過去拍手文
写真−番外編−

※ゾロが仲間になった後のとある風景です





「もうすぐだな!俺すっごい楽しみだっ!!!」

「あぁ。そうだな」









〜写真 番外編〜









麦わら一味が乗っているメリー号
その船で一番皆が集まる場所といえば、ご飯時には必ず皆が集まるラウンジルームだろう

しかしその傍らで、密かに人気がある隠れスポットともいえよう場所がある。

それは皆の中でも特に船長の大のお気に入りであり
この船を更に魅力的に仕立て、常に皆の行く先にいてくれる可愛い羊頭のある船首だ。


其処には今クルー全員が集まっており、ウキウキとした楽しそうな声が響いている。

その声の主は、言わずと知れた
ルフィ海賊団1の癒やされキャラと船医を併せ持つ、トニートニー・チョッパーであった。


その声音だけでなく全身で今にも待ちきれないと、
まるで今から旅行に出かける子どもの様に気分が高揚しているのが伺える。

そんなチョッパーに優しい声音で答えているのは、この船で最近仲間になったばかりの、
船一番の仏頂面の持ち主でもあり、大剣豪になるという野望を持つロロノア・ゾロだった。

その仏頂面の為かはたまた腰に携えている三本の刀のせいか
一目見るとその怖さに逃げ出す人もいるだろう、しかし今の彼にはそんな怖さなどは微塵も感じられない。
纏う空気は柔らかで声に含まれている穏やかな声音は見事にゾロの心の内を伝えていた・・・・・

その証拠にいざという時は勇敢で頼りになるが、普段は怖がりで臆病な面をのぞかせる事の多いチョッパーが
その様子を全く見せる事もなく彼に接している。
まぁそれは、彼がこの船に来た時からで、チョッパーが彼を怖がっている所等戦闘以外では殆ど見たことがないが・・・


少し前・・・丁度筋トレをしていた彼の近くに、トテトテと可愛らしい音を立てながら走って来たと思ったら
船縁にバッと飛びついたチョッパーの姿は、実は可愛い生き物に弱いゾロに、まさりクリーンヒットした。


自分が悪魔の実のおかげで泳げないのに、それを忘れたかのようにウキウキと船縁にしがみ付いて、
まだ肉眼には分からない距離にある、島の方向を見ながら嬉々としているその可愛い姿を見てしまったのだ。

ゾロは再び筋トレをする気など起きなかったのだ。

一人で旅を続けていた時の自分が見れば、偽物だと切りかかっただろうか・・
だが今の自分のこの変化は決して嫌なものではない・・・それよりもむしろ好ましく思っていた。

心に余裕と新たなる大切なものができた今、一人の時よりも強くなっていると思う自分をゾロは今みたいなふとした日常で感じることが増えていった・・・


ゾロは筋トレに使用していた大きな鉄アレイを床に置き
その可愛らしさに癒され、胸をポカポカとさせながらそれでも彼を知らないものが見れば、仏頂面と一言で即答されるだろう
でも知っているものからしたら明らかにリラックスしている表情でチョッパーに近づいていった。


隣にきたゾロをちらりと見て、
チョッパーは嬉々としていた顔を更に深め、エッエッエっと愛嬌のある笑い声を小さく上げた。




最近仲間になってくれたゾロ。
仲間になる前から知っていた彼。

ある島で海に落ちて溺れそうになった自分を助けてくれた彼は、
初めて見る位綺麗な容姿をしていた。

切れ長の鋭い目つきをしてて、普段の自分ならきっと怖がっていたと思う。

でも、笑った顔はすっごく優しくて、可愛い事を知った。

見た瞬間、一瞬で目が離せなくなった。


その日偶然にも彼と自分が映った写真を手に入れる事が出来た。
その写真は、自分を初めて海賊に誘ってくれた大切な仲間達にも秘密にしている
内緒で大切な、自分の宝物になった・・・・


そんな彼が自分達と同じ船に乗り、航海を共にしているだけでなく
今自分の隣に立ち、こうして生活を共にしている事に日々喜びを感じる。


日に日に知っていく彼の素顔、その中でも自分が一番大好きな
いつもの鋭い目つきをフッと和らげ、口元を上げた
穏やかで優しい表情を浮かべている顔を遠慮なくこうして見れる事がすごく嬉しい。


目元を和らげ、優しく笑いかけてくれるゾロに良いものが見れた、と心の中でも愛嬌のある笑い声を上げながら満面の笑みを返したチョッパー

そんなチョッパーにゾロは今日はいつにもましてご機嫌だなチョッパーの被っている帽子をポンポンと撫でるようにして叩きながら話しかけたあと
チョッパーを抱え上げ自分の肩の上にのせ、二人で未だ見える海の先に目をやった


