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SHORT Novel
彼を殺してしまうよりは、彼を壊した方がずっと良い 門静

※来神時代


「死にたい」


夕日が、辺り一面を真っ赤に染める時間。

俺は、屋上に静雄から呼び出しを受けた。

人に言えない相談があるから、と言われ俺は、静雄の頼りになれる存在になれたのだと、少しぶっきらぼうに、分かったと答えながら嬉しく思っていた。


俺は、静雄が好きだった。


真っ直ぐな琥珀色の瞳や、痛んでいるが柔らかく綺麗な髪や……。


静雄の全てが好きだった。

だが、静雄は既に周りには犬猿の仲と思われているあの折原臨也と恋仲だったし、静雄自身、俺をそんな感情でみていないことを知っていた。

だから、俺は彼に何も言っていない。

せめて、臨也との仲を遠くから見守って、静雄が幸せな所を見ていればいいから…。

俺は、自分から身を引き静雄の友人というカタチに落ち着いたのだ。



…なのに…。


「…え?」


冒頭での静雄の台詞に、俺は体を硬直させた。


「もう、疲れたんだ…」

「だからって…死ぬとか…」

「それしか、他に良い方法が思いつかないんだよ」

薄く笑みを浮かべて俺を見つめる静雄の瞳には、不安が見えかくれしていた。

そんな静雄に、俺はどうしようもなくて、言葉を失う。


「臨也がな…言ったんだ…」

静雄は、ぽつりぽつりと言葉を吐き出していく。
話していなければ、きっと泣いてしまうからだろう。
静雄の目尻には、既に涙が込み上げてきていた。
しかし、静雄は泣かない。
けして……涙を頬へと流さなかった。


「臨也はな、俺のこと本当は嫌いなんだとよ」

臨也は、静雄が自分を好きなことを知っていた。
だから、それを利用して静雄をからかっていたのだという。


「俺が、好きな奴に裏切られて傷つく姿が見たかったんだと」


笑えるよな、と静雄は小さく自分を嘲笑するかの様に笑った。

「俺、多分気がついてた筈なんだ。臨也が俺のことを本当に好きじゃないってこと。けど、それでも良いって…思ってた」


それがどうだ。

静雄は鼻で自分を笑う。

「いざ、本当に臨也にからかわれたんだって実感したら、死にたくなった」


門田…と俺の名前を呼んだ静雄の声は震えていて、自然と俺の喉がゴクリとなった。

この先、静雄が俺に言う言葉が分かったから。


「なあ、門田…お願いがあるんだ…」


ああ、言わないでくれ…


「押し付ける形になっちまうけど…お前にしか頼めない…」


聞きたくない…お前の口からなんて…


「門田…俺を……」





殺してくれ



end.

(お前を殺すぐらいなら)

(お前を臨也から放す方がずっと良い)

(あいつなんか止めて俺にしろよ…)


あとがき

ドタチンが書きたかったのです…見事に失敗しましたが…。

あと、静雄さんと臨也がひどい人になりました。

すみませんでした…。

やっばりスランプが抜けない…。

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