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地味(新八)的観点


今日僕が万事屋に来ると、李野さんはいなかった。だからいい年してゴロゴロとジャンプ呼んでるニートもどきに聞いた。


「あぁ?李野なら散歩なんじゃね?」
「散歩って…もし倒れたりしたらどーすんですか!?」
「知るか」


何だか不機嫌だ。


「…何かあったの?」
「ただの痴話喧嘩アル」


またか…、と呟きため息。


文中には全く書かれていないが、この二人はよく喧嘩…というか言い合いをする。

李野さんが、いい加減動け、働け、子供達に給料払え、家賃払えと尤もな事を言いそれに銀さんが、気が向いたら。等と返す。

そういう事を言い続けるのは彼女くらいだ。なんせ僕らはとうに諦めてしまっているから。

そして勿論銀さんに味方なんかつきはしない。僕らもそーだそーだこの天パと乗っかるが銀さんは聞く耳持たず。

それに李野さんがむっとしジャンプを取り上げる。そこから始まるのだ。


だいたいお主はいつもいつも。何ですか、お前は俺の母ちゃんですか。阿呆か、母ちゃんだったらもっと過激だ。過激って何だ、外に放り出して“そんな聞かん坊はお化けに食われちゃうぞ〜”とでも言うのか。阿呆、お主がそんなだったら子供達に示しがつかんではないか、仮にも預かっている身なんだぞ、お主は。は?何言ってんの、こいつらが勝手に居候してるだけじゃん。またお主はそんな事を…そんな奴は豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ。そんな事言って俺が死んだらお前が一番悲しむ癖に〜。なっ、…もういい。


とまあこんな感じで最後には李野さんが出ていくのがお決まりのパターン。で、結局夕方頃李野さんが折れて帰ってくる。所謂惚れた弱みだろう。


さっきはすまない…。…別に。


で元通り。これが幼なじみの良さなのだろうか。


李野さんは多分少しでもかまって貰いたいんだろう。折角広島から遠路遥々来たのだからその気持ちはわからないでもない。




李野さんは誰にでも分け隔てなく接っして、思いやっている。

だけど銀さんに対して決定的に違うのはすぐムキになる事。多分これが無かったら李野さんが銀さんを好きだってわからなかっただろう。



話は変わるが、李野さんはたまにどこか遠い所をボーッと見ている事がある。どうしたのかと聞くと、


「拙者はな、銀時達が羨ましい」
「え?」
「銀時達には人を引き付ける力があるだろ?普段は絶対言わんが、あの四人は拙者にとって眩しい存在だ。憧れでもある」
「李野さんにもあると思います、というかありますよ。僕らにとって李野さんは眩しいです」
「……ありがとう」


あまりにも儚げに笑うもんだからどっか遠くに行っちゃうじゃないかって。

でも李野さんはまた家に戻るって言ってたしあながち間違っちゃいないか。


その時銀さんは一体どうするんだろう。


それに銀さんは李野さんをどう思ってるんだろう。




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あきゅろす。
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