過去拍手文
写真−チョッパー編−


俺の宝物は、
俺を初めて受け入れてくれた人から貰った、大切な大切なピンクのシルクハットなんだ

エッエッエ♪









〜写真 チョッパー編〜










今日昼前についたこの島は、とても活気溢れた島だった。


ナミが皆にお金を渡しながら、夕食前には一度戻ってくる事を注意深く言っていた。
そのナミもは言い終わったら、一人でさっさと船を降りちゃったけどな



他の皆も、それに続くようにぞろぞろと船を降りて行っちゃった

船番はいらないみたいで、本当に良かったなぁ〜と思いながら、
俺も船を降りる準備をしたら、すっかり遅くなっちゃった。





ポツ〜ン



気が付いたら船に残っているのは自分だけだった。

時間を見ると、この島に付いてから既に小一時間位経っているのに気が付いた。
何時の間にかこんなに時間が経ってたとは、ビックリすると同時に、少しお腹がすいたなぁって思った。


( あ・・・でも俺、この姿じゃ、食べる所には入れないや・・・)


今更な事を思いついたけど、周りには誰もいない。皆降りてしまったのだ。


船をぐるっと見渡してハァっと溜息をつき、
俺は先程よりも、少しだけ重くなった足取りで船を降りた。






「よいっしょ!・・・あ〜あ、ウソップと一緒に行けば良かったなぁ〜」


縄梯子を降りた後、つい呟いてしまった。


久しぶりの島なのだ。
そりゃ、一人で回りたい気分の時もあるけど、
やっぱり誰かと一緒に島を回る楽しさは、一人では絶対に味わえないのだ。



もしかしたら食材辺りを調達したサンジが戻ってくるかもと思ったが、
やっぱりそれはないな、とちょっと気分が落ちながらも

必要な薬草を手に入れる為、島の人達に怪しまれないようにトナカイの姿になった。



船を預けている停船所には一杯の人がいて、
俺達の船の周りだけでもすごい賑わいだゾ



たくさんの人が行き来している隙間を縫うようにして、街の中心に向かい歩く

幸いこんな街中にトナカイが歩いているというのに、
特に島の人達は気にした様子がない事に内心ホッとしながら、
さぁ、どっちに行こうかなぁ〜っと考えていたら、急に後ろから来た衝撃に驚いた。






「ェエッ!?」



ドッボン!!





衝撃に飛ばされてしまった身体が、ゆっくりと落ちていく


何かの本で、こういう時、いつもより時間が遅くスローモーションに感じるって書いてたけど、
まさかそれを自分自身が、それもこんな所で体験するなんて思わなかった。


落ちていく中で見えたのは、
焦りを浮かべながら必死にこっちに手を伸ばしている鉢巻きを頭に巻いている男の人と
その人の手から離れていく、多分俺に当たったと思われる長く太い木の板だった。








ブクブクブク・・・・・





ぐ、ぐるじぃっ!!



いつもならこんな時助けてくれるウソップやサンジは今いない


このまま誰にも知られずに、海の底に沈んでいくのか?


万能薬になる夢だって、まだ叶ってないのに!




( 嫌だッ!!こんな所で死にたくねェ゛!!)








ブクブクブク・・・・・



死にたくなんかないのに、
身体は意志とは反して、動かす事も出来ずにどんどん沈んでいく




( ルフィ!ウソップ!ナミィ・・・ロ・・ビ・・ン・・・)







陽の光に照らされた海面に、次々浮かんでは消えていく仲間の姿に向かって必死に呼びかけるも、
皆の反応はなく、仲間たちの姿はフッと消え、どんどん意識が薄れていく








( み゛・・・みんなぁ・・・)







意識が途切れそうになった時、今度は仲間全員の姿が浮かんだ。


必死に皆に手を伸ばそうと頑張っても、全く動こうともしない腕







もしかしたら、自分はもう・・・・






薄れゆく意識の中で、そう思った瞬間




( な・・んだ?・・す・・ごい・・・・き、れい・・だな・・ぁ・・・・・)




太陽の光を取り込んで光っている海面に、
太陽の光よりもキラキラ光る眩しい色が見えたのを最後に、意識は途切れた。























「ーーーーい!しっかりしろっ!!おい!」

「・・・ん・・・・お・・れ・・・」



身体が揺れてる


この耳に澄んだ、綺麗な声は誰だろう・・・・・


低くて、掠れてる・・・・でも好きだなぁ・・・





心地よく耳に入って来た声音に導かれるように、俺の意識は浮上した。


途端に飛び込んできた眩しい光に、目をチカチカさせながらも、
無意識に声の主を探して辺りを見渡す。




「良かった!気が付いたみたいだな!」

「ごめんよ〜〜〜。おいら、全然気が付かなくて!」


涙を浮かべながら謝って来たのは、
鉢巻きを頭に巻いてるどこかでみた男の人だった。

最初は、誰なのかも、一体なんの事なのかも分からなかったけれど、
それはほんの一瞬の事で、俺は直ぐに思いだした。



( そうだ・・・俺、海に落ちたんだ・・・・)



「嫌〜〜本当に良かったよ〜〜。大丈夫かい?トナカイちゃん」



鉢巻きの人はそう言いながら渇いたタオルを差し出してくれた。
ありがたく受け取って、そのタオルで濡れた顔を拭いていく。


粗方拭き終えて、顔を上げると、また鉢巻きの人がゴメンなぁって言いながら手を差し伸べてくれたので、
思わず俺も手を伸ばしたら立てらしてくれた。


立てった時に少しだけふらっとなったけど、大丈夫そうだ。
そんな事よりも、この人は自分が怖くないのだろうか・・・・って事の方が気になった。


今は人獣型になってるのだ
なのに、目の前の男の人からは何の悪意も見られない。
それ所か、本当に自分を心配してくれているのが凄く伝わって来た。

でもそれは、この鉢巻きの人だけじゃなくて、
今も俺の周りを囲んでいる、島の住人も同じだってのが分かる。



この島の人達は暖かくて優しい人達で溢れてるんだな、っと
俺はビショビショな身体をタオルで拭きながら、ジ〜ンと心が温かくなった。


今日夕食で皆に伝えたいなって、思った。

もしかしたら後少しすれば
自分は命を落としていたかもしれないのに、って言われるかな・・・・

ふと、何だかんだで心配性な航海士の姿が浮かんで、笑みが零れそうになりながら
タオルを今度は頭の方へ持っていった。





「ん?」


可笑しい・・・・


いつもある大切なものの感触がない・・・・



サァーっと血の気が引いていくのを感じながら
俺はもう一度角のある頭に手を伸ばした





「な、ない!帽子がない!!」

「へ?」


お風呂の時以外は、殆どといっていい程身に着けていた

ドクターから貰った大切な帽子・・・・



それが、頭にのってない!!




辺りをキョロキョロと見渡しても、不思議そうな顔をしている鉢巻きの人以外何もない。

先程まで周りにいた人達も、俺が大丈夫なのが分かって、去っていったから、
良く見える地面には何もないのがよく分かる





海に落ちた時?



それしか他に考えられる場所がない



でも、海に入る事は出来ない




ど、どうしよぉ゛〜〜〜〜












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