「殺生丸!今度は腕、左腕をぶち抜くわよ!」
「左腕!?」
かごめには殺生丸の左腕に仕込まれた四魂のかけらが見えていた。
だがかごめが放った矢は軽々と避けられ、殺生丸が襲い掛かってきた。それを犬夜叉が阻止すると殺生丸が嘲笑う。
「早いな。その女の事になると」
殺生丸の頬には傷が出来ていた。
『(破魔の矢…昔母様から聞いた事がある…)おい』
猫芽は目の前の弥勒に声をかけた。ちなみにもう弥勒と戦う気力は無くなっていた。
それがわかったのか、弥勒も構えていた錫杖を降ろす。
「なんでしょう」
『あの女は巫女か』
「…さあ、生まれ変わりとか何とか…」
ふぅん、と頷くとかごめを見据える。
「せっ殺生丸様のお顔に傷がふがっ!!」
弥勒は振り返ると邪見の頭を殴った。
「…ふっふっふ…!!」
「え!!ちょちょちょっと先程と表情が違うんじゃ…」
慌てて逃げる邪見を掴むと、静かに唸った。
「調子こいてんじゃねぇぞ…てめぇ…!!」
「ああああの、あの…」
「や、やっぱり弥勒は不良法師じゃ…」
弥勒は邪見の胸倉を掴むと揺さ振り、問いただす。
「さあ…吐きな!!毒虫の巣!どこで手に入れた!!」
「猫芽助けて!!」
だが、猫芽は我関せず状態。殺生丸と犬夜叉の闘いを見てる。
「あ奴〜……」
邪見は渋々事を明かした。
「そいつの名は!!」
「名は…」
『……“奈落”』
「(奈落!?)」
「奈落と言うのは、確か弥勒が追ってる奴じゃな!?」
「奈落はどこだ!どこにいるんだ!!」
「知らぬ…それに、今更貴様が知ったところで無駄であろう!!」
「っ!!」
「どうせ貴様は虫の毒をたっぷり吸い込んで間もなく死ぬのだ」
「っ…」
「苦しいのか!?弥勒」
「…悔しいが…私はこれでも…っ…か弱い人間ですからね…!」
「きっ!ざまあみろ…!!」
苦し紛れの邪見は弥勒にボロボロにされた。
するとかごめがやって来、横たわる弥勒に解毒剤を準備する。
口移しで…と冗談を言う弥勒を余所に、小高い岩山から弓を構え殺生丸を狙う。
『………あんたがそれを打てばあたしがあんたを殺すけど?』
「!!」
猫芽は前を見据えたまま話す。
「やれるもんならやってみなさいよ!こっちには七宝ちゃんがいるんだから!!ねぇ七宝ちゃん!」
「へ!?おっおう!!いざとなったらおらの狐火で…!!」
猫芽がちらっと見ると、ひぃっと横たわる弥勒の影に隠れた。
そしてとうとう矢を放ち、それは殺生丸の鎧を砕いた。
「…かごめ!」
「犬夜叉、止めさせろ。半妖とは言え妖怪の血を持つお前が、死に際に人間ごときの加勢をうけてくれるな」
犬夜叉の静止の声を聞かず、懲りずに再び矢を放つが殺生丸に捕らえられ、矢が溶かされてしまった。
「邪魔と言うのが……わからんのか!!」
殺生丸はかごめに向かって鉄砕牙を薙ぎ払った。
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