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「っっっ痛い痛い痛い痛い―――!!!」
Let's trip!
「ほら、もう、暴れないの」
オッスオラ名字名前!この学校を代表する腐女子なんだな!
なんか色々混ざってる気がしないでもないけどそんな事は気にしてはいけません。
剣道部所属な私は先ほどの試合でケガしてしまった腕を、美人女保険医(保険医って響きがエロいね!)に差し出している。
なんでも軽い打撲で済んだらしい、良かった良かった。
相手の竹刀が丸腰の腕に当たった時は骨折を覚悟して、後で対戦相手をフルボッコにしてやろうと目論んだけども打撲程度じゃ許してやることにしようか。
まあ、防具付けずに試合した私が一番悪いんだけどね!
「はい、暫く安静にしてね」
「うーい」
鮮やかな手つきで私の腕には白い包帯が巻かれ、女を捨てたような声で返事をしてから、側に置いてある鞄を手に取る。
「顧問の先生には私から言っておくから。」
にこ、と天使のスマイルで微笑まれ(あれ、スマイルと微笑むって同じ意味だったか。)なんだかドキドキしてしまう
「有り難う御座います、」
こちらも、と自分なりの精一杯な笑顔を保険医に向け私は保健室を出た。
「あ―――vやっぱり土銀はいいなあああああっっv」
誰も歩いていない夕暮れの道をアンソロ片手に進む。
銀土とか銀時攻めの作品を読むことは避けたいから、土銀オンリーなアンソロだ。宝物。
私が今お熱なジャンルは銀魂。
主人公坂田銀時受けが大好きです!(誰へのアピールとか言わないそこっ!
腐女子になる前に良く読んだ夢小説のように、異世界にトリップ出来たらどんなに良いだろうか。
「ああああ…。トリップしてえええええ……」
そんな叶う事の無い夢を溜息まじりに呟いてみた。
あ、でもトリップしたら銀たん眺め放題かァ…。素敵だな…(うっとり
夢小説だったら、此処でトラックとか大型車が走ってきたりしてトリップしちゃったり―――――。
「ってえええええええええええ!!!」
目の前に、車が。
こんな漫画みたいな展開誰も望んでねーんだよォォォオオオオオ!!!
運転手の顔が脳裏に焼き付いて、視界が真っ暗になった。
「ん……?」
視界は真っ暗のままだ。まあ、目を閉じている感触があるから。
目を開けたらドアップで漫画のキャラとかの顔があったりするんだよね。
此処は現実だから、目を開けても母さんの顔くらいしか無いんだろうけど。
そろそろと目を開けてみた。
「……!!!!」
母さんじゃ、ない。
死んだ魚みたいな目をした、私の永遠のアイドル。
坂田銀時が、
そこに居た。
「なーんて事がある訳ないじゃないか私、早く目を覚ませよ☆」
がぎっ!と思いっきり頬に平手をかましてみた。
「う、おっ」
目の前の銀たん(私の妄想)が小さく声をあげた。おおう良く出来てるな私の妄想。声がちゃんと杉田ヴォイスですよ。
銀たん(私の妄想)が慌てたように視線を泳がせて、「お、おきた?」と私に問いかけた。
「あ、はあ。おかげさまで…。」
一応返事をしてみた。銀たん(私の略)は「そか」とだけ言っていつも漫画で座っているソファに座った。
のそのそと身体を起こしてあたりを観察してみると此処はどうやら万事屋のようだ。ジャンフェスにあった万事屋の模型(?)と良く似ている。
おおおお…すげえな私の妄想。
「坂田銀時さん、ですか…。」
妄想相手に話しかけてみる。返事が返ってきたらもうけもんだ。
「そうだけど……何、俺ってそんなに有名?」
か、帰ってきた!!!
「有名も何も、みんな貴方の大ファンですよ(性的な意味で」
「何じゃそりゃ」
くすくすと笑う銀たん。
か、
可憐だ……!!
とりあえずは目が覚めるまでこの妄想を楽しむとしましょうか。
私の奮闘はまだ始まったばかり。
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