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第十一話‐弐




『――…おいおい、これやばいって…』


嫌がってもしょうがないと、渋々灰刃坊に尽くしていた猫芽。

刀が出来上がり、様変わりした灰刃坊を冷や汗を流しながら後退りした。


「…こりゃあいい……!!」

『(邪気が気持ち悪いくらいやばい…!!)』


その時、小屋の外から足音が聞こえてき、邪見が現れた。


「どうじゃ!鬼の牙の刀の出来は!」

『邪見!』


え、と邪見が反応したや否や体を真っ二つに斬られてしまった。


『な……!!』


地に倒れる邪見を唖然と見る猫芽。


「出来たぞ…! 素晴らしい鬼の剣だ…!!」


ギロリとこちらを向いた灰刃坊に、苦無を構える。

見るも無惨な姿になってしまった邪見をちらりと見、こうはなりたくないと握る手に力を込めた。


「フフフフ…。すげぇ力だ」


切り掛かってきたのを苦無で受け止めるが、力の差がある。弾かれ背中を強打したかと思うと左肩に激痛が走った。


『っく…!!』


刀で貫かれ、声をあげる。すると灰刃坊がすんなり刀を抜いた。


「チッ…、わかったよ、犬夜叉だろ」


そう言って灰刃坊は去って行った。


邪気と緊張と痛みによりどっと疲れが出た猫芽は力を抜いた。


『………』


そして、肩を押さえながらもう動かない邪見を見る。


『(……殺生丸がいれば生き返れるけど、あいつがするのか…)』


するとまたも外から足音がし、慣れた気配に無意識に肩の力を抜いた。


「………無樣な姿だな」

『………』


猫芽は舌打ちをすると、横目で殺生丸を見上げた。


「……灰刃坊の仕業…か」


死んでしまった邪見を見下ろし言った殺生丸は、天生牙を抜いた。そして彼にしか見えないあの世からの使いを斬った。

動いた邪見にほっとする猫芽。


「行くぞ猫芽。邪見、さっさと体をくっつけろ」


我が命を助けてくれた殺生丸に邪見が感動する中、猫芽が壁づたいに立ち上がった。


『…いてて…、あーくそおもいっきし刺しやがって…』


邪見の灰刃坊について様子がおかしくなったことを聞いた殺生丸は、成る程と呟いた。


「全くあ奴は何と言う…」


と、ぐちぐちと言いながら出て行った邪見に続こうと殺生丸の前を通り過ぎ様とした。


『に゙ゃっ!?』


尻尾を掴まれ、涙目になりながら振り向いた。


『何す、』


顔の近さに動きを止めた。


「………」


殺生丸は何も言わず、やがて離れると小屋から出て行った。


『………っ、何なんだよもう…』


赤面した顔をごまかす様にゴシゴシとこすりながら後に続くのであった。




第十一話
《灰刃坊の邪悪な剣》







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殺生丸様は猫芽が何もされてないか確認したかったのでしょうね。


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