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第十四話‐弐




あっという間に夜。一行は草原へと来ていた。


『なんかよく考えてみれば、あたしら何やってんだか』

「なんじゃまた」

『いやさ、鉄砕牙手に入れる為にこうやって旅してるのにさ』


りんが乗った阿吽の手綱を引く邪見と話す猫芽は、少し前にいる殺生丸に聞こえない様話す。


「だから何だと言うのだ。犬夜叉めに先を越されてからというもの、幾度も鉄砕牙を奪おう、壊そうとしたが全て失敗に終わっている。…はぁ…、殺生丸様の作戦も全て失敗に…」


俯きながら今までの事を思い出しつつ話していると、やけに静かな猫芽に気づいた。

そちらを向くと、顔を引き攣らせそっぽを向いている。


「………私の策、だと? 貴様の考えではなかったか…?」


ギギギと前を向くと殺生丸が立ちはだかる様に立っていた。


「…せせ、殺生丸様……これは…その……」



邪見の断末魔を聞き流しながら心の中で謝る。そして邪見に頼る殺生丸もどうかと思ったのだった。





と、その時。強い風が吹き荒れ、猫芽は腕で顔を覆った。


「――よぉ」

「よぉって貴様…!」

「…風使いの神楽…とか言ったな」

「へぇ嬉しいね。覚えていてくれたのかい」


刀の柄に手を置いた殺生丸に、戦いに来た訳ではないと神楽は言う。


「殺生丸、あたしと取引しねぇか」

「…取引?」


神楽は四魂のかけらを二つ差し出し、そのかわり奈落を殺せと告げた。


「なんとま!」

「…あたしを…奴から解放して…」

「………」


互いを探る様に見つめ合う殺生丸と神楽。それを不愉快そうに見ていた猫芽は腕を組んだ。その手には苦無を隠し持っている。


「あんたの力ならできる。奈落を殺せば、あいつが集めたかけらも手に入る」


それを使って面白おかしくやろうと、神楽は口角を上げた。


『(はぁ?やろうじゃないかって事は一緒に来る気かよ)』


冗談じゃないと猫芽は小さく舌打ちをした。


「奈落を裏切ると言うのか?」

「はっ。元々好きで従ってる訳じゃねぇからなぁ。どうだい殺生丸。あたしと組んで、損は無いと思うがな」

『………ちっ』

「猫芽様?」

『…何でもない』


だが四魂の玉に興味がない、自由になりたかったら自分でかけらを使って奈落を倒せと言った殺生丸。猫芽はどこかほっとしていた。


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