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02,秘密

 私の名前は、時雨 葵。ちょっとした伝説を持っていたりする。
 チーム【night】の総長だった。全国制覇を成し遂げた唯一のチーム。私が総長を引退した今でも、それは健在。
 引退っていうか、勝手に出てきちゃったんだけど。チームの皆は怒っているかもしれない。呆れているかもしれない。もしくは、消えてくれて喜んでいるかもしれない。どちらにしても、もう関係ないんだけどね。

 当時、何に対してもむしゃくしゃしていた私。無謀にも、喧嘩を売ってはボコボコにされていた。そんな日を過ごしていると、いつの間にか仲間が出来ていた。最初は私を含めて6人。それが最初の【night】。
 結成したのが確か、中1だったと思う。ただの不良の集まりのようなものだけど。幼い頃からやさぐれていた私たち。似たもの同士が集まって、楽しかった。子供ながらにバカやって、周りの人間を困らせながらそこにいた。

 1年経つと、同志がどんどん集まってきた。次第に私は身を隠すようになった。だって、総長が女って、厳しいでしょ。当時、一番強かったのは私だったけど、私以外の女は、誰一人いなかった。
 性別を隠すことに賛成、反対、半々。
 私は性別を隠した。出来るだけ、幹部以外には会わないようにした。それがよかったのか悪かったのか、チーム内での私は神的存在になっていた。
 それを知ったとき、ちょっとひいた。

 それから三年。いろんな犠牲を出しながら、全国制覇。ただの餓鬼どもに支配されて、納得いかない他のチーム。力でねじ伏せてやったけど。

「今度は何する?」

 と、目を輝かせながら私に聞いてくるナンバーズ。ナンバーズってのは、幹部たちのこと。12人いた。
 私は明日教えてやるよ、と言って眠りについた。
 全国制覇の祝杯で、アジトに幹部が全員集合。私は眠りについたのを見計らって、アジトを後にした。

『まっとうに生きろ』

 そう書いた紙を置いて、皆の前から姿を消した。私がこんなこと言えた義理じゃないけど、皆いいやつばかりで、私のせいで人生駄目にしちゃいけないと思ってさ。
 私は、アジトから遠く離れた田舎に身を隠した。

 そして今に至るのである。




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