勘違い 空から桂一派の襲撃を受け、高杉の船は煙りを上げる。 その船のへさきには十字の丸太にくくりつけられた神楽がいた。 「はい聞けェェお前らァァア!!」 拡声器で叫ぶのは来島また子。 「お前らの目的は読めたァァ。この娘ッスね、何やかんやでこの娘を助けたいのは痛い程わかってるッス。そんなにバンバン撃って、その娘に当たっ」 バンッ ドオンッ 「ばっふっ」 「武市先輩ィィ!!話が違うじゃないッスかァ!!」 「予想が外れましたねェまァ砲弾も外れたから良しとしましょう」 「外れてるのはあんたの頭のネジッスよ!」 「ブワハハハハハ!バッカじゃねぇの?あんな連中と何にも関係ないもんね。勘違いしてやんのプププ〜恥ずかしぃ」 「何浮かれてんの!?お前が一番危機的状況なんだよ!?」 するとまた砲弾が飛んできて、周りは動けない神楽を置いて逃げる。 無責任なァァと叫んだ神楽は目をつぶった。 「…チッ、何の役にも立たなかったッス…!!」 煙りが晴れ、そこにいたのは丸太ごと神楽を抱える新八が。 「お待たせ、神楽ちゃん」 「し…新八ィ!!」 「っな!!」 「動くなよ」 来島が動きを止め、武市を振り返る。そこには背後で武市の首に切っ先をあてる李野がいた。 「こ奴がどうなっても…」 厭らしい笑みを浮かべ、両手で輪を作る来島。 「…いいらしいな」 「ふざけてる場合ですか、このう●こ」 「お前がう●こ」 すると突然、船が空へと飛び去った。そのせいで、船が傾き転がらないよう皆走る。 「オオオオ!!」 「何者ッスかァァ。おいいいい!!答えるッスゥウ!!」 「また子さんんん、走る事に集中した方が良さそうですよ、ふがっ」 「駄目!もう落ちる!!って何してんすか李野さん!!」 新八が抱える丸太の上に乗った李野を見て、冗談じゃないと叫ぶ。 「いやもうほんと無理なんだって。頭ぐわんぐわんするし、新八君も二人に見えるし。あれ、今話してるのって新八君?新一君?」 「おいィィィイ!!ちょっともう神楽ちゃん!助けに来といてなんだけど、助けてェェェ!!」 「「そりゃねぇぜぱっつぁん」」 「呑気でいいなてめェらはよォォ!!」 「新八、私こんな所までヅラ探しに来たけどやっぱり見つからなかったネ。ヅラはどうなったアルか?銀ちゃんは?何で銀ちゃんいないの?」 「っ!!」 「………」 「新八――」 走る新八の目の前に砲弾が打ち込まれ、吹き飛ぶ。その拍子に丸太を離してしまい、宙に浮く神楽と李野。 李野は依然と丸太の上に片膝をついて座っていた。 「新八ィィィ!!」 「神楽ちゃん!!李野さん!!」 [前へ][次へ] [戻る] |