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第九話‐壱
名刀が選ぶ真の使い手




『また新しい腕つけてるよ』


猫芽が呟く。

殺生丸は盾がわりにはなると、他の妖怪より丈夫な竜の腕をつけてきたのだ。


「けっ、竜の腕だか何だか知らねぇが、一度刀に触れただけで随分傷んでるじゃねぇか!」


犬夜叉の挑発めいた言葉に、口角をあげた。


「流石は鉄砕牙よ…使い手に恵まれずとも竜の腕などものともせぬ…だが……結界を受けいれた使い手に、何故“風の傷”を教えぬ……鉄砕牙よ…虚空を切り裂け……真の力を見せよ…」



「うわぁー、殺生丸には“風の傷”が見えとるわい」

「おじいさん、“風の傷”って?」

「簡単に言っちまえばそれが鉄砕牙を使いこなす極意じゃ。一度に百の敵を倒すにはその“風の傷”を読めんことには話にならん。殺生丸にはそれが見えるんじゃ…」

「っじゃあ!その極意を犬夜叉にも教えてあげて!今すぐに!」

「教える事など不可能。犬夜叉が自ら悟らなければ…それができなければ……犬夜叉はここで死ぬ」


殺生丸は一気に畳み掛ける。鉄砕牙を力任せに竜の腕で殴り、どうやら鉄砕牙が狙いの様だ。

鉄砕牙が鳴く様に音がなる。


「いかん。奴は波動の波の山ばかり叩いておる。いくら鉄砕牙と言えど、これを繰り返されると折れちまうぞ」


その後も殺生丸の鉄砕牙への攻撃は止まない。殺生丸が腕を振り上げ犬夜叉を吹き飛ばした。

それを見て珊瑚が助けようと、飛来骨を振りかぶるが犬夜叉に止められた。


「手ぇ出すんじゃねぇ……殺生丸はこの俺が…!鉄砕牙で叩っ斬る!!」


その言葉に皆は心配そうな面持ちで見守る。


「ねぇ猫芽ちゃん…殺生丸を止め…れないよね…」

『無理無理』



犬夜叉は声を上げ斬り掛かった。だが、竜の腕で受け止められ、殺生丸はもう一方の拳を振り上げ鉄砕牙を殴ろうとした。


ドン!


「ぐっ…」

「こ奴…!刀を庇ったか…!!」


拳を真正面から受けた犬夜叉の額から血が流れる。だが犬夜叉は不敵に笑んだ。


「まだまともに使いこなしてねぇ刀を、壊されてたまるもんかよ…!!」


だが、拳から出た毒素が犬夜叉を襲い吹き飛ばされた。その毒の影響で目が見えなくなってしまい焦る犬夜叉。

頭上からは殺生丸が迫っている。


「!!(邪気……!!)」


感じ取った邪気で何とか防いだ犬夜叉。その後の攻撃も防ぎ間合いを取る。


「妖気の渦が!!……風の擦れる臭い……妖気の流れがぶつかる裂け目だ…!!…風の臭いだ!!!」


犬夜叉はその裂け目に向かって鉄砕牙を振るった。


そしてついに“風の傷”が放たれた。


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