「あっ!柳?」

機会越しに聞こえる声は
とても心地よい優しくて落ち着く声音。


「久しぶり元気にしてた?」

「おう俊。俺は元気だぜ。所でお前、今何処に・・」

機会越しなのにとても穏やかな気持ちになれる声にうっとりしながらも、居場所を聞こうとした俺だが、

機会越しに聞こえてきた、俊以外の声に固まってしまった。


「・・はぁ〜い待ってください。今行きます。
 
 ごめんね柳、今僕先輩達のお手伝いしてるんだ。
 多分式にも少し遅れると思うけど気にしないでね、じゃあまた後でゆっくり話そう。」


「ぉ・・おう・・・じゃ」


プープープー


携帯からは再び規則正しい音が聞こえてくる




俺は呆然としながらも先ほど、俊の携帯から聞こえてきた声を思い出した。


小さすぎてあまり聞こえなかったけど、あの俺様命令口調は・・・




「ぁんの・・・クソ会長 が!!!!!」



  俺の俊に手を出したら只じゃおかねぇっ!!!!!!




怒り心頭の俺は始業式なんてなんのその。


今までにない位足と肺活量をフル活動させ生徒会室に向かって全速力で走った。




そして冒頭へと戻る




(ねぇ今何か通り過ぎなかった?)

(風だろう?それより早く行こうぜ)




【その速さは神のごとし(笑)】



[2012・2・4]


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