5題 3.平行線をたどる日々 好きだ 顔が熱い。胸もドキドキするし、なにより落ち着かない。 これはきっと『恋』なんだ。見れば見る程顔がほてるし、心臓も高まる。 いつもと同じことなのに、いつもと違う。いままで当たり前だったのが、今は違う。 きっと何かの間違い、と思っても、視線は君だけにしかいかない。 目で追って、視界に居なければ探して。 過保護なんかじゃない。 …そう、無意識にしていた。 「話しって何?」 今日もいつもと変わらず自慢の白いリボンを揺らし笑顔を向ける。 ほら、今だってその笑顔を見るだけで顔に熱が集中する。 「……やっぱりなんでもない」 「?変なレン」 "好きだ" ただその一言だけなのに。喉まで来て、口から出ない。 まるで、それを言ってしまったら何かが変わってしまうかのように。それを防ぐかのように、その先は出てこない。 青い色をしていた空がいつの間にか真っ黒に変わっていた。 嗚呼、また一日が終わる。 平行線をたどる日々 なんで、言えないんだろ |