庭球ゲーム
Please be quiet?(遠山)
遠山「い〜や〜や!ワイもコシマエんとこ行くんや〜!」
何だか廊下が騒がしいと思って部屋のドアを開けると、少し離れた所で謙也くんと光くん抑えられながらも暴れる金ちゃんの姿が目に入る
旗本「なんやどないしてん?」
財前「あ、センパイ」
謙也「旗本!丁度エエとこに来た!お前も金ちゃん抑えんの手伝えや!」
遠山「せやから離せや、謙也!急がんと間に合わななってしまうやろ!」
謙也「アカンて!それは白石に任せとけばエエんや!」
旗本「ちょ、ま、だから何をそんなもめとんねん」
遠山「白石が敵さん追っかけてったコシマエ追っかけてアジトに乗り込みに行ってん!コシマエが行っとんのやったらワイも行かな…!」
じたじたと手足を動かして暴れる金ちゃんを必死に羽交い締めにして抑える二人。白石くんもええかっこすんのはええけど、もうちょいこの辺も気づかれんようにやってくれんと困るわ。まぁ、金ちゃんのことやから野生の勘で嗅ぎつけたんかもしれへんけど
旗本「よし分かった、金ちゃんちょっとおいで?」
暴れる金ちゃんの首根っこを掴むと片手でひょいと引き上げる。いきなり引っこ抜かれて面食らった隙にそのまま上手く抑えこんで自分の部屋へと引きずってゆく
旗本「あとはうちに任せてええよ?二人ともお疲れさん」
遠山「は、離せやぁ〜!」
金ちゃんが途方もないバカ力でも、体に力が入らないように抑えてしまえるコツはある。もともとの体格さはかなりあるのだし、抑え込んでしまえばこっちのもの。そのまま部屋へと連れ込むと鍵をかけてから金ちゃん、と呼びかける
遠山「何で邪魔すんねん…!」
手の力を弱めると再び金ちゃんがじたじたとしだした
旗本「何でって、行かせたないからに決まっとるやん」
遠山「余計なお世話や!あんな卑怯な連中ンとこ乗り込んでったら、コシマエかて苦戦するかもしれへんやん!助けに行ったらな!」
旗本「せやから、それは白石くんが行ってるからええやん。それにどうせ、お節介焼きは白石くんだけと違うやろし」
うちらはここで彼らの帰りを待っとればええねん、と語り掛けて顔を覗き込む。いやや!と掴んでいた手を勢いよく振りほどくとドアの方へと駆けてゆく。ドアノブをガチャガチャと乱暴に引いたり、ドアをどんどんと叩く金ちゃんにゆっくりと背後から近づく
旗本「金ちゃん、ドア壊れてまうで?」
遠山「かまへんもん!」
旗本「コシマエコシマエて…人の気ぃも知らんと…ほんま、わからず屋なコやんな。うちはYesショタコン、Noタッチ主義やねんけど、この際しゃあないわ」
金ちゃんにギリギリまで近寄ると肩をぐっと掴む。せやからやめぇやと怒り交じりに振り返った金ちゃんを抱え上げると腕を掴んでベットに少し乱暴に押しつける
遠山「な、何す…ん…!」
そのまま覆いかぶさるようにのしかかると、唇を重ねて塞ぐ。そのまま少しの間キスを続けていると、金ちゃんの腕から力が抜けたのを確認して唇を離す。何が起こったかわからないといった様子で目を見開いて、真っ赤に顔を赤らめたまま見上げてくる
旗本「手荒いことしてほんますまんな。せやけど…うち、好きなコを危ない目ェには合わせたないねん。堪忍な」
そっと髪を撫でてから体を離すと金ちゃんの横に腰かける
旗本「卑怯や罵られてもええ、行かんといて?」
遠山「…類…」
旗本「…なん?」
遠山「類は.…ワイのこと好きやったんか?」
旗本「せやから、そうゆうとるやん。いっとくけどな、お友達や家族の好きとはちゃうねんで?こうしてキスしたなるような、特別な好きやねん」
体をひねって金ちゃんの頬を掌で包む
旗本「まぁ、そういうのは金ちゃんにはまだ難しいかもしれへんけどな…金ちゃんがうちにとって誰よりも特別やっちゅうことは分かってな?」
微笑みかけると、顔の赤みがひかないまま金ちゃんがぼんやりとした目で見つめてくる。かと思えば、手を振り払う様にばっと起き上がると、もうコシマエんとこ行かへんから鍵開けて?と神妙な様子で呟く。言われるままに鍵を開けると大人しくドアの外へと出る
旗本「…金ちゃん、うちんこと嫌いになった?」
びくりと小さく肩が震える。まぁ、ああしてひどいことしたんや。嫌われてもしゃあないやんな…そう思ってもやっぱり堪える。止めるためとはいえ、早まったことをしたなと今さらながら後悔にかられていたら金ちゃんがゆっくりと振り返る
遠山「類、悪いことしたな思うたら堪忍やのうて、ごめんやで?」
旗本「え?」
遠山「ちゃんと…ごめんて謝ったらさっきしたことは許したる」
真剣な顔つきで真っ直ぐ見つめてくる瞳にとらわれてしまう
旗本「…ごめん」
遠山「ワイ、好きとかそういうんはよう分からんけど、別にあんぐらいで類んこと嫌いになったりはせぇへん」
旗本「金ちゃん…」
遠山「せやけど、もう勝手にああいうことしたらアカンで?ほんまびっくりしてんから」
そういうと再び前を向いて自室に向かい、廊下を走り出す。金ちゃんの髪の毛の合間からちらりと見えるうなじや耳が真っ赤に染まっているのが見えた
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あとがき
映画序盤でコシマエくんに抱きつく金ちゃんが可愛い過ぎるので、あれがあの映画の見所と言っても自分の中では過言ではない
金ちゃんを黙らすにはこういう方法が一番効果的な感じがしそうだと思って書いた
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