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バカ本


「おりょーちゃん結婚してー!」
「ノーセンキュー」


ゲシッと蹴られ床に笑いながら転がる坂本を見下ろす三人。


「馬鹿馬鹿しい。帰るわ、俺」
「そうしよう」
「すまぬな、今回は俺が悪かった」


口々にそう言い踵を返した三人。


「んん?そこにおるんわ…」


だが目敏く三人を見つけた坂本は素早く立ち上がり李野に抱き着いた。


「李野ォォォ!!会いたかったぜよォォォ!!」


嬉しさの余り李野の頬にほお擦りする。


「くすぐったい通り越して痛いぜよォォォ」
「なんだ金時もおるがか。おおヅラも」
「銀時だ!」
「ヅラじゃない桂だ!」
「ちょうどおまんらに会いに行こう思うてた所じゃ。よし、飲み行くぜよー!!」


そう叫んで李野の肩に手を回し意気揚々と歩いていく。李野は引きずられるままだ。
桂はそんな坂本を引き止め様とするも、


「ったく…てめェのおごりだかんな」
「おい銀時まで」
「大丈夫だって。第一、その“暗殺”予定も明後日じゃねェか」
「…確かにそうだが…」
「堅いんだよお前は。もうちょっと気楽にいこーや」


そう言って坂本の後を着いて行く銀時を、ため息混じりで見つめ仕方なく自分も後を追った。
























「わっはっはっは!!もっと酒だァー!!」
「おう!わしの奢りじゃァ!!どんどん飲むぜよ〜!!」


既に出来上がっている銀時と坂本は肩を組んで騒いでいた。


「…そのへんにしとかないと後が辛いぞ(誰が介抱すると思ってるのか…)」
「あー?んなのおめェ、アレだよアレ……なんらっけ?」
「アレじゃアレじゃ!」


そんな二人の向かいに座っていた李野は諦め、隣を横目で見遣る。
桂は静かに酒を飲んでいるが、密かに周りの気配を探っていた。
それを見て李野は小さくため息をつく。そして誰にも悟られない様、小さく話し出した。


「……暗殺と言っているが、主の所に脅迫文でもきたのではないか?」
「!」


桂はその言葉に目を軽く見張らせるが、何も無かった様に酒を飲む。李野も頬杖をつき、窓の外を見ている。


「…流石と言うべきか…」
「阿呆、銀時もとっくに気付いている……で?」
「…まず俺の所に坂本を殺す事とその日付が送られてきた。最初は何かの悪戯かと思ったが、相手方は俺と坂本が戦友という事を知っていてな」
「………」
「そしてそれには、“白夜叉”と“緑の鬼人”の語句があった」
「!……」


李野は表情はそのままに何かを考える様に黙り込んでしまった。


「(………まさか…)」
「……李野?」


不思議に思い桂が顔を覗こうとした時、李野の前からにゅっと手が伸びてき、李野の頬を突いた。


「なんじゃそげなむつかしゅう顔しィ。美人が台なしじゃ!あっはっは!」
「………」


李野の前に座る坂本は頬を突いたまま豪快に笑う。李野はそれを冷めた目で見た後、今度は大きくため息をついた。


「…どいつもこいつも能天気な奴らだ」
「ちょっとちょっと〜?もしかしてそれ俺も入ってんの?銀さんは老後の事まで頭にいれてんの。馬鹿にしないでよ!?」
「ああそう」
「それを言うならわしだって!今すぐにでも結婚できちゅうよ。勿論李野と!」
「ああそう」


尚言い続ける二人を見て何度目かわからないため息をつき、外を見る。桂は横目でそれを見、少し口角を上げた。

李野は穏やかな表情だった。





こいつは良く、笑う様になった。

いや、感情豊かになった…だな。




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