短編
3
楽しい楽しい夏休みが終わり
まだジメジメした暑さが残る9月…
遊びたい、
思い人に会いたい、
様々な思いが交錯する今日…
夏休みは終わり、新たなる学園生活が幕を開けた。
――――
――――――――
夏休み中帰宅していた学生達が次々と学園に戻って来た。
日焼けしている者
身長が伸びた者
より一層綺麗になった者
かっこよくなった者
皆まだ夏休みの余韻を残しながらも、
再び始まるこれからの学園生活にワクワクしながら、いっせいに登校して来た。
・・・実はこの一斉登校・・・
毎年夏休み明けの始業式の日にしか見られないという
学校の隠れイベントだったりもした(笑)
どうしてイベントまで言われているか理由をあげてみよう。
1、学生の殆どが夏特有の自然の騒音(セミの鳴き声)に耐えられないから家に帰還
2、他の季節は別に何ともないので、寮に残る者が殆ど
3、この学園は金持ちというだけでなく、殆どの皆が顔も一流!!
4、そんな顔良し学生が一斉に登校
イコール=美形軍団の行進
という他の学校ではあまりお目にかかれない光景が出来上がるからだ。
・・・とまぁ、
そんな写真に撮ってメディアに売れば即完売しそうな光景の中、
本来なら学生は綺麗な線を描き列を乱す事なく登校してくる筈、
な・の・だ・が!
異例の転校生が来た 今年だけは 違っていた・・・
ふといつもと違う光景に、
校門に設置されている監視カメラのおかげで気がついた警備員が、
先程まで微笑ましく皆の登校を見ていたのが嘘の様にその綺麗な眉をひそめた。
そして、
見なかった事にして傍らに置いてあったマンガを手に取り、続きを見始めた。
オイッ!金持ち学校の警備員がそれでいいのか!!っというツッコミはしないで頂きたい;;
因みに、先程警備員が見た光景とは・・・
「フッフッフ」
・・・何と
見た目オタクルックの学生が校門前で一人、不気味な笑みを浮かべながら佇んでいたのだ。
皆金持ち学校に比例するかのように礼儀正しく登校しているのに対し、
列に反して立ち止まり、しかもへんちくりんで不清潔きまわりない格好で、
さ・ら・に!不気味な笑いを声に出しながら立っているのだ。
生徒だけでなく先生もその不気味さから、
近づこうとせずその不気味な少年を大きく避けるようにして歩きながら寮に向かっていた。
登校する者の中には不躾な視線や、
汚い者を見るかの様な視線を送る者までいた。
そんな痛い痛しい視線に―
へんちくりんな格好で、
ボサボサ頭+ビン底メガネのオタクルックな季節外れにやって来た転校生(T命名:ボッサ君)の柳は、
皆の視線に気づいている・・・・・・
・・・・・・
・・・筈もなく、
そのボッサ髪から覗く口元は愉快な位ニヤニヤしていた。
(端から見たらとても気色が悪い;;)
そしてニヤニヤするだけでは留まらず何か呟いていた。
「今日からまた学園生活が始まる・・・やっと・・・あいつに会える・・・」
この夏休みは今までよりとても長く感じた。
去年は昼夜関係なく遊びまくってたおかげで、夏休みなんてあっという間に終わった。
なのに今年はどうだ?
親の命令で海外に行ってたせいで大好きな゛あいつ″に会える事も出来なかった。
唯一出来たのはメールのやりとり位だ。
本当は電話もしたかった。
だけど声を聞いたら絶対に会いたくて会いたくて
我慢が出来ないと分かっていたから、電話したくても出来なかった…
(でもそれも今日で終わりだ。)
(なんたってあいつは俺と同室!!!)
寝顔、笑顔、怒った顔etc.etc・・・
これからまた毎日の様に見放題だ!!
今から涎が止まらない!!
待ってろよ!!!
〈 俊!!!!! 〉
【Tはもう少しで誰か分かります ^^】
[2012・2・]
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!