「(ひぃ!!殺生丸様のご機嫌が最高潮に悪い…!!)」
邪見はその様子を縮こまって見ている。
「ふざけているのか」
猫芽は苦しそうに顔を歪ませながら片目で殺生丸を見、鼻で笑う。
『だったらどうする…っ…殺すか…?』
「おい猫芽!!」
邪見が制するが、殺生丸の手に力が篭った。
『ぅ……』
「せっ殺生丸様!その辺で勘弁してやって下さいませ!この邪見が厳しく言っておきますので…」
「………」
殺生丸は暫くして、手を離した。猫芽は崩れる様に座り込んで、喉を押さえる。
『げほっげほっ…はぁはぁ…』
「口には気をつける事だな。次は……殺すぞ」
そう言って殺生丸は去って行った。
『………けほ…』
「猫芽…貴様死にたいのか」
邪見は呆れた様に言う。
『………かもね…』
「は?」
息を整えた猫芽は木にもたれる。
『……母様……皆が死んでから…生きてく意味がわかんねーや…』
自嘲する様に笑い、地面を見る。
その時、頭に衝撃が走った。
『いたっ!』
どうやら人頭杖で叩かれた様だ。
「何を言うか!わしらには殺生丸様にお使えする事が生きる喜びじゃろうが!!」
腰に手をあて怒る邪見をきょとんと見ていたが、やがてくすっと笑った。
『らしくもなかったね。辛気くせーの』
邪見の頭をガシガシとすると、立ち上がった。
『さ!行こっか』
「(普段から素直にしとけば良いものを…)」
歩き出した二人は、殺生丸に会話を聞かれていた事を知らないのだった。
第六話
《帰れ、かごめ!お前の時代に》
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