『また新しい腕つけてるよ』
猫芽が呟く。
殺生丸は盾がわりにはなると、他の妖怪より丈夫な竜の腕をつけてきたのだ。
「けっ、竜の腕だか何だか知らねぇが、一度刀に触れただけで随分傷んでるじゃねぇか!」
犬夜叉の挑発めいた言葉に、口角をあげた。
「流石は鉄砕牙よ…使い手に恵まれずとも竜の腕などものともせぬ…だが……結界を受けいれた使い手に、何故“風の傷”を教えぬ……鉄砕牙よ…虚空を切り裂け……真の力を見せよ…」
「うわぁー、殺生丸には“風の傷”が見えとるわい」
「おじいさん、“風の傷”って?」
「簡単に言っちまえばそれが鉄砕牙を使いこなす極意じゃ。一度に百の敵を倒すにはその“風の傷”を読めんことには話にならん。殺生丸にはそれが見えるんじゃ…」
「っじゃあ!その極意を犬夜叉にも教えてあげて!今すぐに!」
「教える事など不可能。犬夜叉が自ら悟らなければ…それができなければ……犬夜叉はここで死ぬ」
殺生丸は一気に畳み掛ける。鉄砕牙を力任せに竜の腕で殴り、どうやら鉄砕牙が狙いの様だ。
鉄砕牙が鳴く様に音がなる。
「いかん。奴は波動の波の山ばかり叩いておる。いくら鉄砕牙と言えど、これを繰り返されると折れちまうぞ」
その後も殺生丸の鉄砕牙への攻撃は止まない。殺生丸が腕を振り上げ犬夜叉を吹き飛ばした。
それを見て珊瑚が助けようと、飛来骨を振りかぶるが犬夜叉に止められた。
「手ぇ出すんじゃねぇ……殺生丸はこの俺が…!鉄砕牙で叩っ斬る!!」
その言葉に皆は心配そうな面持ちで見守る。
「ねぇ猫芽ちゃん…殺生丸を止め…れないよね…」
『無理無理』
犬夜叉は声を上げ斬り掛かった。だが、竜の腕で受け止められ、殺生丸はもう一方の拳を振り上げ鉄砕牙を殴ろうとした。
ドン!
「ぐっ…」
「こ奴…!刀を庇ったか…!!」
拳を真正面から受けた犬夜叉の額から血が流れる。だが犬夜叉は不敵に笑んだ。
「まだまともに使いこなしてねぇ刀を、壊されてたまるもんかよ…!!」
だが、拳から出た毒素が犬夜叉を襲い吹き飛ばされた。その毒の影響で目が見えなくなってしまい焦る犬夜叉。
頭上からは殺生丸が迫っている。
「!!(邪気……!!)」
感じ取った邪気で何とか防いだ犬夜叉。その後の攻撃も防ぎ間合いを取る。
「妖気の渦が!!……風の擦れる臭い……妖気の流れがぶつかる裂け目だ…!!…風の臭いだ!!!」
犬夜叉はその裂け目に向かって鉄砕牙を振るった。
そしてついに“風の傷”が放たれた。
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