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第十四話‐参




「奈落が恐いのかよ!」

「お前を助けてやる義理はない、と言っているのだ」


言葉に詰まった神楽に、一人でやる覚悟がないなら裏切りなど考えるなと追い撃ちをかけた。


「この腰抜け!てめぇそれでも男か!?」

「「まあ!」」

「…ふん、見損なったぜ…」


そう言い残し神楽は風を起こして去って行った。


「(風使いの神楽……果たして自分でかけらを使って、奈落を倒せるのか…。…どうなろうと…私にはどうでもいい事だがな…)」


振り返り歩もうとした殺生丸は猫芽と目が合った。


『………気になるの…?』

「…何がだ」

『べ…っ、別にっ、何でもないし!』


慌てた様に顔を逸らした猫芽を暫く見た後、殺生丸は足を進めた。


「あ、殺生丸様? もうお発ちで?」


邪見とりんも慌てて着いていく。殺生丸の横についたりんは、彼に話し掛けた。


「殺生丸様。…りんは、今一人じゃないけど、あの人…一人で寂しかったのかなぁ…」


見上げるが殺生丸は何も答えない。その後ろで歩いていた猫芽は、頭の後ろで手を組みながら夜空を見上げていた。


『(……あいつ“も”一人なのか……)』


前の二人の背中を見、後ろの邪見と阿吽の気配を感じながら、所詮自分も一人なのかもしれないと思う猫芽であった。




第十三話
《吹き荒れる裏切りの風》



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