「全く灰刃坊の奴、刀を持ったまま一体どこをうろついているのやら」
りんの元に帰りながら邪見がぼやく。
「殺生丸様ー、猫芽様ー」
こちらに気づいたりんが駆け寄って来るが、何かに気づいた殺生丸がりんを止まらせた。
「ん?」
そして飛び上がると、りんの後方にある木を爪で切った。すると、扇子を持った着物の女が出て来た。
『……どっかで嗅いだにおいだな。…あの奈落とかいう奴と同じだ』
「殺生丸様を陥れようとした輩か! 思い出しても胸くそ悪くなるわい」
「ふーん、あんたが犬夜叉の兄貴の殺生丸か。優男だねぇ…。あたしは風使いの神楽、奈落の分身みたいなもんさ」
「分身だと…?」
「そう。…そして、あんだが剣を打てと灰刃坊に渡した牙は、“悟心鬼”って奴の牙さ。あいつもあたしと同じ、奈落の分身さ」
「だからどうした。わざわざそれを教えに来てくれたのか」
「フッ、臭わないかい? 悟心鬼から生まれた邪気溢れる剣…。闘鬼神はすぐそこだよ」
そう言って神楽は風をおこし、空へと舞い上がって消えて行った。
「なーにあれかっこつけて、ねぇ? 胡散臭い女でございますなー」
「……りん、もう動いていい」
「あ、はい」
「お前も変な奴」
はしゃぐりんをつついていじる猫芽は、ふと気づいた。
『……そういや灰刃坊、犬夜叉とか何とか言ってた気がする様な…』
「「………」」
ま、いっかと呟いた猫芽は邪見に叩かれた。
「よくないわい!! 何故それを早く申さぬ!」
『えー』
「えーじゃない!!」
「………」
「申し訳ございません殺生丸様! 猫芽にはよく言って、」
「行くぞ邪見」
「は?」
「……闘鬼神を取りに行く。…それに確かめたい事もある」
『あたしは、』
「猫芽はりんとここにいろ」
殺生丸は猫芽を横目で一瞥すると、邪見と阿吽を連れ去って行った。
『んだよあいつ。文句あるんだったらハッキリ言えよな』
「違うと思うなー。だって猫芽様怪我してるし」
『何が?』
「…ううん、何でもない!遊ぼ!猫芽様!」
『?』
第十二話
《殺生丸、闘鬼神を振るう》
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今回でのアニメで殺生丸様はあまり出てきませんでした↓
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