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庭球ゲーム
女王様が見てる(白石)
白石「せやから、イギリスで開かれるその大会になうちらテニス部も参加することになってん」
旗本「そうなん?ほな、そら〜大変やんな?頑張りぃ」
白石「アホ、なに呑気に構えとんねん。類も行くに決まっとんやろ」
旗本「え?うち、留守番とちゃうん?」

机に突っ伏したまま人ごとの様に話を受け流していたら、丸めたノートで頭をべしんと叩かれる

旗本「…せやけど、テニスもでけへんマネージャーがちゃっかりついてってええんかいな」
白石「テニスはでけへんでも管理は出来るやろ?類はマネージャー兼トレーナーみたいなもんやし、トレーナーやったら同行したかて変やないやんか」
旗本「…ほな、行ってもええ?」
白石「行ってもええやのうて、行くんや。一緒に」

そう言って綺麗な顔で白石くんが笑う

白石「いやでもホンマ、ハーフの類が来てくれんのやったら一安心や。イギリス行くんは俺らみんな初めてやし」
旗本「うち、イギリス系ハーフとちゃうねんで?見た目はともかく中身はほとんど大阪人みたいなもんやし。ま、でも何かあった時のハッタリくらいにはなるやろ」

そう言って笑みかけると、伝家の宝刀やんなと言って白石くんが肩を叩く

白石「頼りにしてるで?また詳しいことはあとで話すわ。副部長交えて予定立てよ?ほなな」

そう言って丸めて教科書を振りながら白石くんが教室を出て行く。その後ろ姿を見送っていると思わずため息がこぼれる

旗本「…やっぱ、白石くんってかっこええわ」
小春「誰がかっこええって、類きゅん?」
旗本「わっ、小春姐さん…!」

いきなり背後から声をかけられてびっくりして振り返るとそこには一氏くんを伴った小春姐さんが立っている

旗本「…口に出てましたか?」
小春「もうだだ漏れって感じよ」
旗本「あかん。ついに末期かなぁ」

頭を抱えて机に突っ伏す。小春姐さん(と、オマケの一氏くん)は知っていることだけれど…俺は白石くんのことが好きだ。白石くんは女子からの人気も凄いけど、男子の方にも結構人気がある。それは友情的な好きだったり恋愛的な好きだったりするが、うちの好きは恋愛的なほう

旗本「白石くんの前でうっかり呟いたらどないしょ。本人にバレたら終わりや〜」
小春「あら、せやったらいっそバラしてまえばええやない?」
旗本「姐さん、なんてこと言わはるんですか」
小春「せやけど、このまま悩んどってもしゃあないでしょ?せっかく、ええチャンスもあることやし」
旗本「チャンスって」
小春「イギリス大会よ。旅の空の下やってらいつもと気分が変わて、もしかしたらっちゅーこともあるかもしれへんやん?」
一氏「せや!もしかしたら俺と小春みたいにラブラブバカップルになれるかもしれへんやん!」
小春「ユウくんは少し黙っとき」
一氏「はい」

ね?と笑いかけてくる姐さんを見上げて、ため息をこぼす

旗本「女子ならまだしも、うちは男子やで?そない一か八かみたいなことよぉできしまへんわ。玉砕したらもうテニス部には行かれへんようなるもん」
小春「なんやなんや、駄目でもともとなんやから想いぐらい伝えとき。胸んなかもういっぱいいっぱいなんやろ?」
旗本「せやけど…」
小春「まぁ…類きゅんの恋心やさかい最終的に決めるのは類きゅんやし、無理強いはせぇへんけど…どうせ後悔するかもやったら、する後悔とせん後悔どっちがええか決めとき?」
旗本「姐さん…」
白石「受け入れんにしても、白石やったら悪いようにはせぇへんよ。きっと」

ほな邪魔したな、とにっと笑いかけると一氏くんを連れてその場を去る。あかん、小春姐さん女前や…と白石くんとは違う意味で見惚れて心の中で呟くと直感で嗅ぎつけたのか勢い良く振り返った一氏くんにキツく睨みつけられる。しかし、姐さんも大変やな、愛すのも愛されんのも楽やないね

旗本「でも、ほんとどないしよ…」

再び頭を抱え込んで机に突っ伏す。白石くん見とるだけでもホンマはアカンのに告白なんてうちに出来るんやろか…ああ、イギリスなぁ、イギリスの女王様…もし下々をみてはるんやったらうちにもどうかご加護を。と、何にでも縋りたい気持ちで祈ってから、女王様は神様ちゃうでと心の中でセルフツッコミを入れて再びため息をついた

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あとがき

赤也ですらてなづけてしまう白石くんは学校でも男女問わず人気が高そうだと思ったので。
あと小春さんはマジにええ女過ぎてどないしょな感じでかっこええです、一氏くんが惚れ込むのも分かる

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あきゅろす。
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