過去拍手文
写真−ナミ編−


あの忌まわしき海賊団の下にいた時から、その男の名前は聞いた事があった。






〜写真 ナミ編〜









一番古い記憶は、
地方新聞の隅っこに掲載されていた、見落としても無理ないような小さな記事だった。


確か当時8000ベリーの海賊団を通りすがりの青年が・・・・・・なんて見出しだった気がする。
すごく前だから、少し曖昧なのはしょうがないことにしよう。




その時は単にふ〜んとしか思っていなかった。

どうせ最初だけで直ぐにその名声もなくなるだろうと、気にもしなかった。
調子にのって、次には死体で発見、なんて事は、この大航海時代には日常茶飯事だ。






――――だが結果は違った・・・・・・











その記事を皮切りにどんどん大物を仕留めていく彼・・・・・・・



――― いつしか
「海賊狩り」「魔獣」「血に飢えた獣」なんて通り名までついてくるようになった。








どの記事にも、仕留めた海賊の手配書写真は載っていても
ロロノア・ゾロの写真は何処にもなかった。






だから知らなかった・・・・・・・・








ロロノア・ゾロがあんなに若いなんて・・・・・・・・・


















*  *  *






とある島に立ち寄った。


其処は結構活気に溢れ、様々な人が行き交っていた。





海図を書くための道具の補給を名目としたショッピング
目的の物はすぐに見つかった。



次は服を買うつもりだったが、それより先に次の島の情報を集めようと歩いていた




あの船長はあの通りなので、はなから期待はしてないが、ロビンにばかり任せるのも申し訳ない。



次はどの店によろうかしら、と思いながらブラブラと歩いていたら
一つの露店が目に入って来た。








露店の店主は他の客を相手にしている。
その店には、たくさんの写真が飾られ並べられていた。







どの写真も有名人で一杯



海軍から、海賊、海賊狩りまで幅広く並んでいた










気が付けば惹かれるかの様に、その店に近づいていた。






近づくにつれ目に入る、数多くの写真、写真、写真
あ、ポスターもあった。



誰でも知っている大物から、最近名を上げているルーキーの写真まで・・・・・






(ぁ・・・ルフィのお兄さんの写真・・・・・)


大きく飾られている写真の中で、最近知り合った人の写真を見つけた。

写真の中の彼は、こちらを向いてはいなかった。
だが、彼は写真にはいない敵に
炎纏わせた拳を、今にも放とうとしている瞬間を取った写真である事がよく分かった。



会った時も礼儀正しくて、全然ルフィに似ていないと思ったが、
敵に向おうとしている彼の顔は、うちの船長と一緒で、何処かワクワクした子どもみたいな顔を浮かべていた。


(フフ、やっぱり兄弟なのね )


そっくりな兄弟に自然と笑みが零れた。







どうやらこの店は、有名所の写真を売っているのだろう・・・・・・・

だが、どの写真も視線が四方八方に向いている。
どうやって隠し撮りしたのかは分からないが、これだけ種類が豊富だと結構な儲けになるだろう・・・・



そこでふと、思いつく・・・・・

この先も航海を続ける限り、様々な海賊に会っていくだろう。
この店主の真似をするつもりはないが、もし機会があれば、自分も・・・・・・vV



ナミに黒い尻尾が生えた瞬間だったが、残念・・・嫌、幸運にも誰も気づくものはいなかった。














あまり此処で時間を使うのも勿体ないので、
もう行こうと踵を返そうとしたその瞬間に、自分の視界に何か綺麗な物が通り過ぎた。



思わず、振り返り、さっきのは何だったんだろうか、と辺りを見渡すと――――









店主が新しく飾った、大きい枠に入った拡大写真が目に飛び込んできた・・・・・・・










「・・・・・・・///////」















その写真は、思わずナミが見惚れてしまう神々しい美しさがあった。


















―――― 短く刈っている若草色の髪が風にのって靡いてる





―――― 必然と一緒に視界に入ってくる雫の形をした金色の三連ピアスが太陽の光に反射して、キラッと光っている。





―――― 何かを見るように見上げている横顔は・・・・・・








――――― 一見無表情にも見えるが、口端が上がり頬が少し色ついているようにも見える。






――――― そんな彼を一番引き立てているのが、周りに舞っている紙ふぶきだ。







確か、昼前に今日の漁業の成功を祝して、広場で簡単な祝いがあったと聞いた。


この紙ふぶきはきっとそれだろう・・・・・・・










だが・・・・・・










只の男が紙ふぶきの中で立っているだけで、こんなにも絵になるものなのか?











あまりに幻想的で








現実とは思えないその写真








一瞬で目が離せなくなったのは、これが初めてだった。












( この男が欲しい・・・・・・・)



お金以外をこんなにも渇望したのは、ベルメールさんが殺された時ぐらいだ。








嫌・・・・・・成長した今の方が、欲望を強く求めているような気がする。




















その写真を食い入るように、見入っているナミに気が付いた店主が、話しかけてきた。




「どうだい?お嬢ちゃん。これはうちの一押し商品さ!」


誇らしげに話しかけてくる店主。

確かにこの写真は、直ぐに売れるだろう。
それが、例え法外な位高額な値であっても、だ・・・・・









「この・・写真に写ってるのは・・・・」

「おう。お嬢ちゃんは初めて見るかい?でも聞いた事はあるだろう」




―――― ロロノア・ゾロさ









「ロロノア・・・・ゾロ」


この写真に写っているのが、あの悪名高い海賊狩り・・・・・









俄かには信じられなかった・・・・・






何年も前から゛東の海″でその名を轟かせたロロノア・ゾロが





こんなに若く綺麗で、カッコイイ男だなんて・・・・・・












ナミの思考が漸くまともに働きだした頃には、片手に先程のロロノア・ゾロの写真があった。


無意識の内にお金を使うなんて、初めてだ。
これが一時間前の自分なら、きっと信じなかっただろう。




写真サイズのその写真は、先程まで見入っていた写真の縮小版
嫌、こちらが元であちらは、拡大したポスターなのだろう。


それを証拠付けるように
今手の内にある写真が、あの額縁のポスターよりも色がきめ細やかで繊細さを放っている。




何度見ても見惚れてしまう美しさがそこにあった。











初めてだ・・・・・・・・









こんな気持ち・・・・・・・










その写真の彼、横顔しか見えない彼



その顔が、自分を見つめ、その瞳に自分だけを映したら・・・・





そんな想像をするだけで、顔に熱が集まってくる・・・・・・






この場にいない人間に、そんな妄想じみた事を考える時点でもうやられてる。



自分らしくない考えに呆れ、そして自覚する―――――−−−−−














( 絶対見つけて、私のものにするんだからっ!!)





そう意気込むナミは、








いつもの悪魔の微笑みでもなく







クルー達に対し、いつも儼たる姿勢を見せている姿でもない













年頃の女の子がする、乙女な表情をしていた――――――――−−−−−−









バラ色に頬を染め、心底楽しそうにルンルンとした雰囲気で照れくさそうな笑みを浮かべる






まだ大人でもなく




子どもでもない





不安定な年頃






ツライ過去を乗り越え、夢を追う少女は



















〜 Tu Be Continued In Chopper 〜



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





前回のサンジは一目ぼれですが、

これだとナミもどっちかというと一目ぼれに近いって感じですね(-"-)



でも、違います!


確かに一目ぼれもありますが、それよりもギャップに落ちたという方が大きいのです!!



今まで思っていたロロノア像との思わぬ違いにやられちゃった☆って感じなのです^m^













[2013/2/15〜2/28]


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あきゅろす。
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