短編
5
「よし!良い出来栄えだ。花達も生き生きしてる」
花梨は朝早くから自分の憩いの場の一つである体育館横の花壇に来ていた。
朝早くに来て何をしているのか・・・
それは自分の大切な娘(花)達の水やりに来ていたのだ。
「今日はお前達に少し活躍してもらうからな。」
花一つ一つにゆっくり優しく話しかけ終わると、
綺麗に手を洗って教室に向かった。
教室に行く途中体育館のドアの前を通ったら、
黄色い声援と大きい掛け声が聞こえてつい足を音の方に向けてしまった。
するとどうやらあの掛け声の犯人は陸上部員だったみたいだ。
・・・まだSHRまで時間がある
陸上部って事は太陽もいる筈。
せっかくだから練習を見て行こう♪
人目でもいいから太陽の姿を見てから行こうと思ったのはいいものの、
扉前に筋トレしている陸上部員目当てのチワワ君達で一杯だった。
どうしようかと思ったが、僕と目が合った一部のチワワ君が少し顔を赤くしながら道を開けてくれた。
(感謝、感謝♪・・・でも何で顔が赤かったのかな・・・)
不思議に思ったが、それよりも今は太陽だ、っと気持ちを切り替え太陽を探したが、思ったよりも簡単に見つかった。
太陽はチワワ君達に騒がれるだけあって、練習している姿はとってもかっこよかった。
幼馴染の贔屓ってだけじゃなくて、本当に太陽があの中で一番輝いていた。
(・・・ちくしょう。僕ももう少し身長が高かったらなぁ)
そんな事を思っていたら、どうやら走り込みが終わったらしい太陽がこちらに顔を向けた。
<ドキッ!!>
・・・・・・ふぃ
「・・ぇ・・・」
・・・今・・・
・・・絶対態と目をそらした・・・
それだけの事なのに・・・
突然の事に怒るよりも先にズキズキと胸が痛んだ
この気持ちが親友を失うかもしれない痛みか・・・
特別な感情からくるものか・・・
俺の中ではもう決着がついている・・・
後はこの気持ちを素直にあいつに言うだけ・・・
(2人の関係が変わるのも、後ちょっと・・・)
[2012・1・21]
[2012・7・4加筆・修正]
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