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レンリン


※R15ぐらい










「…が、頑張れ自分」


あたしはひとつの扉の前に居た。
胸に抱えているのはチョコが入った袋。
このチョコをこの扉の向こうに居るレンに渡したいのだけれども、



「やっぱりキンチョーするぅ…」



ドアノブに伸ばした手を引き戻した。
ノブを回して押せば、レンはすぐそこに居るのに。


「…レン、レン」


扉の前で名前を呼ぶしか出来なかった。
もしかしたら、声が聞こえて向こうからドアを開けるかもしれない、と勝手な思い込みをした。
けど現実はちょっと捻くれていたみたい。
















「何してんのリン」



そう、声がしたのは目の前の扉からじゃなく、あたしの後ろから。
振り返ればそこには部屋の中に居るはずのレンがいぶかしげな顔をしていた。


「な、な、な…なんでレンがここに居るの!?」

「なんでって…トイレに行ってただけだけど。それよりリンはなんで俺の部屋の前に突っ立ってんの?」

「う……それは…、」


全く同じ質問をされて言葉に詰まる。




「ここで話すより中で話そうよ」




「立ってるのもあれだし」と、ニコッと笑うレンの顔を見て何故か少し安心した。
レンに言われるまま、あたしはレンの部屋の中に入った。
レンが何かを企んでるとは知らずに。








「…で、何してたの」


再度質問されると心が痛くて堪らない。
顔を逸らしても無駄なこと。



「レンに……チョコ渡そうと思って…」

「手作り?」

「う、うん」


手に持っていたチョコの入った袋を差し出すと、レンは少し驚いた顔をした。


「くれるの?俺に」

「だってレンのために作ったんだもん」


顔を赤らめながらも言った。頑張った自分。と思い込んでたのはつかの間で




「このチョコ、俺に食べさせてよ」


レンはイスから立ち上がりベットに座っていたあたしに近いて





「口移しで」





口の端を釣り上げてレンはあたしにチョコを手渡す。
勿論そんなこと出来るはずない。
俯いたまま何も答えないあたしに







「……じゃあさ、来年はしてね?」



ぽかんと空いていた口にチョコを無理矢理入れられた。そしてレンの唇が触れる。



「ふ、…んっ…」



キスだけならまだしも舌が潜入して口内に拾ったチョコを舐め上げられていく。
舌もいつしかレンと絡ませ合っていた。



「んっ、ぁ…」


唇と唇が離れ一本の糸を作った。
潤んだ目で見たレンは満足そうな顔をしていたのに。




「リン食べていい?」

「だ、だめ」

「…ごめん、無理」

「え、あっ――」


ベットに押し倒され首に舌を這わされる。
くすぐったいのとチョコの甘い香りで思考が麻痺する。


「や…、だめ、だっ…て、」

「ん、美味しいよ」


レンの舌は鎖骨を通り過ぎてさらに下へと下がっていく。



「ぁ…ダメって、言ってる…でしょ!」

「いでっ!」



精一杯の力を入れてレンの頭におもいっきりチョップした。
レンは痛そうに両手で頭を抑えている隙に乱れた服を直す。


「何すんだよ、」

「レンが悪い」

「だってリンの方が美味そうに見えた」

「目、おかしいんじゃない?」

「俺の目にはリンしか映ってないよ?」

「……、それより何、この手」

「俺の手リンの体が好きみたい」

「…………」





帰ろうとしても帰れそうにないから、もう少しだけここに居ることにした。


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