信じる心
「……じゃあ、ここで見つけたって言うの…それ…」
エリザベスが口から出した、桂の血染めの所持品を見て新八は眉を下げた。
「おまけにここ数日桂さんの姿を見てないなんて…どうしてもっと早く言わなかったんだ、エリザベス」
「“最近巷で辻斬りが横行している…もしかしたら…”」
「エリザベス…君が一番わかってるだろ?桂さんはその辺の辻斬りなんかに負ける人じゃない」
「でも…これを見る限り何かあった事は明白…早く見つけ出さないと大変な事になるかも…」
「………」
「李野さん…」
何かを思案している李野は、新八に顔を向ける。周りをみると新八だけではなく神楽もエリザベスも目線を向け、李野の答えを待っている。
「……これだけじゃ何とも言えんな」
「そんな………桂さん」
「“もう手遅れかも…”」
うっすらと涙を溜め、そうプラカードを出したエリザベスに新八は拳を握り締める。
「バカヤロォォォオ!!!」
「“ぐはっ!!”」
「お前が信じないで!!誰が桂さんを信じるんだ!!!」
新八がエリザベスを叱咤する中、李野と神楽は話し合う。
「どうするアルか、李野」
「………とりあえず情報だな。神楽殿は定春の鼻を使え」
「わかったアル。李野は?」
「拙者は別行動だ。新八君」
「え」
何故かエリザベスに土下座をしていた新八は顔を上げる。
「お主はエリザベスと一緒に辻斬りを調べろ。いいか?絶対一人になるな」
そう念を押した李野は、既に駆け出していた神楽とは別方向に足を進める。と、
「おっと、さっきはああ言ったが、小太郎は生きている。これだけは言えるな」
そう不敵に笑った李野は走り出した。
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