「あちっあちっあちあち!全くたまらんなぁここは。地面の石まで焼けとる…あー何か焼肉のいい匂い……」
邪見が足元を見ると、足が焼けていた。慌てて走るもこけて全身が燃え上がり、またも走る。。
「はぁー……お?おぉここじゃここじゃ。いるかー刀々斎!」
火山帯と思われる山中にある、巨大な魚の骨で出来た工房に、“鉄砕牙”“天生牙”を作った刀鍛冶――刀々斎は住んでいる。
「依頼した刀は打ち上がっておろうな!今日が約束の日だぞー!!」
邪見が呼ぶも、返事がない。痺れを切らした邪見が中に入ると、
引越シマシタ
急いで外に出、辺りを見渡す。
「ちきしょー!あの狸じじいがどこいった!!ったくも…あ」
後ろで誰かが立ち止まる音。恐る恐る振り返ると殺生丸がいた。殺生丸の後ろには猫芽が背を向けている。
「…そうか…刀々斎は逃げたか」
静かに言う殺生丸に対し、邪見は土下座をしひたすら頭を下げる。
「申し訳ございません殺生丸様!刀々斎なる刀鍛冶は好き嫌いが激しく、自分が気に入ったものでなければ刀を打たぬと聞き及びます!」
「つまり……この殺生丸に相応しい刀を打ち興す気はないと言う事か…」
「はぁ、何と申しますか…嫌われてるんでしょうなぁやっぱり…」
『邪見…!』
猫芽に言われ、自分の失言に気づいた。ハッとして顔を上げ殺生丸を見ると、……笑った。
「笑って……!!頼みます!!頼みますからお怒り下さい!!笑っておられる殺生丸様の方が恐ろしゅうございます是非ともにぃ!!」
更に墓穴を掘る邪見に、呆れた様に額に手をあてる猫芽。
すると猫芽の背後に殺生丸が立った。
肩を揺らし、サーッと背を向けたまま距離を取る。
「………猫芽」
『ぅぎっ』
変な声を上げ、ぎこちなく振り返る。殺生丸の顔を見ようとしない。
『な、なに…』
「刀々斎を探しに行け」
『はぁ!?何であたしが、』
「掴まえておけ。決して逃がすな」
『だから何で!刀々斎っつってもどこにいるかわからないだろ!嫌だよそんな面倒な事』
「ほう…?」
猫芽が殺生丸を見ると、……笑っていた。
『ひっ!笑って…!!―――!!!』
嫌な予感がした猫芽は身を引くがそれより速く殺生丸が近づき、猫芽の顎を掬い間近で見つめる。
『ぅあ……ぃ…!!』
見る見る赤くなっていく顔。我慢ならなくなった猫芽が振り払う。
『わかったよ!!行きゃあいいんだろ!!……くそ!人の弱点つきやがって……!!』
「弱点だと認めるのか」
『ちっ違うし!!〜〜〜!!お前いつか死ね!!』
そう噛み付くと、化け猫になり空へと飛んでいった。
「……ふ…」
「(また笑った……!!)」
次
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!