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第十三話‐弐




『ほざいてろデブ猫』

「なっ! んだとぉこの!もういっぺん言ってみろ!!」

『デーブデーブ』

「っお前頭領の娘だからって調子乗んなよな!!」

「「そーだそーだ!」」


そういう男勢に対し、猫芽率いる女勢は牙を向く。


「何よ!猫芽ちゃんに勝てない癖に!!」


ふん、と互いにそっぽを向く。


「どうせお前なんて頭領から秘密の技とか持ってんだろ。ずっりーの」

『! あぁ?んだとこら。修業も怠けてる奴に言われたくねぇよ!』


また取っ組み合いが始まり、最終的に全員ボロボロになって各々の家に帰って行った。


「……くだらん」


そう吐き捨てた殺生丸は、一人森の中に向かう猫芽に気づき、興味本位でつける事にした。






―猫芽をつけている途中、突然猫芽から苦無がこちらに飛んできた。


『誰あんた。さっきから着いてきてキモい』


殺生丸は少し青筋を浮かべつつ、猫芽の前に姿を現した。


「貴様は忍猫族首領の娘らしいが、誠か?」

『自分から名乗れ』

「貴様などに名乗る名などない」

『じゃああたしも何も言わない』


ふいと横を向く猫芽に苛立ちを抑えつつため息をついた。


「子供だな」

『っあんただって同じぐらいだろ!!』

「一緒にするな」

『五月蝿い殺すぞ!!』

「貴様如きに私を殺せるとでも?」

『いちいち嫌みな奴だな!あんた友達いないだろ』

「………」


てっきり、そんな物必要ないとか言うと思った猫芽は拍子抜けした。


『…変な奴』

「お前に言われたくない」


猫芽は舌打ちを打つと、忌ま忌ましげに殺生丸を指差した。


『あんたのその髪。嫌い』

「なに?」

『あたしの嫌いな奴とそっくりだから。あいつは母様を取った』


ぶっきらぼうにそう言う猫芽の表情は、どこか寂しげだった。


「…お前……」

「―――猫芽」

『あ、母様!』


猫芽は表情をころりと変え、呼ばれた方に走って行った。一方殺生丸も猫芽とは逆から呼ばれ振り向く。


「話は終わられたか」

「なんだ、迎えに来てくれたのか?」

「……ふん」


殺生丸は一度猫芽が去った方をじっと見つめ、やがて父と共に森を去って行った。












『―――。―い!殺生丸!』


意識が現在に戻り、気づくと猫芽が怪訝にこちらを見ていた。


『何だよぼーっとして』

「……………」

『な、なに』


じとりと見られ、後ずさる。


「…お前の口の悪さは昔からか……」

『は?』


殺生丸はそう呟くと着物を翻し歩き始めた。


「せっ殺生丸様お待ち下さい!」

『何だあいつ』


そしてまた旅が始まる。




第十三話
《殺生丸の些細な思い出》







*****
猫芽は昔過ぎて覚えてません。


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あきゅろす。
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