短編
1
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン♪
「やっと終わった!!腹減った。俊〜食堂行こうぜ!!」
「うん、いいよ。行こう。」
5月のゴールデンウィーク過ぎに季節外れの転校生がやって来た。
転校生は入学して1週間もしない間に学園1の人気者である゛生徒会″を虜にしてしまった。
その偉業は世間で有名な゛王道転校生と言っても差し支えはないだろう。
カツラだろ?って普通一目で分かるボサボサ頭に、
今では有名メガネ店でも見た事がないグルグル眼鏡。
この王道学校にはあまりいないタイプだといえる。(いたら逆に怖いが・・・)
更に見た目はオタクだが、物怖じしない性格に加え天真爛漫
そんな彼・東條 柳だが、他の王道転校生とちょっと違った所があった。
それが・・・
「俊、あそこの隅があいてる。あそこにしよう?」
「うん。今日はなんにする?」
「俺は中華丼」
「じゃぁ僕はオムライスにしよう♪」 ニコッv
(ッ・・///可愛すぎる!!)
気のせいではない擬音付きのに可愛い笑顔を振りまく俊に、転校生の柳はノックダウン寸前(笑)
・・・そうこの転校生
入学してすぐに案内された自分の部屋で出会った同室者であり、今一緒にご飯を食べに来ている雨宮 俊に一目惚れしたのである。
そして最も彼が王道と違っているのは・・・
「柳、眼鏡つけなくて大丈夫なの?」
「別にいいよ。お前と一緒の時は本当の俺を見て欲しいから」
「///・・・へへ何か嬉しいな♪」
何という男前な発言
そう・・・彼が他の王道と一番違っている所は、
生徒会ではなく平凡なのに何処か可愛い同室者を好きになった事。
そして勝手に自分に言い寄って来るウザイ奴等(生徒会)に、
俊を会わせない様目立たず、ひっそりと生活をしている事だった。
転校してきて1ヶ月
転校生の柳は生徒会の目を盗み、着々と生涯の伴侶(笑)と決めた同室者・俊へのアプローチを重ねていった。
(転校してよかった!!!!
ちまちまとオムライス食べてる俊、可愛すぎるぜ!!
あぁ〜俺、幸せだvvv流石俺の伴侶vvv!!!!!)
・・・等と表面は爽やかな笑顔で俊と一緒にご飯を食べる転校生。
しかしその笑顔とは裏腹に止めどなく溢れるピンク色オーラのおかげで、
何を考えているのか周囲にはお見通しだった。
おかげで一緒の席にいた他の生徒達は皆、
ピンク色オーラに負け速攻食べ終え一目散に逃げ出したのだった。
毎日お決まりのように、転校生が放出するピンクオーラのおかげで
゛転校生が同室者と一緒に来たら危ない″
・・・と言う
この空気にあてられたくない常識人には必須項目ともいえる鉄則が新たに出来たのは記憶に新しい。
でも中には良いこともあった。
このやり取りのおかげで、生徒会を取られたなんて思った親衛隊諸君はすぐに生徒会の横恋慕だと気が付いた。
その為、
今だに生徒会に相手にされずその原因の転校生に嫉妬する親衛隊もいるが、
制裁される事なく平穏に暮らしていた。
だがその平穏な生活も・・・
夏休みが開けると同時に崩れ去る事を恋ボケ中の柳はまだ知らないのだった・・・
〈恋ボケにはご用心〉
[2012・2・1修正]
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