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庭球ゲーム
からあげ食べる?(跡部)
*ちょっとしたゲテモノ食いの表現が出てきます。ゲテモノ食が苦手な方、あるいはテニプリキャラにそんなもの食べさせるなんて理解できない…!という方は閲覧をお控え下さい

食堂の前を差し掛かると肉の揚がるような良い匂いがただよってきて、思わず、ん?と疑問が沸き起こる。厨房は無論、料理を作る所であるから普段なら疑問に感じることなどまずないのだが、今はサバイバル合宿中である。魚以外の動物性たんぱく質…主に獣の肉など普通には手に入れようがないのだ。もっとも、島にいる野鳥や野獣を狩ったのなら別だが

跡部「おい、何してんだ」

やたらにカラフルな色合いの鳥達や、加工方法など普通に分からない獣など食用にあからさまに適していない動物を取る程には餓えてはいないと思うが…万一ということもある。もしやと思い声をかけると竈の前に佇んで鼻歌を歌いながら揚げ物をしていたのは羽海野だった

羽海野「何って、揚げ物」
跡部「んなのは見りゃ分かんだよ、その中身だ中身」
羽海野「中身?」

箸で掴んでいる衣にまぶされたそれはあからさまに魚や野菜ではないもので、人物が人物だけにこいつやっちまったか…と頭を抱える

跡部「テメェはたいがい破天荒な奴だとは思ってたが、そこまで突き抜けてバカだとは思わなかったぜ。どうやって採ったのかは知らねぇが…普通の野鳥ですらそうなんだからよ、こんな島にいる鳥や獣の野生動物が保護対象とか、そういう可能性はちらりとでも考えなかったのか」
羽海野「何だよいきなり人のことバカ呼ばわりして!だいたい、誰がいつ鳥や獣なんか採ったよ!」
跡部「動かねぇ証拠目の前にして往生際が悪ぃんだよ。じゃあなんだその衣の中身は」
羽海野「カエル」
跡部「は、カエル…?」
羽海野「言っとくけどちゃんと食用のウシガエルだからな。山側の川で野生化したやつがいるつうんで試しに捕まえて捌いてみたんだよ。何、保護対象の野生動物ってそのカエルみたいのも含まれるわけ?もしそうならブラックバスに在来種食いつくされても文句言えないぞ」

睨みつけながら突拍子もないことを言い出す羽海野にさっきとは別の意味で頭を抱えたくなる。まさか、嬉々としてカエルを捌く女子中学生がいるなんて思わねぇだろうが

羽海野「みんなこの島来てから肉抜きで嘆いてるだろ?だから、少しでも肉っぽいのをと思ってさ。これは塩コショウだけだけど、カレー粉まぶしたりすれば味のバリエーションもつくしな」

コイツなりに皆の為にと考えているのは理解できたが…それにしても考えが飛躍しすぎている。返す言葉がなく唖然としていると、何してんだよお前ら〜とはたから声が聞こえる

跡部「宍戸、鳳。ジロー」
宍戸「こんな真昼間から揚げ物かよ、暑くないのか」
鳳「ん、それ…もしかして肉?」
芥川「お肉?!ねぇねぇ、それどうしたの?!」

肉と気づいて連中の目が輝く。やはり育ち盛りだけあって肉に餓えているのだろうか

羽海野「おう、揚げたてほやほやのカエル肉だ、食べる?」
三人「「カエル?!」」

揚げたばかりの唐揚げの載った皿を差し出し、口を揃えると三人が驚いた様子で叫ぶ。そりゃまぁそうだろうな

羽海野「いい感じに脂が乗ってて美味いよ?」
宍戸「い、いや…カエルは流石に…」
鳳「ちょっと勇気がいるというか…」
芥川「ケロちゃん食べちゃうの?」
羽海野「なんだよ、カエルは鳥肉に味が似ててるんだぞ?姿焼きじゃあるまいし、唐揚げならどの肉も変わらねぇって」
宍戸「だから、そういう生々しいこと言うのはよせって…」

カエルと聞いて一気にテンションを下げる連中になんだよ意気地がないなぁ、つまらなそうに羽海野が呟く

鳳「そこに関しては意気地なしでもいいです…」
羽海野「お前ら、そんなんじゃイナゴとか蜂の子すら食えなそうだよな。まぁ、いいよ…無理に進める気ないし」

自分で食うから、と、どことなくしょんぼりとした様子で皿を下げかける

跡部「俺は食わねぇなんて言ってねぇぞ?」

そういって皿からまだ暖かい唐揚げをつまみとるとあっとする羽海野達を尻目にひとかじりする

跡部「ふん、まぁ食えねぇことはねぇな。ただよ、下味がちぃと弱いな。素材が淡白すぎるからもう少し濃い目くらいが丁度いい」

そういって手に持った唐揚げをの残りを口に放りこむとごくりと飲み込む。勝手に食って文句つけてんじゃねぇよ、と悪態をつきながらもどことなく嬉しそうだ

跡部「お前らもカエルくらいで情けねぇぞ?そんなんで氷帝のレギュラーやってけんのかよ」
宍戸「レギュラーとカエルは関係ねぇだろうが。ああ、もう食ってみりゃあいいんだろ?」
鳳「し、宍戸さん」

恐る恐る手を伸ばして唐揚げをつまむと勢いよく咀嚼する。宍戸が手をつけたのを見て、躊躇しながらも鳳とジローも手を伸ばして唐揚げを口にする

跡部「どうだ?」
宍戸「美味いとか不味い以前にカエルだってことが気になって味がよくわかんね…」
鳳「俺も…でも、カエルだって知らなかったら普通に食べちゃうような味かもですけど」
芥川「俺は好き〜。ケロちゃんって思ったより美味しいC〜」

三者三様の反応を示してから、他の奴にも食わせてみようぜ!と新たなる犠牲者を探しに行った三人を見送ってから、その…と羽海野が小さく呟く

羽海野「ありがとな、気を遣ってくれて。アンタが率先して食ったら他の奴だって食わざるを得ないしな」
跡部「誰がお前に気を遣うかよ。カエルごときで意気地のねぇこと言ってる奴らが気に食わなかっただけだ。勘違いすんな」

そういってふん、と顔を逸らす

羽海野「素直じゃないよな、跡部は」

折角優しいって褒めてんのにさ、と言うとお前こそ素直だと気持ち悪いんだよと苦々しく言い放った顔がほんのりと熱くなったのは口が裂けてもコイツには言うまいと思った

おまけ:
丸井「へぇ〜、カエルって結構美味いじゃん!マジで鳥肉食ってるみてぇ」
芥川「でしょ、丸井くん!カエルって食べてみたら美味しいんだよね〜」
切原「丸井センパイがっつきすぎっすよ!俺らだって食ってんのに!」
遠山「せやせや!でもカエルがこんなに美味いんやったらまた食いたいわ〜。なぁ、ねぇちゃん、食事にカエル出してぇな!」
小日向「絶対無理…!」

丸井と山側の連中を連れて戻ってきた宍戸と鳳が唖然とその光景を眺めている。なんで躊躇なく食えるんだよ…と先ほどの自分達との反応の差についついため息がこぼれてしまった

ーーーーーー
あとがき

テニスの食欲魔人ブン太と、公式ゲーム内で爬虫類食の言い出しっぺの赤也と金ちゃんに責任とってカエルを食してもらいました
跡部様はカエルくらいでガタガタ言わない肝の座った方だと信じております
でも、偏見ですがテニプリキャラは案外平気でカエル食べちゃいそうなひとが多そうな気が(笑)

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あきゅろす。
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