ホワホワ

ポカポカ


傍から見れば何とも微笑ましい光景である。


良い陽気に加え花が咲いているかのように錯覚してしまう位、其処だけ穏やかな空気に包まれていた。


見ている方も、心癒される光景・・・・・


だからこそ
そんな光景をこの船で見逃してくれる者等いる訳がなかった・・・・・


丁度もう一回進路のチェックの為にと、外に出てきたナミが、
その穏やかな空気に引かれて見た瞬間、これ幸いと
カメラ片手に死角から隠し撮りをしていた・・・・・

因みに最近の彼女は常にカメラを離さないので、理由を知っているロビン以外は、
カメラを向けられても、シャッターを切られても只の趣味位にしか思っていない

その写真の行方がどこに行くのかなんて、きっと彼らが知らない方が幸せだろう・・・


気配に聡いゾロは、勿論ナミがいる事にも、こちらを見ている事にも気がついていたが、
何をしているのかまでは、流石に分かっていなかった。


ゾロもまさか自分達がカメラに収められているとは思っていなかっただろう。
知ったとしても、撮られる事には興味がないと言って好きにさせるかもしれないが・・・・・



「フフッvvいいのが撮れたわ。」


またコレクションが増えたわ〜〜vV 



嬉しそうにカメラ片手で呟くと、
今度はもう一つの気づきたくなかった視線の方に身体を向けた。



( うっわぁ〜・・・・・;;)








一人はミカンの木の下から



もう一方はラウンジルーム兼キッチンの窓から







ドロドロと恨めしそうに、もしハンカチを渡したら口で引きちぎりそうな位
嫉妬で目を燃やしている怪しい男達の姿が、嫌でも飛び込んできた。







その内の一人である、ミカンの木元にいる男

多分、いやほぼ的中しているだろうが、
その男・ルフィはミカンをまた了承もなく、勝手に取ろうとでも思っていたのだろう・・・・・


内心怒りが込み上げたが、そのあまりに恨めしそうに歯を食いしばっている悔しそうな顔に
ざまぁみろ、と心の中で呟くだけで今回は見逃す事にしてあげた。


何て寛大なのだろう、とナミは自分の優しさに感動すら覚えたが
まぁそれ程にルフィの顔が酷かったともいえるであろう・・・・・・


そして、また視線をずらすと

ラウンジルームの丸窓から、
生でハンカチを口で思いっきり噛みしめている男が目に入って来た。



( う・・・わぁ・・・・正直目の毒というか・・・放送禁止よね・・・あれは・・・・)








若干どこらか大いにドン引きしているナミは
良い事を思いついたとばかりに
今も尚ほんわかオーラを放っている二人の下へ向かった。


勿論それは・・彼に次の島への同行を多のみに行くため


今回はチョッパーも一緒でも構わない
むしろ、そっちの方がまた良い写真も撮れるだろう
でも本当はそんな事はおまけ程度にしか過ぎない

今回は本当に久しぶりの上陸なのだ

しかも今向かっている島は治安も安定しているリゾート地

ただでさえ船の中だとルフィやサンジ君に邪魔されるのだ。
本音はチョッパーもなしの二人きりというのがよいのだが、今日いい写真を撮らせてもらったしチョッパーもゾロと島を回りたいと朝食時に言っていた。

あの時はまさかのダークホースからの抜け駆けに皆が悔しい思いをさせられたが
その時のゾロがいい笑顔で返事を返したらもう私たちは何も言うこともできずにご飯を終わらすことしかできなかったのだ。

ええ。それはもういい笑顔でしたよ

思わず握っていたお箸を落としてしまうくらいには

まぁサンジ君やルフィなんて、露骨に目を見開いてプルプルしてたから、怪しさ全開の二人よりかはまだマシだったと思うわ。うん


あら、話がそれちゃったわね。コホン
そうそうゾロは約束は守る男なのだ。

だから今ここで無理に二人で行こうと言おうものなら下手すりゃこの島でゾロと一緒に回ることすら難しくなりかねない。

だから今回は二人きりは諦める・・・その変わり次は絶対ゾロとのデートをゲットするんだから!

内心闘志を燃やしながら、ナミはチョッパーとゾロのもとに向かうのだった・・・



 

「なぁナミ」
「ナミさん」

「駄目よ」

「まだ何も言ってねぇじゃねぇか!」
「そこを何とかお願いしますよナミさん!」

「どうせさっきのゾロの写真くれっていうんでしょ?絶対ダメよ。あれは私のコレクションに加えるんだから!それにそこ退いて頂戴!ゾロ達の所に行けないじゃないの!!」

「ちょっとくらいいいじゃねぇか〜」
「ナミさん。この通り!」

「何を言っても、土下座してもダメなもんはダメって言ってんでしょうがってこらルフィ!!!」

「よっしゃー!」
「でかしたルフィ!」

「あんた達ーーーー!!!!」


「ん?なんか騒がしいが何かあったのか?」
「あー・・大丈夫だよゾロ。多分ルフィが盗み食いでもしてそれをサンジが怒ってるんじゃないかな」ニコニコ
「そうか?もう直ぐ島に着くってのに仕方ねぇ船長だな」苦笑

「エッエッエ。ほっといて用意しに行こうよゾロ」
「ん。そうだな」




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あきゅろす。
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